神奈川県立歴史博物館の特別展「鎌倉ゆかりの芸能と儀礼」を見る。
鎌倉に「面掛行列」といふ古ひ藝能が伝わってゐることは知ってゐるが、未だ見に行く機会を得ていない。
さりながら、自らも面を掛けて藝を演じる者として、猿楽以前の古面を用ゐるこの藝能につひて“なにか”を得たい──さういふ思ひで、博物館へ出かける。
この行道藝能に用ひゐられる、いはゆる「行道面」は、布地を漆で固めて作った原形に、表に . . . 本文を読む
横浜市技能文化会館で開催された「第21回 横浜マイスターまつり」にて、特別ゲストの高嶋秀武さんのトークショーを楽しむ。
会場内で、到着したばかりの高嶋秀武さんを偶然見かけたときは、少年時代からラジオで聴き親しんでゐる人を初めて見た嬉しさから、思わず顔がほころぶ。
そして軽やかに登壇した高嶋秀武さんは、平成といふ三十年はどんな時代であったか、そしてその三十年間に起きた数々の自然災害と時の政 . . . 本文を読む
相模鉄道線の駅で、20000系が今年のグッドデザイン賞に輝いたことを知る。
正面の横皺がどうかとは思ふが、パール加工を施したネイビーブルーの外観、無駄を省きつつも○○東日本の車輌の如く安普請ではない洗練された内装、そして落ち着いた乗り心地──
たしかにグッドデザイン賞にはふさわしい車輌だと、私も同感。
東京圏の至る所で似たり寄ったりなデザインの失笑モノ新型車輌が増殖しつつある今日、
『待 . . . 本文を読む
東京へ戻って以来、大阪へ来ても梅田駅からは地下鉄で四天王寺までを直行直帰するだけだったので、今回はじつに十数年ぶりにミナミ──道頓堀と千日前界隈を訪ねてみる。
が、あまりにヒトの喧しい場所に様変わりしてゐて、「こはいかに……」と、唖然とする。
もとよりここは賑やかなところだが、私が大阪府民だった十数年前は、もっと関西言葉に溢れた、もっと上方独自の匂ひを持つ繁華街だった──はずだ。
その匂ひが . . . 本文を読む
西日本を訪れたつひでに、師匠の故郷でもある讃岐國高松へ渡り、琴平電鉄に移住した京浜急行の車両に会ひに行く。
もと700形の1200形は頻繁に見かけたが↑↓、
私が本当に会ひたかったのは、京浜急行の“顔”でもあった初代1000形。
瓦町駅でしばらく待ち構へてゐると、やうやく琴平町方面からやって来た。
落書きじみた広告の文字がうるさいものの、
かつての京浜急行の“顔”、強い加速 . . . 本文を読む
山口縣山口市天花の野田神社能楽堂にて、かねてより観たいと願ってゐた鷺流の狂言を観る。
江戸時代の創流にして狂言方筆頭となり、そして江戸時代の終焉と運命を共にした、狂言鷺流。
明治時代、宗家が死去すると子息は跡を継がず、分家の当主は病弱を苦に割腹自殺したため、玄人流派としての鷺流は、事実上ここに廃絶する。
さりながら、かつての弟子が山口縣に移住して当地の人々に鷺流の藝を教へたほか、佐渡島、 . . . 本文を読む
今年も地元自治体後援の芸術祭に参加し、公会堂の舞台で現代手猿楽を演じる。
内容がダンスばかりのイベントは妙に取り澄ましたヒトが多くてその空気が好きではないが──ところが肝心の中身(ネタ)に大差は無いのである!──、こちらは地元の人々が気さくに賑やかにやってゐて、その雰囲気が好きで毎年楽しく参加してゐるうち、今年で五回目を数へけり。
今回は、神奈川県三浦市の民俗芸能「菊名の飴屋 . . . 本文を読む
個人蔵で今回初公開の「水藝」を観に、鎌倉市鏑木清方記念美術館の「清方描く、鏡花の世界」展へ行く。
鏑木清方は親交の深かった泉鏡花の小説を数多く視覚化した日本画家であり、昭和六年(1931年)発表の「水藝」もその一つ。
原典は「義血俠血(ぎけつきょうけつ)」──後に新派が「瀧の白糸」の題で劇化して、お家藝にする作品。
この「水藝」を見たいと思ったのは、別にかの新派劇の影響ではなく──ど . . . 本文を読む
東京国際フォーラムで行はれた倉木麻衣のコンサート“Red it be ~君想ふ 春夏秋冬~”に行ってみる。
チケットの発売日が、ちょうど横浜で「駿河天人」を舞った日と重なってゐたため、入手は無理だらうと思ってゐたが、無事舞ひおほせて昼過ぎにプレイガイドへ問ひ合わせてみたら、『まだお席に余裕があります』。
そんなものなのだらう。
さうして入手した席は、文字通り . . . 本文を読む