今日は魚類ボランティアをしている鹿児島大学総合研究博物館の魚類分類学研究室で、鹿児島県出水市高尾野川河口の生物相調査をするという事で参加する。この出水市は日本最大のツルの渡来地であり、毎年1万羽を超えるツルが越冬のためシベリアから渡来し、その渡来数と種類の多さは日本一と言われており、「鹿児島県のツル及びその渡来地」として国の特別天然記念物にも指定されている。出水市では来年度のラムサール条約登録を目指しており、今回はその一環としての調査である。国の天然記念物に指定されている地なので、普段は魚を採集する事すら怪しまれそうな場所であるが、今回は行政からの依頼なので堂々と調査する事が出来る。大学に集合だったのだが、大学へ向かう道中は雨。実は昨日、鹿児島はタイミング悪く梅雨入りしてしまう。今日一日雨予報な為、一応雨対策は準備して来た。ところが大学から現地へ向かうに従い、雨も止み、現地に着くと晴れ間まで出て最高な調査日和となる。既に前日から地元の漁師さんが河口に刺網を仕掛けて頂いているという事で、船に乗せてもらい刺網漁へ同行。前日からの雨の影響で川は濁り、刺網には木の枝や落ち葉など大量のゴミが掛かってくる。そのような状況の中、クロダイやワタリガニなども次々と揚がってくる。今回は生物相調査な為、魚だけでなくエビやカニなど甲殻類の標本も確保する。この刺網は2通りの網目が使用されており、最初は大型魚が掛かってきたが、後半は網目が細かく、シロギスやヒイラギなどが揚がって来た。ここ出水は同じ県内でうちから80キロ程の場所であり、海域も非常に良く似ている。だが、今回うちの海域では非常に稀種のヒイラギがたくさん採集できた。メバル属と同じく、うちの海域との間で何か越えられない壁があるのだろう。刺網漁を終えると田んぼ周りの用水路で調査し、現地調査は終了。それから大学へ戻り、早速本日採集した標本の登録作業が始まり、夜更けまで続く。疲れも見せずに頼もしい学生達である。
うちの海域では非常に稀なヒイラギが次々と
刺網での成果
学生がナマズを採集