今月の兼題は「霧」でした。空気中の水分が冷えて凝結し細かな水滴となったもの。秋の晴れた日や風のない日に多く出現する自然現象です。今回の兼題ではこの自然の霧ではなく霧を比喩にした句もありました。季語を比喩に使わない方がいいという考え方もあるそうですが俳句は自由だから、そういう句があってもいいのかも知れません。
容子さんのこの霧は季語ではなく、あまりうれしくないレントゲンの影でしょう。肺の中の霧状のもの。ちょっと心配です。
郁子さん:画像診断の肺の影ですね。不安な気持ちに通じる霧ですね。
童子さん:霧を臓器の中に持ってくるなんて!
須美さん:実感!あれは肺に小さな霧があったんだと。
病む夫の半ば霧の中に住む 佐保子
こちらも実際の霧の中ではなく、なんだかぼんやりした世界に夫君がおられる感じでしょうか?少し遠い世界に行ってしまったような。。。
容子さん:「半ば」が良いです。「病む」と言わなくても十分かもしれません(例えば「喰む」とか)
童子さん:霧の中に住むという表現に作者の心情がわかる気がします。
須美さん:夫の病状がよく伝わる。「半ば」と「霧の中に住む」が私に響いた。
農薬を霧のごと吐きドローンゆく 童子
こちらはまさかの農薬散布。今時の農家の実景を見ないとでなかなか作れませんね。
作者の童子さんのコメントです。
「ドローンでのお隣りさんの田んぼへの農薬散布を目の当たりにしました。ものの数分で散布完了!ドローンは次の現場へさっさととっとと言っちゃいました!仕事早っ。昔は2人体制で時間もかかりました。」
容子さん:ドローンの農薬散布に着眼されたところが面白いです。動きが感じられます。
いかがでしたでしょうか?
季語を比喩に使った句はなぜか選者が重複していました。私がこの三句を選句しなかったのはやはり季語としての霧を詠みたかったからかもしれません。また10月の対面句会でこのことを話題にできたらと思います。
台風が心配です。皆さまどうぞご安全に。 麗子