よく、『一人芝居』って言うのをやる役者さんが居る。
凄いなぁ・・・って、ずっと思っていた。
でもね、自分が芝居をやるようになってその考えが消えた。
芝居って、大勢で作るから楽しい。
その楽しさを、観ている観客に伝えられたらこんなに楽しい事は無い。
これって、音楽でも同じ。一人でやる音楽も良いんだけど、
僕の場合は、相方と息があった演奏が出来た時は滅茶苦茶楽しい。
そういう時って、凄く良い演奏をしてるんですよ。
テクニックじゃない、空気って言うか、雰囲気って言うか、
聞いている人に何かが伝わるんでしょうね。
それには相方とのベクトルが合っていることが重要。
長年やってきて、そういう時って意外と多い気がします。
サッカーだって、一人でドリブルして点を取っても良いんだけど
仲間とパスをポンポンつないで、点を取った時の楽しさは格別です。
サッカー、音楽、芝居と、僕の好きな遊びの共通点は
そういうところにあるのかも知れません。
今回の芝居は、そういう意味では難しかった。
相手役の幸代さんが、役作りに苦労している感じがしたし
それに輪をかけて僕のほうがはっきりとした役作りが出来なかった。
毎週、相談しながら稽古していたんだけれど今ひとつ。
ところが今月に入って、幸代さんの芝居が変化してきた。
この3週間は完全に、役作りが出来たみたいで、
それに引っ張られるように、僕のほうも余裕が出来てきた。
良い意味で、キャッチボールが出来てきた気がしました。
僕が芝居を変えても、幸代さんは対応してくる。
そうなると、安心して色んな芝居が出来るようになる。
だから、僕らのシーンは演出の注文は殆ど無くて、
他の人とも絡まないシーンが多いので、ほぼ二人で作ってきた感じ。
芝居は一人じゃ作れないって、今回ほど感じたことは無いです。
芝居の相談をしても、自分のことで目一杯って言われちゃう人もいるし、
中には演技を変えると、台詞が解らなくなっちゃう人も居て、
なかなか芝居を作り上げて行く相手が居なかったから
どんなことでも相談できた、今回の相手役の幸代さんに感謝です。