孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

エジプト  閑散としたアブシンベル神殿 厳しい観光業の現状

2017-03-31 03:23:31 | 身辺雑記・その他

(アブシンベル神殿のラムセス2世像 エジプト新王国第19王朝のファラオ(在位:紀元前1290 - 紀元前1224年、または紀元前1279 - 紀元前1212年))

エジプト時間の午前9時半、スーダン国境も近いアブシンベルから、北に約280kmはなれたアスワンに向けて車で移動中です。

スーダン国境も近いということで、大量の商品を積んだスーダンに向かう大型トラックが散見されます。

アブシンベルの観光スポットはアブシンベル神殿だけです。

名前は聞いたことがない人も、岩肌に穿たれた巨大なラムセス2世の像が並ぶ光景は、どこかで一度はご覧になったことがあると思います。

かつてアスワンハイダムが建設される際に水没することになるため、ユネスコの国際キャンペーンによって、大規模な移動工事が行われ、現在もその雄姿をとどめることができています。

もちろん世界遺産ですが、“大安売り”状態の世界遺産にあっても、万里の長城とかアンコールワットやピラミッドなどと並ぶ、まさに“人類の遺産”とも言うべきものです。

そんな世界的観光スポットですから、さぞや賑わっているのだろうとも思ったのですが、人影もまばらといった状態でした。

神殿のすぐ近くのホテルに昨夜は宿泊したのですが、私の基準からすると非常にりっぱなホテル(他に適当なホテルが付近になかったため、そこに決めた次第ですが)の広い敷地内に客の姿が見えません。

今朝がた、かろうじて欧米人の4人組がいるのを目にした・・・そんなところです。多分、客よりホテルスタッフの方が多いのでは。

神殿に向かう道も閑散としており、入り口付近の土産物屋も半分ほどは閉店状態。

中に入って誰もおらず、貸し切り状態。神殿に着いて、ようやく数組他の観光客を発見した・・・そんな感じでした。

エジプト観光業がテロの危険性があるということで壊滅的打撃を受けていることは、これまでも何回か取り上げてきましたが、まさにそうした危機的状況を物語るアブシンベル神殿でした。

カイロ・ギザのピラミッドは、さすがにそこそこの観光客はおり、学校の生徒たちが集団で社会見学だか遠足だかに来ている光景もありました。

ただ、エジプトの基幹産業でもある観光を支えるピラミッドが“そこそこ”では困るでしょう。
観光客相手の多くのラクダや馬が暇を持て余しているようでしたし、付近でも閉じた店が散見されました。

アスワンでも、イシス神殿に渡る渡し船の大船団が停泊していましたが、稼働しているのは数隻のみ。

厳しい状態が続いていますし、今後に向けてもテロの動向次第ですが、なかなか・・・といったところです。

最近は、各国の観光スポットで、夜になると“音と光のショー”の類が催されています。

エジプトでも、ギザのピラミッドでも、アブシンベルでも、明日行くルクソールでも行われていますが、昨夜観たアブシンベル神殿でのショーはとても壮大なものでした。

単に神殿の巨像をライトアップするだけでなく、大神殿と小神殿が穿たれた二つの大きな岩肌をスクリーンにして巨大な映像が投影され、見ごたえがあります。

その点、ギザのピラミッドは、ほとんど単なるライトアップで終わっており、やや退屈な感も。(もっとも、ギザでは、会場に入らず、ホテルからのただ見でしたので、迫力がちがうということもあるでしょうが)

ギザのショーでは、途中にイスラムモスクからのアザーンが大音響で始まり、ショーの雰囲気を台無しにする場面も。

外国人観光客相手のショーに構わず流れるイスラムのアザーンというのも、イスラム諸国の現実を示す一端と考えると、それはそれで興味深いものではありますが。

アブシンベルのショーは素晴らしかったのですが、客は私を含めて7名。
申し訳ないような状況ですが、7人中日本人が3人ということで、ショーは日本語で行われました。もちろんイヤホーンでの他言語への翻訳サービスはあります。

今日は昼過ぎにアスワンに戻り、ファルーカと呼ばれる帆かけ船でのナイル川クルーズ、そのあと列車でルクソールへ移動の予定です。

ネット環境が悪く、新しいニュースなどが検索できないため、観光のひまネタで。

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