エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

江戸職人の神業

2012-01-06 | 文芸

 1/5朝4時にラジオで竹工芸作家の武関翠篁さんの話【竹のこころを編むの第1回】を聞いた。伝統的な竹細工について興味ある話だった。

2009年、武関さんは文化庁の文化交流使としてドイツに滞在し、日本の竹工芸技術の紹介や講演を行った。

ハンブルク美術館で、江戸末期から明治にかけて活躍した日本の竹工芸作家の祖と言われる、初代早川尚古斎のコレクションの特別展が開催された。

そのときにあるドイツ人が尚古斎の作品のレプリカを研究のためにつくっていたが、編みも組みも見た目はそっくりだが、手触りがまったく違った。

尚古斎のものは使っている一本一本の竹ひごすべてに面取りが施され滑らかでやさしかったのだ。日本の竹工芸の繊細さ、奥深さを再認識したという。

また、ドイツの人たちの美術や芸術への接し方が印象的で、日本以上に、ものを大切にする文化がしっかりと根づいていると感動したという。

武関翠篁さんと作品(ネットから)

  

 話の中で、武関さんが依頼されて造ったトンボの編み細工作品が、夜10:30~BSプレミアム【にっぽん・微笑みの国再現!江戸職人の神業】で紹介されることを聞いた。

深夜までの放送だったが、興味深い放送を楽しく視聴できた。 でも、残念ながら翌朝4時の武関翠篁さんの第2回目の放送は起きられずに聞けなかった。

 【にっぽん・微笑みの国再現!江戸職人の神業】(ネットの番組紹介欄) 
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明治初期に日本を訪れた、アメリカ人の生物学者エドワード・モース[1838~1925]は、誰も見向きもしないような、庶民の生活道具を収集した。その数、3万点。げたや雑巾、照明器具や花カゴ…。そこからは、当時の庶民の暮らしぶりや、職人たちが持っていた「美意識」「誇り」が、あざやかによみがえる。瓦版屋に扮した中村梅雀さんのナビゲートで送る、微笑みの国の物語。モースと梅雀さんの、時空を越えた不思議の旅にご招待する。
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   モース・エドワード  【動物学者】    
  大森貝塚を発見した日本考古学の恩人。日本文化を日本人以上に愛した。
 明治初期に来日したアメリカ人動物学者。メーン州生れ。1877年(明治10)日本の腕足類を研究するため自費で来日した。横浜から東京に向かう車窓から大森貝塚を発見、思いがけず東京大学初代の生物学教師として調査することになった。各地の講演会ではダーウィンの進化論を紹介、また一方では日本の文化財保護の重要性を説いた。79年帰国、セーラムのピーボディ博物館館長となり、自ら収集した日本コレクションを公開した。
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  モースは著書「日本その日その日」で、庶民の生活を細かに観察し、日常の生活にあった用と美を見つめながら、ありとあらゆるものが消え失せてしまうだろうと書いている。 
 また、日本人ほど自然を愛する国民はいない、美徳や品性を生まれながらに持っているなどと書いている。

  江戸の豊かな日常を再認識し、確かにもう失われてしまったか、わずかに残されている文化を思った。
   番組は高岡の火鉢や竹細工にスポットを当てながら、江戸の職人の神業を紹介していた。
  あらためて、日本の伝統的な工芸について学びたいと思った。
 我々は、かつての清貧な豊かな生活やほとんど無くなってしまうであろう日本人らしささえももう一度取り戻さなければならないと思った。
 
 番組を視聴しながら、かつて読んだ渡辺京二著の「逝きし世の面影」を思いだした。 

 【拙ブログ 「逝きし世の面影」2009-01-13http://blog.goo.ne.jp/tosimatu_1946/e/a923fd306064729f8659b682186daef6

  彼は「文化は生き延びるが文明は死ぬ。一回限りの有機的な個性としての文明が滅んだ。意図はただ、ひとつの滅びた文明の諸相を追体験すること。それは、古き良き日本の愛惜やそれへの追慕でもない。」  「近代以前の文明が変貌しただけで、同じ日本という文明が時代の装いを替えて今日も続いているというのは錯覚で、このような日本の文明は、すでに逝ってしまった」などと著作の意図を述べていた。

 今夜は「新日本風土記スペシャル 手の国にっぽん」が放送される。
番組の解説には、「日本人は何を失い、何を守ってきたのか、目利き十人十色の物語を積み重ねながら、伝統工芸の至宝の魅力と、それを育んだ日本の風土を描きます。」とある。
視聴を楽しみにしている。

 日記@BlogRanking


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