今日は水揚げをしていると漁協の定置網の人に珍しい魚が捕れたと教えてもらう。水族館用にと市場の活魚場に生かしている。見に行くと尾柄部に大きな骨質板が2対確認でき、テングハギ属魚類と分かる。この魚をどうするのか話をすると、幸い?口に傷があるので水族館には連絡しないとの事。それならばと魚ボラの標本用に頂く。取り上げるとテングハギ属独特の前頭部の角状突起が確認できない。見た目ではテングハギモドキのように思える。この魚はここでは珍しい部類に入る。幼魚はうちの定置網で1度捕れた事があるが、その成魚は見るのも初めて。持ち帰り検索図鑑で同定すると、やはりテングハギモドキのようである。テングハギモドキは魚ボラの標本としてはまだ未登録と思われる。だが、おかげ様で魚ボラの標本登録数が1万を超え、最近は忙しく魚ボラにあまり顔を出していないので、どの種が登録されているのかを把握していない。未登録種であれば貴重で大変に有難い標本提供となる。ところがこの個体、全長で50センチ程はあり、大き過ぎる。家に持ち帰ったもののどうすることもできず、未だにクーラーに入れたままである。近日中に魚ボラに参加するのであればまだ良いが、今後いつ参加できるかは未定である。冷凍保存するにも海水に浸けた状態で行なわなければならない。とりあえずはクーラーに入れたまま漁協の冷凍庫に入れようと思うが、このクーラーは近日中に使う予定がある。頂いた貴重な標本ではあるが口には傷もあるのでその運命は今のところ廃棄処分が濃厚。ここでは珍しい種ではあるが、手頃なサイズの標本が手に入ることを祈りたい。
*無事に標本登録しテングハギモドキNaso hexacanthus (Bleeker,1855 ) と同定されました。