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60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「北越雪譜」の世界を知りたくて~「北越雪譜物語」(田村賢一訳著;新潟日報事業社<とき選書>)を読む~

2022-01-22 21:00:00 | 読む
雪は、夜の間にまた降っていた。
今朝、新聞の配達が遅れたのは、その雪が影響したのかもしれない。
わが家の庭の積雪は70cmだった。
新潟県に住んでいると、首都圏に住んでいる人にはわからない、雪に伴う様々な経験をしていると思う。
平野部に住んでいるわれわれでも雪に対する経験値は高いと思うが、内陸部の山地に隣接した地域では、われわれでも知らない豪雪の経験をしている。
そんなことを記し、江戸時代に出された本がある。
それが、鈴木牧之の「北越雪譜」だ。



以前から一度読んでみたいとは思っていたが、昔の本だから、今の時代に合わないだろうと思って読んではいなかった。
ただ、先日、テレビで「北越雪譜」の一部の内容を知ったのだが、新潟県人としてもう少し詳しく知りたくなった。

そうはいっても、当然文語文で書いてあるので、昔古文が苦手だった私としては、訳で苦労したくない。
ということで、この本「北越雪譜物語」(田村賢一訳著;新潟日報事業社<とき選書>)を選んだ。
理解しやすいように、現代語訳してある本がいいと思ったのだ。

内容には、雪国の暮らしだから、当然冬の話ばかりだが、江戸に住む人たちが知らず想像できないような話が紹介されている。
雪の降り方のすさまじいこと、その中でも暮らせるような雪国独特の冬の装具、食べ物や遊びなどは、事実に基づいて書いてあるので、「へえー、そうなのか」と感心する。
そして、雪男や熊、狼などの奇談や伝承なども出てくる。

私自身が経験してきたことも多くあった。
特に、遊びで、雪玉を足でごろごろと固めて丸く堅くし、ぶつけ合って、その丈夫さを競い合う遊びは、私も子どものころ級友とよくやったのだが、ここでは「玉栗」という名前で紹介されている。
江戸時代の子どもがやっていたこの遊びが、昭和の私もやっていたということに、歴史的伝統的な雪国の遊びだったと知り、驚いたのであった。

また、興味深かったのは、長野・新潟の県境に位置する秘境「秋山郷」に牧之が訪ねた見聞録だ。
今と違って、そこに旅行に行く人などいなかったから、よその人との交流がない独自の生活をしていた秋山郷の暮らしは特異なことが多く、衣食住に驚くことがたくさん書かれていた。

本書では、原本で書かれてある絵なども紹介されていたので、元の本の味わいも伝わってきた。



昔と今との違いや、住む地域の違いはあれども、雪国に住む者として共通する感覚を本の内容のあちこちから感じることができた。
北越雪譜や鈴木牧之について、もう少し知りたくなったことも事実だ。
雪で閉ざされている時期に読むのにふさわしい本であった。

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