都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
2009.12.06「化粧の起源と歴史」でクレオパトらについては触れましたが、今回クレオパトラ自身について考えてみましょう。
http://blog.goo.ne.jp/tudukimituo1028/d/20091206
「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、地球の表面は変わっていたに違いない。」
クレオパトラ(紀元前70年12月または紀元前69年1月-紀元前30年8月12日)といえば、カエサル(シーザー)、アントニウスというローマの二大英雄を手玉に取った古代の歴史ロマンのヒロインです。
日本の小野小町(おののこまち)、中国の楊貴妃(ようきひ)とならんで美人の代名詞にされている女性です。
パスカルは何のためらいもなく、彼女が鼻の高い絶世の美女だったという仮説で話を進めていますが、本当に彼女は本当に鼻の高い絶世の美女だったのでしょうか。
クレオパトラはマケドニア系なので、鼻はギリシャ型で高かったと思われますが、美貌の点ではごくありきたりの美しさで、世を絶するほどの美人ではなかったのだそうです。
プルタルコスは『英雄伝』で、
「クレオパトラの美貌もそれだけでは、いっこうに比較を絶するものではなく、見る人を驚かすほどのものではなかった。」
といっている。
クレオパトラ(ギリシャ語で「父の栄光」の意)は、エジプトのプトレマイオス王朝の最後の女王。この王朝はエジプト王朝だが、その先祖の一世はアレクサンドリアの武将で、歴戦の功によってエジプト、小アジアの各地を領有(せんゆう)した人物なので、もともとギリシャ系なのです。
そのうえ、エジプトの貴人の例にならって兄妹婚を続けたので、ギリシャ、マケドニアの血は完全に残っています。
歴代国王はプトレマイオス、女王はベレニス、アルシノエ、クレオパトラを名乗り、父プトレマイオスは十二世、クレオパトラは七世です。
クレオパトラが12歳のとき父が死ぬと、2歳下の弟プトレマイオス十三世と結婚しましたが、王を担いだ謀臣(ぼうしん)にくにをのっとられて追放されます。
そんなときに登場したのがカエサルでした。彼女はカエサルに近づこうとしましたが、非常な勢力を握っていた宦官(かんがん:東洋諸国で宮廷や貴族の後宮に仕えた、去勢された男性)のポテイノスは側近ポンペイウスを殺し、クレオパトラを追い出し、密かにカエサルに陰謀を企てていたので近づけない。
そこで彼女は、旅行用ベッドに長々と横たわり、友人のアポルロドーロスが、そのベッドを革紐で縛り、戸口からカエサルのところに運び入れました。
クレオパトラ20歳のときでした。
思いがけないときに飛び込んできた、勇敢で智謀(ちぼう)にとんだ女王に、この英雄は首ったけになりました。こうしてこの歴史に名高いロマンスが始まります。
クレオパトラに対する古代人の評価はさまざまですが、その身持ちについては概して点が辛いものでした。
ティトォス・リヴィオスは、「相手かまわず浮気する腰軽女(こしがるおんな)」、プリニウスは「王冠をかぶった淫売女(いんばいおんな)」、プロペリチウスは「淫蕩(いんとう)な生活にすっかり染まった雌(めす)、乱脈なナイルのほとりにふさわしい女性」と決め付けています。
美貌の点からいっても、プルタルコスは、「クレオパトラを見て、美しさも若さもオクターウィアにまさる女ではない。」とアントニウスの妻のほうに軍配を上げています。しかし、その挙止動作、会話、声、それに才気では肩を並べるものはなく、二人の英雄の心を動かすのに十分だったのです。
アントニウスが死ぬと、彼と一緒に葬って欲しいという哀願の手紙をもたせて、彼女は見事に死んだのです。「先祖代々の御子孫にふさわしい」最期でした。時にクレオパトラ39歳。
結局、彼女の魅力はおそらくその容貌以外のものにあったのでしょう。
してみると、あえてパスカル説に意を唱えれば、「クレオパトラの鼻が少々低くてもべつに地球の表面はかわらなかった」のかもしれません。
したっけ。