Negiccoは、今年で結成20周年を迎えた。
彼女たちは、近年3人とも結婚して、去年は出産までした。
でも、アイドルとしての彼女たちの活動は終わっていない。
先月には、20周年を記念して、デジタル・ミニアルバム「Perfect Sense」をリーリースした。
息の長い、アイドル活動を続けている。
本書は、そのNegiccoの魅力について、今から10年前に書かれたものだ。
だが、それからさらに10年経っても、彼女らの魅力は全く色あせていない。
むしろ、いい年齢の重ね方をしているような気がする。
図書館でこの本を見つけて、「10年も前の本か…」と思いつつ、借りてきた。
本書を読んで、改めてNegiccoの魅力に納得した。
1カ月限定アイドルとして誕生したNegiccoが、なぜ10年以上活動を続けてこられたのか愛されているのか、著者はそこに着目した。
Negiccoには、知名度もお金もなく、しかも地方在住であったというのに、成長を続け、10年以上アイドルを続けている。
その理由は、アメリカの経営学者で、マーケティングの神様と呼ばれる、コトラーの「マーケティング3.0」という手法を、まさにNegiccoが実践しているからなのだと言う。
簡単に紹介すると、
マーケティング1.0は、製品中心で、モノを売り込む
マーケティング2.0は、顧客中心で、顧客満足をめざす
そして、マーケティング3.0は、価値中心で、生活者と一緒に価値をつくり上げていく
本書では、そのマーケティング3.0の手法を、Negiccoのしていること・してきたことをもとにして、具体的に述べていっている。
大まかに章立てを紹介すると以下のようである。
Introduction Negiccoの成長ストーリーがマーケティングの教科書になる理由
Negiccoの10年、汗と涙のヒストリー
DISC1 「思わず応援したくなる」存在になる
DISC2 お客さんを巻き込み一緒になって楽しむ
DISC3 人の「縁」を大切にして「運」をつかむ
DISC4 最初は笑われてもインパクトのある名前にする
DISC5 全部、自分たちでやる
「Negiccoから学ぶマーケティング手法」は、泥臭くて地道。
だからこそ、説得力と再現性があると、著者は述べている。
例えば、
・人は本気で活動している人しか応援できないが、Negiccoからは本気度が伝わるから応援したくなる。
・まずは目の前のお客さんを全力で満足させようとする
・自分からまず動いて、「運」を呼び寄せる。
これらはその一部だが、そんなことが顧客の(お客の)心を引き付ける。
だから、2003年7月に結成されたNegiccoが、新潟在住という「アイドル市場」ではかなり不利な条件にもかかわらず、地道に活動を続け、泥臭く市場をつくり続けてくることができた。
そんな彼女たちの活動こそが、実は最新のマーケティング理論にぴったり当てはまっている。
その証拠を、日本国内で繁栄している企業や大型店などの実例も交えながら紹介していた。
著者は、Negiccoを追いかけているうちに、完璧にNegiccoにはまってしまったという。
それゆえ、本書にはNegiccoの誕生から10年の歴史も詳しく書かれているし、魅力の秘密も存分に書かれているのが楽しい。
図書館で見つけた10年前の本ゆえに、いささか内容的には古いかもしれないが、マーケティングの理論に裏打ちされたNegiccoの魅力は、ますます認められ大きくなっているような気がしている。
やっぱり応援したくなってしまうよなあ。
え?
最新のアルバム「Perfect Sense」は、買ったかって?
もちろんですよ。
2曲目の「お久しぶりです・お元気ですか」なんて、いかにも今のNegiccoだなあ、と気に入っております!