想像力の膨らむ童子さんの句。
「思い出を思い出にして」という表現が何とも言えず美しいです。その思い出を抱くように着る単衣の着物。お母さまからあるいはどなたかから受け継がれた着物かしら。。。
それともご自身の単衣を着た時のことを懐かしく思い出しておられるのでしょうか?
郁子さん:ちょっと読み取れていないのですが、「思い出を思い出にして」というフレーズに魅かれました。思い出にして初めて思い出になるのだと。。うーん深い。
作者の童子さんのコメントです。
「(思い出は思い出になり夏は来ぬ)としてたのですが、色っぽくしたくて創作しました笑
36年の暮らした名古屋を後にしたことで、思い出に妙な境ができました。それに寂しさと清々しさを感じています。」
故郷富山に戻られた童子さん。新たな心境で俳句と向き合っておられるようです。富山ではお着物も着られるかも知れませんね。きっとお似合いです。
続いては富山のお隣り、福井の丸岡を詠んだ容子さんの句。
丸岡の麦秋の金苗の青 容子
麦畑の金色と早苗の青のコントラスト。日本の原風景ですね。目に浮かぶようでした。
亜子さん:地名を俳句に入れるのは難しいが、勇気を持って地方都市の丸岡を詠まれた。丸岡はお城だけではなく農村風景も広がる。
丸岡が身近な人にはより地名のインパクトがあるような気がします。丸岡でなければこの句が成立しないとは言えませんが、やはり行ったことがあるとこの景色が浮かびます。
そしてもう一句。固有名詞の入った句。
筑波山巌打つ風田を超えて 竹葉
童子さん:壮大な風景が目に見えるようです。勢いとリズムがあるところに惹かれます!
亜子さんは、「季語がないのよね~」と電話でおっしゃっていました。「巌打つ風」が「筑波おろし」なら冬の感じがするとも。でも筑波山は霊山で農業の信仰の山なら田んぼと関係があるのかしら?
千葉在住の竹葉さん。土地勘のない私に筑波山のことを教えてくださいました。
「麓に筑波神社があり頂上(二つ)に本殿があり、山は古くから確かに信仰の対象であり、古事記、万葉集にもあり、歌川広重が富士山と並んで筑波山をよく描いたとか、徳川家康が大坂の陣の前に祈願したとか、、低い山なのに山容が良い事で割合関東では知られてる山です。」
やはり固有名詞はその地を知っているかどうかで想像の景色が違って来ますね。そのあたりが難しいところでもあり飛躍できるところでもあるようです。麗子