土曜日の同窓会では、もう一人会うのが楽しみだった男がいた。
中学校から同じ高専に進んだM。
中学校時代は、並外れた身体能力で皆から羨望の眼差しで見られていた男。
ところが、この男の欠点は自己顕示欲が強い事と、暴力的だったこと。
高校に入っても、何一つ変わらずに3年まで進級した。
同じサッカー部で、奴は準レギュラー。
僕は言わずと知れた補欠だったから、奴はいつも上から目線。
それだけなら良いのだけれど、その上手癖が悪かった。
僕が2年生の時に全国大会で準優勝して、翌3年の時に2年連続で出場を決めた。
その試合の帰りに、相手校との間で問題を起こして、
それが原因で出場辞退ということに追い込まれた。
当然、奴は3年で退学。
学校の温情で、3年の高校卒業ということで学校を去った。
その後、42年間の間、僕はMと会うことがなかった。
僕が行方不明だというときに、何度も実家へ足を運んでくれたらしい。
そんな事を聞いて、さぞかし立派な社会人になっているんだろうと
同窓会で再会するのを楽しみにしていた一人だった。
ところが、最初こそ久しぶりで腰が低かったMだけれど、
時間が経つにつれて、昔と同じような態度になってきた。
『俺が学校を辞めた理由を知ってるか?』と、何だか自慢げな口ぶり。
僕は『そんなの知ってるし、聞いても意味がないからパス』と言った。
お互いに『お前』って呼び合って話していると
『いつから俺をお前って言うようになった』と言うし・・・・
終いには『俺はスポーツでは誰にも負けなかった』とか
挙句の果てに『お前らを俺が全国大会に連れて行ってやった』
なんて、耳を疑うような言葉・・・・
これで期待を完全に裏切られた感じ。
早々にMから離れて、他の仲間と話をするようにした。
人を選んでいるのか?知らないけれど、高校生の時のつもりなのかな?
とにかく、ちょっと楽しい雰囲気が壊された気がしました。
大人になっても変われないのかなぁ?
そういう僕も、全然変わって居ないのかも知れない。
2次会で『お前は変わらずに、その生き方を続けてくれよな…』
なんて、他の仲間から言われたんだけど・・・・・
明日は、その時にちょっと感動した話を書きましょう。