ぎんがをかける。
こんなことを言うと、なんだかスペースオペラみたいだね。
漢字を入れると、
「銀河を翔ける」みたいで、なんだかすごくかっこいい感じがする。
でも、この「ぎんがをかける」という言葉は、私にとって子どものころの懐かしい冬の遊び方のことなのだ。
小学校の頃、雪が降ると、雪国独特の遊び方があった。
雪玉を固めてぶつけ合って硬さを競う遊び「ダマ」のことは、以前ここに書いたことがあった。
(おお、書いてからもう7年も前になるのか…!)
その遊びは、勝ち負けを競うからもっぱら男子の遊びだった。
では、女子が楽しんでいた冬の遊びは、というと、その1つが「ぎんが」だったのだ。
「銀河」は、夏の夜に空にかかっていたものだった。
では、ここでいう「ぎんが」はというと、冬の地面に関係する。
雪が固まった地面はつるつる滑る。
陽射しを反射してぴかぴか光ったりもする。
その、雪が地面で固くなって滑りやすくなっている状態のことを「ぎんが」と言うのだ。
そして、雪面をつるつる滑る状態にすることを、「ぎんがをかける」と言ったのだ。
今日の午前中のように気温が低くて粉雪のような雪が積もって晴れた日は、ぎんがを作って遊ぶのにとても適した日だった。
「休み時間に、ぎんがかけて遊ぼで(遊ぼう)!」
子どもの間では、そんな声がよく上がったものだった。
滑りやすくするために使う靴は、校内履きの運動靴だった。
あの当時の校内履きの運動靴は、靴裏の模様も深くなく、それで雪を固め靴裏に力を入れてゴシゴシこすると、雪面が固くなりつるつるになるのだった。
これが長靴だと、靴裏が雪で滑らないように加工してあるので、つるつるの地面は作れなかったのだ。
ぎんがをかけた後は、その上をみんなでキャアキャア言いながら滑って遊ぶのだ。
女子にとっては、男子みたいに雪玉を作って割り合うようなことよりも、みんなでつるつるに滑る道を作って、一気に滑って遊ぶことが楽しいことだったようだ。
時々、男子もぎんがをかけて遊んでいた。
ただ、ワルの奴は、いたずらに使っていた。
作った後にほかの奴を呼んで、気付かれないようにしながら、ぎんがの上を通らせ、滑って転ぶのを見て喜ぶのである。
私も、ひっかかったことがある。(くそ~!)
ひっくり返って転ぶと、転んだ下は固められたぎんがゆえ、固い地面と変わらない。
とても痛い目にあったのであった。(>_<)
子ども時代の「ぎんが」。
今日午前の晴れ間に、道路の雪がカチカチになって滑りやすくなっていたから思い出した。
今の子どもたちには見ない、懐かしき冬の遊びであった。