(中国の王毅外相は、北京を訪問しているロシアのラブロフ外相と9日に会談しました。
会談後、王毅外相はラブロフ外相と共同で会見し、アメリカによる中国への先端半導体の輸出規制などを念頭に、「中国とロシアはサプライチェーンに障壁を構築することや、デカップリングに共同で反対する」と述べ、欧米などから制裁を受けるロシアとの協力を深めていく考えを強調しました。
一方、ロシアのラブロフ外相は会談の冒頭で「ロシアと中国の包括的なパートナーシップと戦略的な相互関係は、前例のないレベルに達している」と述べたうえで、3月にモスクワ郊外で起きたテロ事件にも言及して、テロ対策でも中国と協力していくと強調しました。【4月9日 NHK】
会談後、王毅外相はラブロフ外相と共同で会見し、アメリカによる中国への先端半導体の輸出規制などを念頭に、「中国とロシアはサプライチェーンに障壁を構築することや、デカップリングに共同で反対する」と述べ、欧米などから制裁を受けるロシアとの協力を深めていく考えを強調しました。
一方、ロシアのラブロフ外相は会談の冒頭で「ロシアと中国の包括的なパートナーシップと戦略的な相互関係は、前例のないレベルに達している」と述べたうえで、3月にモスクワ郊外で起きたテロ事件にも言及して、テロ対策でも中国と協力していくと強調しました。【4月9日 NHK】
こうした政府間の蜜月ぶりの一方で、経済取引の現場ではアメリカの経済制裁の影響が出ていることが報じられています)
【アメリカが昨年12月に導入した対ロシア第二次制裁】
アメリカなどが主導する対ロシア経済制裁については、ロシア経済が“しぶとい”ことから、効いていない、効いているとの論議があります。
このブログでも、3月23日ブログ“ロシア石油精製施設へのウクライナのドローン攻撃で露呈するウクライナとアメリカの立場の違い”で、G7が導入したロシア産原油に価格上限を設ける経済制裁についてとりあげました。
世界の原油取引を混乱に陥れるロシアの原油生産抑制という行動を回避しつつ、ロシアの原油取引収益を相当程度に抑え込むという意味で、一定の効果をあげているというものでした。
今回取り上げるのは、アメリカが昨年12月に導入した第二次制裁、制裁を受けているロシア企業の資金決済に関与した場合、銀行に対し厳しい罰則を課すものです。
****米国、対ロシア「二次制裁」発動へ-決済支援した銀行が対象****
米国はロシアの軍産複合体による資金決済に関与した銀行を対象とする新たな制裁措置を講じる。ウクライナ侵略を続けるプーチン政権に手を貸す資金の流れを断つ取り組みの一環だ。
バイデン米大統領は22日、2本の大統領令を修正し、ウクライナでの戦争を巡りいわゆる「二次制裁」を米国として初めて発動できるようにする。記者団に説明した政府高官が匿名を条件に明らかにした。
これにより、すでに関連の制裁を受けている企業と取引をした場合、銀行に対し金銭面での厳しい罰則が科せられることになる。取引相手がロシア絡みの制裁を受けていることについての認識の有無にかかわらず制裁の対象になる。
米国の銀行はすでに制裁違反にならいようコンプライアンス(法令順守)対応で多額の資金を投じており、新たな制裁措置をさらなる頭痛の種と捉える銀行もあるとみられる。
国際的な銀行の多くはロシアとの直接取引はすでに行っていないが、ロシアとの貿易に関係する金融活動を続けている第3国の金融機関向けにコルレス銀行業務を行うことはあり得る。
イエレン米財務長官は声明で、制裁の「迂回(うかい)・回避を意図的もしくは意図せずして手助けすることがないよう金融機関があらゆる取り組みをすると見込んでいる」とし、ロシアの戦争に絡み便宜を図った金融機関に対し断固たる措置を講じるため今回の大統領令で認められた「新たな手段の活用をためらうことはない」と表明した。
米当局は今後数週間にわたり、米国と欧州の銀行に大統領令について説明し、制裁違反にならないよう対応する必要があると警告する予定。【2023年12月22日 Bloomberg】
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コルレス銀行については、以下のようなものです。
****コルレス銀行とは:海外送金の仕組みを知る****
海外の銀行同士には、直接的なつながりがないことがほとんどです。そのため、海外送金の際に、銀行はSWIFTと呼ばれる国際的な銀行のネットワークを利用します。
このSWIFT送金で、送金銀行と受け取り銀行をつなぐ役割を果たすのが、コルレス銀行(仲介銀行、中継銀行、経由銀行とも呼ばれる)です。ちなみに「コルレス」はCorrespondentの略です。
例えば、日本からアメリカに海外送金する場合、その流れは、以下のように表すことができます。
日本の送金人の銀行 → コルレス銀行1 → コルレス銀行2 → アメリカの受取人の銀行
海外送金では、大抵2つ、多くて3つものコルレス銀行(中継銀行)を経由することがあります。【WISE】
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【中国、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の銀行がアメリカからの報復を恐れ、ロシア経済への影響拡大】
昨年末に始まったこの「第二次制裁」を今取り上げるのは、この制裁の影響を報じる記事を最近よく目にするからです。
****中国や中東の銀行、ロシア石油会社への送金遅延 二次的制裁を懸念****
ロシアの石油会社に対する中国、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の銀行の原油・燃料売却代金送金が遅れている。ロシアのウクライナ侵攻を受けた米国の対ロシア制裁の影響を銀行側は懸念しており、最大数カ月の遅れが生じているという。事情に詳しい関係者8人が明らかにした。
米政府の制裁は、国際市場を混乱させることなく、ロシアの戦費につながる石油収入源を絶つことを主眼としている。
侵攻開始直後は、ロシア産石油の輸出や代金支払いが滞ったが、ロシアが新たな輸出ルートを開拓し石油収入は正常化した。
ところが、銀行や貿易関連の関係者によると、中国、UAE、トルコの一部銀行がここ数週間、制裁順守の要件を強化。その結果、ロシアへの送金の遅延や拒否の事例が出ている。
関係筋の一人は、非自国民のロシアとの取引を規制する米国の二次的制裁が影響していると説明。米財務省は昨年12月、ロシア産石油の価格上限規制に抵触した外国銀行は制裁対象になる可能性があるとし、制裁の順守を求めた。【3月27日 ロイター】
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****中国経由のロシア石油決済に最大6カ月、欧米の金融制裁で****
ロシア産石油の輸入代金の支払いを中国経由で行う際、決済に最大6カ月かかることがロイターの取材で分かった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う米国や西側諸国の金融制裁が背景にある。
ロシアの銀行の90%が2022年末までに中国で口座を開設し制裁回避を図った。しかし、中国などの銀行は、ロシア産原油や燃料油の貿易決済に関われば、ロシアに加担したとして米国からロシア同様の制裁(二次制裁)を受けかねないと警戒するようになった。
ロシアの石油会社は原油や燃料の輸出代金の受け取りが最大数カ月遅れるようになり、決済の迂回ルートを模索した。
この結果、ロシアの銀行として中国で唯一、本格的な支店機能を持つ国営VTB銀行(VTBR.MM),上海支店に口座開設の申し込みが殺到した。関係者によると、支店スタッフの陣容は限られているため口座開設に6カ月も待たされるケースがあるという。VTB銀行はロイターの取材に対しコメントを控えた。【4月5日 ロイター】
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*****ロシア企業からの支払い、中国が精査厳格化か 電子部品に影響****
ロシア企業が中国への支払いに際して、ますます大きな障害に直面していると、2つのロシア系ニュースメディアが12日報じた。特に、電子部品が絡む取引が影響を受けているという。
コメルサント紙が市場関係者の話を引用して報じたところによると、一部の中国の銀行が3月下旬以降、サーバーやストレージシステム、ラップトップに必要な重要な電子部品などに関して、ロシアからの支払いをブロックし始めた。
これまでにも主に完成品を対象に制限がかけられていたが、これをさらに拡大するものだとしている。
コメルサント紙が引用した専門家によれば、このような部品のサプライヤーは中国だけであり、電子機器を組み立てるロシア企業は深刻な困難と生産遅延に直面する可能性があるという。
一方、イズベスチヤ紙によると、中国銀行や長城華西銀行など複数の中国系銀行は、ロシアの顧客に対し取引に関する詳細な質問をするようになった。具体的には、ロシア軍やロシアが支配するウクライナ地域、あるいはキューバ、イラン、シリアといった国々と関連があるかどうかなどだという。【4月12日 ロイター】
コメルサント紙が市場関係者の話を引用して報じたところによると、一部の中国の銀行が3月下旬以降、サーバーやストレージシステム、ラップトップに必要な重要な電子部品などに関して、ロシアからの支払いをブロックし始めた。
これまでにも主に完成品を対象に制限がかけられていたが、これをさらに拡大するものだとしている。
コメルサント紙が引用した専門家によれば、このような部品のサプライヤーは中国だけであり、電子機器を組み立てるロシア企業は深刻な困難と生産遅延に直面する可能性があるという。
一方、イズベスチヤ紙によると、中国銀行や長城華西銀行など複数の中国系銀行は、ロシアの顧客に対し取引に関する詳細な質問をするようになった。具体的には、ロシア軍やロシアが支配するウクライナ地域、あるいはキューバ、イラン、シリアといった国々と関連があるかどうかなどだという。【4月12日 ロイター】
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「制裁による圧力が高まり、ロシア経済に影響を与えている」との指摘も。
****中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界がロシアを見放しつつある****
<アメリカの対ロシア制裁が拡大、強化されるとともに、ロシアとの取引を停止する同盟国が増えてきた。この動きは今後のロシア経済に大きな影響を与えるだろう>
アメリカがウクライナに侵攻するロシアへの制裁を強化するなかで、ロシアと同盟関係にある国々も、次々とロシアを見放そうとしている。
ロシアの長年の同盟国である中国、トルコ、アラブ首長国連邦、インドなどの最近の動きを見ると、アメリカの二次制裁を恐れていることがうかがえる。
中国の多くの大手銀行は、制裁対象となっているロシアの金融機関からの支払いの受け入れを停止している。また、アルメニアとキルギスタンの銀行は、制裁によってロシア国内で扱いが止められているビザやマスターカードに代わるロシアの決済システム「ミール」を利用したカードの取り扱いを停止した。
かつてロシアの石油を最も多く購入していたインドは、ロシアのプレミアム原油の支払いを停止したと報じられている。
一方、中国、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の銀行がアメリカからの報復を恐れているため、ロシアの石油会社は原油や燃料の売却代金の送金が最大数カ月の遅れに直面している、と27日付のロイター通信は報じている。
米財務省によれば、これらの国々は戦争中もロシアとの関係を維持しており、ロシアは現在進行中の制裁を回避するためますます頼るようになっている相手だ。
拡大する対ロ制裁
昨年12月、ジョー・バイデン大統領は、ロシアとの重要な取引を促進する外国の銀行をアメリカが直接制裁することを可能にする大統領令を発布した。米政府は、ロシアの防衛産業を支援する企業と取引を行う銀行を金融システムから遮断すると脅した。
ジャネット・イエレン財務長官は当時、「われわれは、金融機関が故意、あるいは偶然に、迂回や制裁回避を助長することのないよう、あらゆる努力を払うことを期待している」と述べた。「われわれは、この権限による新たな手段を躊躇することなく行使し、ロシアの戦争マシンへの供給を促進する金融機関に対して、断固とした行動を取る」
アメリカは、プーチンが2022年2月にウクライナ戦争を開始して以来、対ロ制裁を徐々に拡大してきた。外貨準備が凍結し、ロシアがSWIFT(国際銀行間金融通信協会)の銀行システムから締め出したことで、ロシア経済は打撃を受けた。
バイデンはまた、2022年3月にロシアの石油輸入を禁止すると発表し、この動きはロシア経済の「大動脈」を標的にするものだと述べた。一方、G7、EU、オーストラリアは、1バレル60ドル以上で販売されるロシアの海上石油輸出の保険、融資、船積みを禁止する価格上限規制を課した。
ロイターは事情に詳しい銀行・貿易関係者8人の発言を引用し、中国、UAE、トルコの多くの銀行がアメリカからの圧力に警戒を強めていると伝えた。ある情報筋によると、12月のバイデン大統領令によって、銀行や企業は「アメリカの二次制裁の脅威が現実のものである」ことを認識したという。
2人の情報筋によると、UAEではファースト・アブダビ銀行(FAB)とドバイ・イスラム銀行(DIB)が、ロシア製品の取引に関連する口座をいくつか凍結した。UAEのマシュレク銀行、トルコのジラート銀行とバキフ銀行、中国工商銀行、中国銀行は決済処理こそ続けているものの、大幅な遅延が発生していると、4人の情報筋がロイターに語った。
ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は最近の記者会見で、中国の銀行の処理遅延を認め、「中華人民共和国に対するアメリカとEUからの前例のない圧力が続いている」と述べた。
「もちろん、これは一定の問題を引き起こすが、(中国との)貿易・経済関係のさらなる発展の障害にはならない」とペスコフは語った。
ワシントンのシンクタンク、ウィルソン・センターは2月に発表した報告書で、「制裁による圧力が高まり、ロシア経済に影響を与えている」と指摘した。「ロシア経済の健全性に対する懸念が再燃している。それで最近の国内の弾圧強化と支出増大の説明がつくだろう」
「経済制裁には否定的な意見もあるが、対ロ制裁は機能している。時間をかけ、圧力をしっかりかけることで、ロシア経済にさらに大きな影響が出るはずだ」と報告書は付け加えた。【4月10日 Newsweek】
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国際金融に疎い私などにはわかりにくい仕組みですが、要するにウクライナ絡みのロシア企業の取引の決済に関与する銀行はアメリカから制裁を受けるというものです。
ロシアと中国は、政府間では蜜月ぶりを誇示していますが、中国側の銀行はアメリカから制裁を受けるのは死活問題ですので、ロシアの取引に関与するのに及び腰になっているようです。
資金の流れを止められると取引も出来なくなりますので、相当の影響があるようです。
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