今日の素潜り採集も夕方となり、海の中はもう薄暗く終了。陸に上がろうとエントリーした場所に戻る。波打ち際ギリギリまで泳いで行くと前方から沢山のクサフグが勢いよくこちらに向かって泳いで来て、私をすり抜けて深い方へ逃げて行く。この場所はサンゴ礁が多く、砂地に生息するクサフグは普段はあまり見かけない。それがどうしたことか沢山のクサフグが群れを成している。その中をかき分け陸に上がる。どうしたのだろうかと考えてみると、今日は大潮でもう少しで満潮時間である。クサフグは今が産卵期で大潮の満潮時にたくさん集まり、波打ち際の石の隙間で一斉に産卵するのである。山口県ではクサフグの産卵場所を県の天然記念物に指定されている場所もある。もしかするとクサフグが産卵しようと集まっていたところを私が運悪く通り掛かり、産卵の邪魔をしてしまったのではないだろうか。私も一度何処かの浜でクサフグの産卵行動を観察してみたいと思っていたが、まさかこの場所で行われようとしていたとは思いもしなかった。私が海から上がって来た事によってクサフグの産卵を邪魔してしまったのであれば非常に申し訳ないのだが、こればかりはクサフグにとって運が悪かったと仕方なく思うところでもある。
みんな居なくなってしまう