都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
「眠れる森の美女(仏語La Belle au bois dormant)」のタイトルで有名ですが、グリム童話では「茨姫」となっています。
よく姫が眠っていると誤解されますが、dormantは男性系の形容詞なので眠っているのは美女でなく、森だそうです。
あるところに子どもを欲しがっている国王夫妻がいた。ようやく女の子を授かり、祝宴に一
人を除き国中の12人の魔法使いが呼ばれた(13は不吉な数字であった為と見られる、またメインディッシュのため賓客に供する金の皿が12枚しかなかった為とも)。魔法使いは一人ず つ贈り物をする。宴の途中に、一人だけ呼ばれなかった13人目の魔法使いが現れ、11人目の魔法使いが贈り物をした 直後に“王女は錘(つむ:糸を紡ぐ機械の付属具)が
刺さって死ぬ”という呪いをかける。まだ魔法をかけていなかった12人目の魔法使いが、先の魔法を修正し「王女は錘が刺さっても百年の間眠るだけ」という呪いに変える。
王女を心配した王は、国中の紡ぎ車を燃やさせてしまう。王女は順調に育っていくが、15歳の時に一人で城の中を歩いていて、城の塔の一番上で老婆が紡いでいた錘で手を刺し、眠りに落ちる。呪いは城中に波及し、そのうちに茨が繁茂して誰も入れなくなった。侵入を試みた者もいたが、鉄条網のように絡み合った茨に阻まれ、入ったはいいが突破出来ずに皆落命した。
100年後。近くの国の王子が噂を聞きつけ、城を訪れる。王女は目を覚まし、2人はその日のうちに結婚、幸せな生活を送った。(115歳の老婆と?)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
以上がみなさんの良く知っている物語ですが、この物語の元になったとされる民話を紹介しましょう。この物語の残酷な場面は削除され「茨姫」が生まれたのです。
ジャンバティスタ・バジーレ(Giambattista Basile, 1575年? - 1632年2月23日)は、イタリアの詩人・軍人である。説話集『ペンタメローネ(五日物語、Pentamerone)』の作者として知られている。『ペンタメローネ』はヨーロッパにおける童話集のさきがけとなった。「太陽と月のターリア」は『ペンタメローネ』の中の一つで、ナポリ地方に昔から伝わる説話です。
太陽と月のターリア
昔、一人の王がありました。娘のターリアが生まれた時、王は国中の賢者や占い師を呼び集めて娘の未来を予測させました。占い師たちは何度も相談を重ねてから、「亜麻の繊維に混じったトゲがこの子に大きな災いをもたらすでしょう」と告げました。そこで王は何とか災難を免れようと思い、「亜麻も大麻も麻の類は一切 我が館に持ち込んではならぬ」と厳しい命令を下したのです。
ところが、ターリアが大きくなったある日、窓辺に立っていると、外を糸紡ぎのお婆さんが通っていきました。ターリアはそれまで糸巻き竿や紡錘(つむ)を見たことがありませんでしたし、くるくる踊っているところがとても面白そうでしたので、好奇心に駆られておばあさんを呼び入れ、糸巻き竿を手にとって糸を縒り始めました。
その途端、麻に混じっていたトゲが爪の間に突き刺さり、たちまちターリアは床に倒れて死んでしまいました。これを見るとお婆さんは階段を駆け下りて逃げていきました。
哀れな王は、この苦い悲しみを樽いっぱいの涙で飲み干しました。それから死んだ娘を別荘の安楽椅子に座らせましたが、その椅子にはビロードが張ってあり、金襴で作った天蓋がついていました。やがて戸という戸を閉め切ると、忌まわしい記憶を二度と思い出さないよう、永遠に、この森の中の館から立ち去ったのです。
さて、それからしばらく経ったある日のこと。この辺りに別の王が鷹狩りにやって来ましたが、王の鷹が例の館の窓から中へ飛び込んでしまいました。いくら笛を吹いても呼んでも出てこないので、王は館の門を叩かせました。しかし、誰も出てきません。王はぶどう摘みの梯子を持ってこさせて門を乗り越え、中の様子を自分で調べ始めました。全く人気がないのに驚きましたが、とうとうターリアの眠っている部屋にたどり着いたのです。
王はターリアが眠っているのだと思い、声をかけました。ところが、いくら呼んでも揺すっても目を覚ましません。
眠っているターリアを見るうち、王の胸に恋の炎が燃え上がりました。王はターリアを腕に抱いてベッドに運ぶと、存分に愛の果実を味わいました。それから、ターリアをベッドに寝かせたまま自分の国に帰り、それっきりこの出来事を忘れてしまったのです。
※ この場面も白雪姫同様、屍姦を想像させます。
九ヶ月経って、ターリアは双子を産み落としました。とはいっても、相変わらず眠ったままでした。双子は男の子と女の子で、光り輝く二個の宝石のようでした。屋敷に現れた二人の仙女の手で、子ども達はターリアの乳房にあてがわれ、そのほか細々とした世話を受けたりました。
そんなある日のこと。子供たちはまた乳が飲みたくなって母の乳房にあてがわれましたが、その一方がなかなか乳首を見つけられず、代わりに母の 指をつかんでチュウチュウ吸っているうち、とうとうあの麻のトゲを吸いだしてしまいました。その途端にターリアは深い眠りから覚めました。そして自分の側にいる二人の可愛い赤ん坊に気づくと、しっかり抱きしめて、乳を飲ませて自分の命と同じくらい大切にしましたけれど、どうしてそんなことになったのかさっぱり解りませんでした。というのも、屋敷の中には自分と赤ん坊しかいませんし、食べ物などを運んできてくれる仙女の姿はまるで目に見えなかったからです。
時が過ぎて、王はふと、森の館で眠っていた美しい娘との情事を思い出しました。そうして久しぶりに訪ねてみますと、ターリアが目覚めていて、男の子の太陽(ソーレ)と女の子の月(ルーナ)、可愛らしい二人の子供まで生まれているではありませんか。
王は有頂天になり、ターリアに事の次第を説明しました。ターリアもすっかり王が気に入って、二人は数日の間、館で一緒に過ごしました。そして王が立ち去るときには、今度来るときは国に連れて帰る、と約束したのです。
それ以来、王は美しい愛人と可愛い双子にメロメロになってしまいました。国に帰っても、起きて寝るまでターリア、ソーレ、ルーナばかり口にします。
この状況に はらわたを煮えくり返らせたのは王妃でした。前々から、王が狩りと言っては数日間留守をするのを怪しいと思っていたのですが……。
「お前は門柱と扉のように《対になるもの》なのだから、私か王か、どちらに仕えるのか選ばなくてはなりません。王の愛人がどこの誰なのか、教えてくれたなら金持ちにしてあげましょう。けれど隠しだてするなら、この先、日の目は見られなくなるものと心得なさい」
大臣はすっかり王妃に教えました。そこで王妃は大臣を王の名においてターリアの館に遣わし、
「王が子供たちに会いたがっておられます」
と伝えさせました。嘘とも知らないターリアは大喜びし、早速子供たちを送り出しました。
王妃は子供たちを手に入れるやいなや、嫉妬のあまりに鬼女の心になりました。
「子供たちの喉を掻き切って、細切れにして、ソースで煮て、王の食卓に載せておくれ!」
けれども、料理人は心の優しい男でした。彼は金のリンゴのように愛らしい双子を見ると可哀想でたまらなくなり、双子を自分の妻に匿わせてから、山羊を二頭殺して、それで百種もの料理を作りました。
王はこの料理を食べると、
「美味い、我が母の命にかけて、我が祖母の魂にかけて、実に美味い!」
と絶賛しました。
王妃は「どんどんおあがりなさいませ、あなた自身のものを食べておいでなのですから」
と言いました。あんまり何度もそう言うので、しまいに王は不機嫌になり、
「自分の(稼いで得た)ものだということは分かっている、大体、そなたは何一つ獲ってはこないのだしな」
と言って、別邸に行ってしまいました。
※この場面も白雪姫同様、カニバリズム(英: Cannibalism)、人間が人間の肉を食べる行動、あるいは宗教儀礼としてのそのような習慣を思い起こさせる。
王妃は自分がしたと思っていることに まだ満足せず、もう一度大臣を呼びつけると、今度はターリアを呼び寄せました。ターリアは目に入れても痛くない子供たちに会いたい一心で、恐ろしい目論見のことも知らずに城にやって来ました。ターリアが目の前に連れ出されると、王妃は憤怒の表情で言いました。
「ようこそ、でしゃばりの奥様。なるほど、そなたが私の夫の気に入りの花というわけですね。……このメス犬! 地獄に堕ちて、私の苦しみを味わうがいい!」
ターリアは弁解しました。
「私が誘惑したのではありません、眠っている間に王様の方から押し入ってこられて……」と。
「城の中庭に大きな焚き火をして、この女を放り込め!」と命じたのです。
哀れなターリアは、王妃の前にひざまずいて懇願しました。せめて、着ているものを脱ぐだけの時間をください、と。王妃は承知しました。というのも、タ ーリアは燃やしてしまうには惜しいような、金と真珠で刺繍した素晴らしいドレスを着ていたからです。ターリアは脱ぎ始めましたが、一枚脱ぐたびに叫び声をあげました。服を脱ぎ、スカートを脱ぎ、胴着を脱ぎ、ペチコートを脱ぎかけたとき、とうとう地獄の灰汁の大鍋に投げ込むべく、家来たちに引きずられはじめました。
※ この場面は、まるでストリップです。
その時でした。騒ぎを聞きつけて、王がやってきたのです。王はこの有様を見、子供たちはどうなったのか、と王妃に尋ねました。王妃は王の裏切りをなじって言い放ちました。
「あなたに、あの子達の肉を食べさせて差し上げたのよ!」
「なんだと! 我が子羊を食った狼がこの私だと! おお、なぜ我が血は我こそ子供たちの血の源だと自覚しなかったのか。おお、残酷な裏切り者め、お前がこのような野蛮な行いをしたというのか。さあ、行け、罪の報いを受けるのだ。お前のような醜い嫉妬顔の女は闘技場でライオンに食わせるまでもないわ!」
王の命により、王妃と大臣は、ターリアを投げ込むための焚き火に投げ込まれました。それから、王は子供たちを料理した料理人をも同じ目に遭わせようとしましたが、料理人は王の足元に身を投げ出して言いました。
「確かに、そのような仕業の報いには相応しい処罰です。私のような身分の者には王妃様の灰と混ざることも光栄かと思われます。けれども、忌まわしい企みからお子様方をお救い申し上げた私なのですから、そんな褒美はまっぴら御免ですわい」
これを聞いた王は狂喜し、それが本当なら、もう台所仕事などさせず、存分に褒美をやろうと言いました。その時には、夫の苦境を見て取った料理人の妻が、もう子供たちを連れてきていました。王は子供たちとターリアに一人ずつキスをして、 料理人にたっぷりの褒美をやり、御寝所番の頭に取り立ててやりました。
ターリアは王妃となり、子供たちと共に末永く幸せに暮らしました。
諺にもあるように、幸運児は眠ったまま運命の女神の祝福を受けるものなのです。
日本でも「果報は寝て待て」いう諺があるとはいうものの、とても子供に話せる内容ではありません。
したっけ。