シンプルでありながら奥行きがあり、想像力の膨らむ秀句と思います。多くを語らずともいろいろのシーンを思わせる余裕をこの句から感じました。
亜子さんも 「目の前で博物館の扉が開かんとす。博物館や資料館に行くと必ず何かしら発見がある。薫風の吹く気持ちのいい日に博物館に出かけるわくわく感に共感できる。」と選句コメントをくださいました。
容子さん、晴代さん、竹葉さん、童子さんも採っておられます。
博物館というと貴重な物品や資料などを厳重に保管して展示する建物。どっしり動かない頑丈なイメージです。その扉が開いて風が起きる。何か興味のある企画展があったのでしょうか。ずっと見たかったものとの出会いが叶ったのかもしれません。作者の心の扉を開放したのかもしれませんね。
九十九折り登る眼福朴の花 能登
須美さん:白い朴の花の美しさが目に浮かぶ。眼福が良い。
晴代さん:高くに咲く朴の花、登ってきた甲斐がありましたね。
千香子さん:登るから朴の花が見えるのだろうし、眼福の意味も初めて知り目の保養ではだめかなどと考えました。
朴の葉は、岐阜の郷土料理・ほうば味噌で知っていましたが、花は今回写真で知りました。
九弁の白い大きな花、その中央の蕊は古代遺跡の仏塔を思わせるような神秘さがあります。芳香も良く、夏を告げる花なのですね。大きな葉の上に乗るように咲くので見上げるだけではよくわからず、高いところからこそということでしょうね。眼福まで書かずともよいようにも思いますが、おかげで朴の花を調べることができました。今度は実際に見てみたいものです。 郁子