大正元年10月20日都新聞
昨日のべったら市
今年の浅漬が高いけれど昨日のべったら市では昨年より浅漬の店が多く例年通り堀留3丁目から小伝馬町にかけて爪も立たぬほどのミッシリと店が立ち並びカンテラやアセチレンの灯の海となる。夕景から人出もだんだんと増えて夜に入っては人形町通りの三定初め各飲食店の暖簾の下にはお客の下駄が山のようだ。小伝馬町の弘法様(大師堂)は堀留分署の出張所となり、非番巡査総出の警戒本部となって、また電車線路には警察の提灯が行列のように並んで一人でも線路に入れないようにしていた。
「サアいらしゃい!!」と盛んに客を呼んでいる浅漬屋の声と「押しちゃいかん」の巡査の声が相和してかまびすしい。電車は車掌台にも人があふれ、何れも買ってきた浅漬を高く掲げ互いに打ち付けあうような習慣は次第に薄らいだものの今だ止まず三人の不心得者が巡査に捕まり出張所に引致され大目玉を食らった。
大正元年10月20日万朝報
昨日のべったら市
好天気ゆえ、夕方から人出は甚だしく夜9時頃に最も混雑し、大伝馬町通及び付近一体は一方ならぬ賑わいだったがことに人形町電車通りの両側の人道は身動きもならぬ大混雑に到って売れ行き思わしくなく、初め3本20銭といったのを只の10銭で売り飛ばす者もあったが、夜10時頃から以外に売れ行きがよくなった。警察事故は到って少なく酔っ払いが5件あったのみである。
昨日のべったら市
今年の浅漬が高いけれど昨日のべったら市では昨年より浅漬の店が多く例年通り堀留3丁目から小伝馬町にかけて爪も立たぬほどのミッシリと店が立ち並びカンテラやアセチレンの灯の海となる。夕景から人出もだんだんと増えて夜に入っては人形町通りの三定初め各飲食店の暖簾の下にはお客の下駄が山のようだ。小伝馬町の弘法様(大師堂)は堀留分署の出張所となり、非番巡査総出の警戒本部となって、また電車線路には警察の提灯が行列のように並んで一人でも線路に入れないようにしていた。
「サアいらしゃい!!」と盛んに客を呼んでいる浅漬屋の声と「押しちゃいかん」の巡査の声が相和してかまびすしい。電車は車掌台にも人があふれ、何れも買ってきた浅漬を高く掲げ互いに打ち付けあうような習慣は次第に薄らいだものの今だ止まず三人の不心得者が巡査に捕まり出張所に引致され大目玉を食らった。
大正元年10月20日万朝報
昨日のべったら市
好天気ゆえ、夕方から人出は甚だしく夜9時頃に最も混雑し、大伝馬町通及び付近一体は一方ならぬ賑わいだったがことに人形町電車通りの両側の人道は身動きもならぬ大混雑に到って売れ行き思わしくなく、初め3本20銭といったのを只の10銭で売り飛ばす者もあったが、夜10時頃から以外に売れ行きがよくなった。警察事故は到って少なく酔っ払いが5件あったのみである。