今日は定置網漁を終え、市場の選別台で雑魚の選別作業をしていると小さなハゼを発見。見ると体側に斑紋が縦列している。これはもしかして25年程前までは定置網に毎日入網していたサビハゼではないだろうか。だが、サビハゼはその後急に姿を消してしまい、とても残念に思っていた。状態は良くないが今回数十年振りにサビハゼが入りとても嬉しい思いである。サビハゼはまだデジカメが世に普及する前に姿を消してしまったので、これでようやくデジカメで写真が撮れる。家に帰り撮影の準備。標本を展鰭して撮影水槽に入れ、水に浸けているのでサビハゼの特徴であるアゴのヒゲも写る様に筆で立てようとする。だが、いくら筆でアゴを撫でてもヒゲが現れない。この時点でこれはひょっとして別種ではないかと疑う。改めてサビハゼの写真をよく見る。するとサビハゼは体側に縦列斑紋の他に細かい黒斑も散在しているが、この個体ではそれが確認できない。更に頭部もヨシノボリの様に丸い感じであり、この個体はサビハゼではないみたい。撮影後、撮った写真から同定するとユカタハゼとなる。ユカタハゼは今まで聞いた事のない種名で初めて認識する。更にユカタハゼとなると定置網で初入網となる。今日はもう1種ナベカも初入網と言う事で、1日で2種も初入網となる。これは嬉しい事である。だが、サビハゼと久し振りに対面出来た嬉しさが無くなり微妙な感じである。どちらかと言うとユカタハゼの初入網よりもサビハゼとのご対面の方が自分としてはテンションが上がっていた感じである。やはりアゴに細かい無数のヒゲを生やしたサビハゼの写真を撮りたかった思いである。
今日は定置網漁で網を絞って行くと、水面に小さな稚魚が泳いでいるのが目に付く。泳ぎ方や体型からイソギンポの稚魚の様に見えるが、胸鰭が暗色である。この暗色の胸鰭が目立ち気付いたのだが、イソギンポは夜間採集で採集した稚魚は半透明であったので、その成長過程と思い写真に収めようと採集する。生かして持ち帰り、水槽に入れて撮影。その撮った写真を拡大して見ると、頭部は緑色の半透明で横帯が数本確認できる。これはナベカではないか。ナベカは北海道から九州南部にかけて普通に見られる温帯性の普通種であるが、私が鹿児島に来てからは目にする事がなく、うちの海域には生息していないものと思われる。だが、大学で発行した「鹿児島湾の魚類」図鑑(ブログ2017 11.6)にはナベカが掲載されており、鹿児島湾からの記録はあるみたいである。今回は稚魚であるがうちの海域でのナベカ初確認であり、定置網での久し振りの初入網となる。卵もしくは稚魚が北の方から海流に乗って流れて来たと思われるので、ほかにも辿り着いていたら、今後海岸でナベカの成魚が見つかるかもしれない。今度は成長した個体と出会いたい。