大正4年10月20日都新聞
べったら市(昨夜)
昨日はべったら市です。人形町界隈は例のごとくすばらしい浅漬の店が出来て江戸伝来の食気を大いにそそる。今年は大根の出来が悪いと言う評判でしたが実際はウワサも苦にならず景気よく夕方よりポツポツと客足が出始めたが早宵の内は往来の者に手を擦り付け、娘たちは「キャッツキャッ」と言ってました。が麹も何もついていない手でやっているので言わば麹をつけた昔の型を見せるようなものです。7時~8時には盛んな人出となり、威勢良く売ったり買ったりしていました。不作のわりに安いのは商人が見切りよく捌いているので売れ行きはよい方です。
大正4年は年の中頃までは野菜は平年作であって漬物の諸原料の野菜確保は容易であったが、秋になって天候不順のためある種の原料の一時的に騰貴した。そこに第一次世界大戦の影響が日本に及び雑穀を収穫期から輸出し、高価格となっていた一方,欧州からの輸入の不足によってビン、缶、合成染料等は非常に暴騰し購入することは出来ず、その上高価格によって商品が売れず販売に困難を極めていた。・
べったら市(昨夜)
昨日はべったら市です。人形町界隈は例のごとくすばらしい浅漬の店が出来て江戸伝来の食気を大いにそそる。今年は大根の出来が悪いと言う評判でしたが実際はウワサも苦にならず景気よく夕方よりポツポツと客足が出始めたが早宵の内は往来の者に手を擦り付け、娘たちは「キャッツキャッ」と言ってました。が麹も何もついていない手でやっているので言わば麹をつけた昔の型を見せるようなものです。7時~8時には盛んな人出となり、威勢良く売ったり買ったりしていました。不作のわりに安いのは商人が見切りよく捌いているので売れ行きはよい方です。
大正4年は年の中頃までは野菜は平年作であって漬物の諸原料の野菜確保は容易であったが、秋になって天候不順のためある種の原料の一時的に騰貴した。そこに第一次世界大戦の影響が日本に及び雑穀を収穫期から輸出し、高価格となっていた一方,欧州からの輸入の不足によってビン、缶、合成染料等は非常に暴騰し購入することは出来ず、その上高価格によって商品が売れず販売に困難を極めていた。・