「遭難」という言葉を辞書で引くと、「登山や航海で災難にあうこと。災難にあって死ぬこと。」と2つの意味がある。
土曜日、巡りあった災難が、後者の意味でなくてよかった。
しかし、間違いなく前者の意味のはめに陥ったわが夫婦であった。
花好きのわれらは、去年とても楽しい思いをした青田南葉山に、今年も登ることにした。
この時期、青田南葉山には沢や頂上付近に残雪もある。
そのせいで、早春から初夏までの山野草が一気に楽しめる。
そのことを昨年の今頃登って知ったわれわれ夫婦は、今年もまたこの山に登ろうと思ったのであった。
去年は、「木落沢コース」から登っていった。
山頂を目指すには、最短のコースである。
しかし、昨年下山コースに選んだ「明神沢コース」が、われわれ夫婦には気に入ったのである。
雪渓も残る場所もあるこのコースは、キクザキイチゲやミヤマカタバミなど早春の草花、そしてシラネアオイやサンカヨウなどの初夏の草花も見られたのだ。
今年は、明神沢コースから草花を見ながらゆっくり登っていこう。
そう決めて、登り始めた。
ほどなく、オオイワカガミやチゴユリ、カタクリ
など春の花々、
マイヅルソウやユキザサに
サンカヨウ、シラネアオイなどを見つけ、満足しながら次々にシャッターを切ったのであった。
ふと気づくと、先行する妻と少し離れてしまった。
目の前には、雪渓も見られた。
妻に追いつこうと、急いで後を追った。
妻は、残雪の上を歩いていた。
「今年は、まだこんなに雪が残っているのだなあ。」
そう感心しながら、厳しかったこの冬の寒さを思った。
道の両側は、崖になっていた。
崖には、
キクザキイチゲや
シラネアオイ、
ショウジョウバカマなどが咲いていた。
根づいてしまった場所で花を開かせるそのたくましさに感心した。
足元の残雪には、木の実や折れた小枝、うさぎのフン、落石などいろいろなものが散らばっていた。
われわれは、倒木の上で、時折休みながら、延々と続く雪渓の上を登っていった。
だんだん傾斜がきつくなってきた。
よく晴れた日なので残雪の表面は、靴で削ると、足場ができる。
折れた枝を杖の代わりにして突き刺しながら、歩いた。
そんな工夫をしながら、一歩一歩登っていった。
それにしても、こんな急な坂では、滑ってしまってもう下りられない。
ひたすら登っていくしかない。
しかし、何かがおかしい。
そもそも、このルートは、こんなにきつい坂だったか?
去年通った時、雪渓の上は通ったが、こんなにきつい急坂を降りた覚えはない。
こんなに雪の残った急坂では、引き返そうと思っても、滑落するしかないじゃないか―。
そう思った時、今まで思い浮かばなかった考えが浮かんだ。
「われわれは、道を間違えているのではないか!?」
土曜日、巡りあった災難が、後者の意味でなくてよかった。
しかし、間違いなく前者の意味のはめに陥ったわが夫婦であった。
花好きのわれらは、去年とても楽しい思いをした青田南葉山に、今年も登ることにした。
この時期、青田南葉山には沢や頂上付近に残雪もある。
そのせいで、早春から初夏までの山野草が一気に楽しめる。
そのことを昨年の今頃登って知ったわれわれ夫婦は、今年もまたこの山に登ろうと思ったのであった。
去年は、「木落沢コース」から登っていった。
山頂を目指すには、最短のコースである。
しかし、昨年下山コースに選んだ「明神沢コース」が、われわれ夫婦には気に入ったのである。
雪渓も残る場所もあるこのコースは、キクザキイチゲやミヤマカタバミなど早春の草花、そしてシラネアオイやサンカヨウなどの初夏の草花も見られたのだ。
今年は、明神沢コースから草花を見ながらゆっくり登っていこう。
そう決めて、登り始めた。
ほどなく、オオイワカガミやチゴユリ、カタクリ
など春の花々、
マイヅルソウやユキザサに
サンカヨウ、シラネアオイなどを見つけ、満足しながら次々にシャッターを切ったのであった。
ふと気づくと、先行する妻と少し離れてしまった。
目の前には、雪渓も見られた。
妻に追いつこうと、急いで後を追った。
妻は、残雪の上を歩いていた。
「今年は、まだこんなに雪が残っているのだなあ。」
そう感心しながら、厳しかったこの冬の寒さを思った。
道の両側は、崖になっていた。
崖には、
キクザキイチゲや
シラネアオイ、
ショウジョウバカマなどが咲いていた。
根づいてしまった場所で花を開かせるそのたくましさに感心した。
足元の残雪には、木の実や折れた小枝、うさぎのフン、落石などいろいろなものが散らばっていた。
われわれは、倒木の上で、時折休みながら、延々と続く雪渓の上を登っていった。
だんだん傾斜がきつくなってきた。
よく晴れた日なので残雪の表面は、靴で削ると、足場ができる。
折れた枝を杖の代わりにして突き刺しながら、歩いた。
そんな工夫をしながら、一歩一歩登っていった。
それにしても、こんな急な坂では、滑ってしまってもう下りられない。
ひたすら登っていくしかない。
しかし、何かがおかしい。
そもそも、このルートは、こんなにきつい坂だったか?
去年通った時、雪渓の上は通ったが、こんなにきつい急坂を降りた覚えはない。
こんなに雪の残った急坂では、引き返そうと思っても、滑落するしかないじゃないか―。
そう思った時、今まで思い浮かばなかった考えが浮かんだ。
「われわれは、道を間違えているのではないか!?」