ちょっと嫌味なタイトルになってしまいましたがご勘弁を!(笑)
荻窪はいわゆる『高級住宅街』と呼ばれる場所らしい。
秘密基地のある上荻は地価が高いのでそう言われるだけで、
実際に住んで居る人間にとっては、地価の上昇は不本意な事です。
地価が高いと固定資産税が高騰するので、昔から住んでいる人間にとって
地価の上昇なんて言うのは、全く有難くない。
ただ、メリットがあるとしたら売却して別の場所に引っ越そうと考える人や、
僕のように土地を担保に借金が出来る事くらいですかねぇ。
先だって、定年までいた会社の先輩たちが訪ねて来た。
買い物がてら外へ出て、途中で合流して案内してきたのだけれど、
表通りの青梅街道は交通量が多くて、煩いので一筋入った裏通りで
秘密基地まで案内した。
その時に一行が発した言葉が『さすがは高級住宅街』だった。
先輩曰く、一筋入っただけで青梅街道の騒音が全く聞こえないという。
ずっと前に来た『ハゲを増す会』の連中も、同じことを言っていた。
言われてみれば、確かにそうだ。
一筋入っただけで、話をしながら歩く人の声も、良く聞こえる。
秘密基地に初めて来た『ハゲを増す会』の連中の騒ぐ声が、
空いていた窓から漏れて、路地の入口まで聞こえていて、
後から来たメンバーが、秘密基地の場所を見つけたほどです。
国土交通省の「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」では
「住宅地域」を以下のように①~④の4つに細分化している。
① 敷地が広く、街区及び画地が整然とし、植生と眺望、景観等が優れ、
建築の施工の質の高い建物が連たんし、良好な近隣環境を形成する等
居住環境の極めて良好な地域であり、従来から名声の高い住宅地域
② 敷地の規模及び建築の施工の質が標準的な住宅を中心として形成される
居住環境の良好な住宅地域
③ 比較的狭小な戸建住宅及び共同住宅が密集する住宅地域
又は住宅を主として店舗、事務所、小工場等が混在する住宅地域
④ 都市の通勤圏の内外にかかわらず、在来の農家住宅等を主とする
集落地域及び市街地的形態を形成するに至らない住宅地域
『高級住宅街』はこの①に該当する住宅地でしょう。
固定資産評価においては、
「敷地が広大で、かつ、平均的にみて、一般住宅よりも
多額の建築費を要する住宅の宅地が連続集中している地区」
が「高級住宅地区」と定義されている。
ところが、結婚して荻窪を離れた後の、ここ30年ほどで秘密基地の界隈は
『高級住宅街』と言われるような街ではなくなってしまった。
元々、秘密基地の土地のように60坪の土地は小さい方で、
殆どが100坪以上で塀に囲まれるような家ばかりだった住宅街も
今や20坪前後に切り売りされ、塀もなく通りに入口が直接あるような、
塀も門扉も無く、庭のない建売の家ばかりが増えた。
だから僕がアパートを建てる際に躊躇したのも、住宅地の景観を損ねそうだったから。
そんな事もあって、僕のアパートは木造の在来工法で、見た目が一戸建てのような
門扉と塀を備えて、近所の家とのバランスを損なわないような建屋にした。
今や地価が高いだけの『高級住宅街』と化した荻窪。
元々、このあたりも戦前は新興住宅街だったのですがね・・・・。
昔の街の面影が残っているのは、静かな事だけです。