(【12月27日 Bloomgerg】 右肩上がりの白が最大野党の保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、赤が与党・中道左派の社会民主党(SPD) 青が極右・ドイツのための選択肢(AfD)) AfDの伸びは昨年中はストップしたようです。)
【最大野党の保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は支持率トップも、単独過半数には届かない見込みで、連立交渉か】
ドイツでは異例の議会解散による総選挙が2月23日に行われます。
ショルツ首相率いる中道左派の社会民主党(SPD)と環境派の「緑の党」、そして中道の自由民主党(FDP)による3党連立政権は昨年11月、経済や財政政策の対立から自由民主党(FDP)が連立を離脱して少数政権となり政権運営に行き詰まりました。
ドイツは議会解散の頻発がナチス台頭をもたらした反省から、基本法(憲法)で解散を厳しく制限しているため、ショルツ首相が要請した信任投票が予定どおり反対多数で否決されて不信任となるという形を受け、ショルツ首相がシュタインマイヤー大統領に議会の解散を求め、大統領が議会を解散する・・・という流れになっています。
上記事情からドイツでは解散総選挙は異例で、2005年のシュレーダー政権以来となります。
****ドイツ大統領、連邦議会を解散 来年2月23日総選挙へ****
ドイツのシュタインマイヤー大統領は27日、連邦議会(下院)で信任投票が否決されたショルツ首相の提案を受け、下院を解散した。来年2月23日に総選挙を実施することも正式に発表した。解散総選挙は2005年以来、19年ぶり。
争点は経済問題や移民・難民政策、ウクライナ支援など。
世論調査では最大野党の保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が支持率で首位を走り、排外主義の右派、ドイツのための選択肢(AfD)が2位。与党のショルツ氏の中道左派、社会民主党(SPD)と環境派の「緑の党」は低迷している。
21年12月に発足した3党連立政権は今年11月に崩壊した。【12月27日 共同】
***********************
支持率ではトップの最大野党の保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)も単独過半数には届かない見込みで、連立政権が現実的と考えられていますが、その連立交渉は難しそう。
****ドイツ総選挙、世論調査トップは中道右派 首相、信任案提出へ****
(中略)公共放送ZDFが12月6日に発表した世論調査によると、支持率が最も高いのは、メルケル前政権で与党だった中道右派の統一会派CDU・CSUで33%。次いで、地方選挙で躍進が続く排外主義的な右派、ドイツのための選択肢(AfD)が17%と続き、ショルツ氏が率いる社民党は15%にとどまる。緑の党は14%、自民党は4%だった。
現時点で次期首相に最も近い立場にいるCDUのメルツ党首は、社会福祉の削減や難民規制の強化など保守的な政策を打ち出し、厳しすぎる気候変動対策にも懐疑的とされる。メルツ氏が政権を率いることになれば、リベラル色の強かったショルツ政権からの方針転換となりそうだ。
ただ、現状では総選挙でCDU・CSUは単独過半数には届かない情勢だ。メルツ氏はAfDとの連立を否定しており、社民党か緑の党との連立が現実的となる。
メルツ氏は今月3日、独大衆紙ビルトに対し「外交と安全保障政策では緑の党と共通点が多い」と述べ、同党との連立交渉の可能性をにおわせた。
緑の党は、ショルツ氏が拒否する長距離巡航ミサイル「タウルス」の供与を含む積極的なウクライナ支援を主張しており、メルツ氏の考えと近い。ただ、両党はその他の政策では相いれず、CDUの姉妹政党であるCSUのゼーダー党首は両党の連立に反対している。
一方、社民党と組めば、メルケル前政権以来となる2大政党による「大連立」となる。だがCDU・CSUは政治の混乱を招いたとして、ショルツ氏を厳しく批判してきた。「ショルツ氏なしの社民党ならチャンスがある」(ゼーダー氏)との声が上がるほどで、連立交渉は容易ではなさそうだ。
21年の前回の総選挙では、支持率トップだったCDUのラシェット党首(当時)が災害現場で笑ったことを批判され、社民党が10ポイント以上開けられていた差を逆転してショルツ政権発足につながった。今後の動きや出来事次第で、選挙情勢は大きく変わる可能性もある。【12月10日 毎日】
*********************
【総選挙の争点の一つが移民・難民対策 注目される年末に起きたクリスマスマーケット襲撃事件の影響】
“今後の動きや出来事次第で、選挙情勢は大きく変わる”ということでは、東部マグデブルクで12月20日、サウジアラビア出身の医師がクリスマスマーケットに車で突っ込み、子供を含む5人が死亡、負傷者は200人を超えるという事件の移民・難民対策が争点となっている選挙への影響、特に支持率2位につけている移民排斥的なドイツのための選択肢(AfD)にどう影響するのかが注目されます。
****ドイツの車暴走、容疑者は「反イスラム」主義者…移民に対する憎悪に拍車の恐れ****
ドイツ東部マグデブルクで20日にクリスマスマーケットを襲撃した容疑者の男は、サウジアラビア出身の医師で、特異な経歴から動機に注目が集まっている。
来年2月に予定される独連邦議会選挙に向け、移民排斥を訴える右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が今回の事件を支持拡大に利用し、移民に対する憎悪をあおる可能性がある。
ドイツに2006年亡命
地元メディアによると、男は母国サウジでの迫害を理由に2006年にドイツに亡命した。更生施設で精神科医として働いていたが、最近「就労不適格」とされた。サウジ女性の国外亡命を長年支援していたという。
警察当局は20日夜、容疑者の取り調べを始めた。独紙ウェルトは、男が反イスラム主義の活動家で、寛容な移民政策を進めたドイツの「イスラム化」を懸念していたと報じた。男は今年5月、自身のSNSでイスラム教徒の入国を制限するべきだと主張し、AfDに共鳴していたという。
社会の分断、一層進む恐れ
AfDのアリス・ワイデル共同党首は20日、「衝撃的だ。この狂気はいつ終わるのか」とX(旧ツイッター)に投稿し、事件を非難した。
事件現場があるザクセン・アンハルト州を含む旧東独地域は、AfDの地盤でもある。今年6月に行われた同州の地方選挙で、AfDは州全体で最多の票を得るなど着実に支持を伸ばしている。シリアのアサド政権崩壊を受け、「もはや逃げる理由がない」(ワイデル氏)としてシリア人の早期帰還を求めるなどイスラム系住民への圧力を再び強め始めている。
今回の事件も含め、選挙戦では移民や難民を巡る議論も争点になると予想され、社会の分断が一層進む恐れがある。【12月22日 読売】
*******************
****車突入事件の直後から移民・難民排斥デモ***
2015〜16年にやってきたシリア難民は100万人を超え、現在も大部分がドイツにとどまっている。
10年前は「シリア難民は人手不足に悩むドイツ経済の救世主となる」との期待があったが、肩すかしに終わってしまった。それどころか、「彼らのせいで国内の治安が悪化している」との非難が噴出している。
生活が厳しくなったドイツ人が最も怒っているのは、移民がドイツの社会福祉制度に依存していることだろう。独連邦雇用庁が昨年9月に発表したデータによれば、「市民金(生活保護と失業手当をひとまとめにしたもの)」の受給者の3分の2が移民の背景がある人たちだ。シリア難民の受給者は約50万人に上っている。
移民への風当たりが強まっている矢先に恐れていた事件が起きた。(中略)犯行直後からドイツ各地で「移民・難民の国外追放」を訴えるデモが相次いでいる。【12月26日 藤和彦氏 デイリー新潮】
*****************
サウジアラビア出身の医師(2006年にドイツに移り住み、永住権を取得 「元イスラム教徒」を自称する反イスラム主義活動家)による凶行と言う点では、移民・難民に厳しい目を向け始めている世論の反移民感情を加速させ、AfDも最大限に事件を活用するでしょう。
ただ、微妙なのは一部メディアが容疑者は移民排斥を掲げる極右政党「AfD」を支持していたと報じていること。
****5人死亡のクリスマスマーケット襲撃 極右政党「AfD」は関係を否定 サウジ出身の男が「支持していた」と地元メディア報じる****
ドイツのクリスマスマーケットに車が突っ込み5人が死亡した事件で、容疑者の男が支持していたと報じられた極右政党の地元幹部がJNNの取材に応じ、「支持者ではない」と話しました。
この事件で拘束されたサウジアラビア出身の男について、一部メディアは移民排斥を掲げる極右政党「AfD」を支持していたと報じています。
こうしたなか、AfDの地元幹部がJNNの取材に応じ、この報道を否定しました。
極右政党「AfD」 マクデブルク市議団団長
「男が(SNSで)ある種の投稿や共有をしたというのが理由にされています。しかし、本当のAfD支持者は、決して襲撃事件を起こしたりしません」(後略)【12月23日 TBS NEWS DIG】
この事件で拘束されたサウジアラビア出身の男について、一部メディアは移民排斥を掲げる極右政党「AfD」を支持していたと報じています。
こうしたなか、AfDの地元幹部がJNNの取材に応じ、この報道を否定しました。
極右政党「AfD」 マクデブルク市議団団長
「男が(SNSで)ある種の投稿や共有をしたというのが理由にされています。しかし、本当のAfD支持者は、決して襲撃事件を起こしたりしません」(後略)【12月23日 TBS NEWS DIG】
*********************
【主要政党の経済対策 「もっと大規模なものが求められる」との指摘も 軍需期待も】
2年連続でマイナス成長という状況で、経済対策では財政規律が争点になっています。
****独主要政党、2月総選挙控え公約発表 最大の争点は経済対策****
来年2月23日に総選挙が実施されるドイツで17日、主要政党が選挙公約を相次いで発表した。
最大の争点は低迷する経済への対策だ。ドイツの成長率は2年連続でマイナスに陥ろうとしており、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は外国メーカーとの厳しい競争に直面するなど課題は山積している。この日公表されたIFO経済研究所の12月業況指数も、市場予想を下回った。
こうした中で世論調査の支持率が最も高く、政権奪取が見込まれている保守のキリスト教民主同盟(CDU)は、所得税と法人税の減税や電気料金引き下げを通じて経済のてこ入れを図る方針を打ち出した。
これらの措置には財源の裏付けが不明確だとの批判もあるが、CDUは成長ペース加速による歳入増加や社会福祉予算を一定程度削減することで賄えると見積もっている。
一方、CDU党首で次期首相が最有力視されるフリードリヒ・メルツ氏はこれまでのところ、財政運営と歳出に一定の規律を持たせるために憲法が定めた「債務ブレーキ」を維持する意向を示している。
これに対してショルツ首相が率いる中道左派、社会民主党(SPD)や、SPDと連立を組む環境保護政党、緑の党は債務ブレーキを修正したい考え。
緑の党のハーベック経済相は、メルツ氏はドイツが突き付けられている現実に正面から向き合おうとしていないと批判。「われわれはインフラを根本から立て直さなければならない。老朽化したインフラの全面的な改修には今後10年で推定数千億ユーロかかり、債務ブレーキの改革が必要になってくる」と訴えた。
ショルツ氏は、SPDが掲げる政策の目玉に雇用を挙げている。「最優先かつ最も大事なのは既存の雇用を守り、新規雇用創出の道を確保することだ」と強調した。
SPDは、特に国内生産とインフラ近代化に向けた民間投資にインセンティブを導入することも提案している。
ただ一部のエコノミストからは、こうした主要政党の政策でドイツ経済の大幅な変革が可能かどうかは疑問だとの声が聞かれた。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイルス・デラルビア氏は「小粒の対策では効果がない。もっと大規模なものが求められる。(しかし)大半の選挙公約にそうした内容は見つけ出せない」と語った。【12月18日 ロイター】
最大の争点は低迷する経済への対策だ。ドイツの成長率は2年連続でマイナスに陥ろうとしており、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は外国メーカーとの厳しい競争に直面するなど課題は山積している。この日公表されたIFO経済研究所の12月業況指数も、市場予想を下回った。
こうした中で世論調査の支持率が最も高く、政権奪取が見込まれている保守のキリスト教民主同盟(CDU)は、所得税と法人税の減税や電気料金引き下げを通じて経済のてこ入れを図る方針を打ち出した。
これらの措置には財源の裏付けが不明確だとの批判もあるが、CDUは成長ペース加速による歳入増加や社会福祉予算を一定程度削減することで賄えると見積もっている。
一方、CDU党首で次期首相が最有力視されるフリードリヒ・メルツ氏はこれまでのところ、財政運営と歳出に一定の規律を持たせるために憲法が定めた「債務ブレーキ」を維持する意向を示している。
これに対してショルツ首相が率いる中道左派、社会民主党(SPD)や、SPDと連立を組む環境保護政党、緑の党は債務ブレーキを修正したい考え。
緑の党のハーベック経済相は、メルツ氏はドイツが突き付けられている現実に正面から向き合おうとしていないと批判。「われわれはインフラを根本から立て直さなければならない。老朽化したインフラの全面的な改修には今後10年で推定数千億ユーロかかり、債務ブレーキの改革が必要になってくる」と訴えた。
ショルツ氏は、SPDが掲げる政策の目玉に雇用を挙げている。「最優先かつ最も大事なのは既存の雇用を守り、新規雇用創出の道を確保することだ」と強調した。
SPDは、特に国内生産とインフラ近代化に向けた民間投資にインセンティブを導入することも提案している。
ただ一部のエコノミストからは、こうした主要政党の政策でドイツ経済の大幅な変革が可能かどうかは疑問だとの声が聞かれた。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイルス・デラルビア氏は「小粒の対策では効果がない。もっと大規模なものが求められる。(しかし)大半の選挙公約にそうした内容は見つけ出せない」と語った。【12月18日 ロイター】
*********************
経済対策としては、「有事への備え」・軍拡の流れを受けての「軍需」という要素も。
****ドイツで「シェルター計画」と「新たな兵役モデル」 「2年連続マイナス成長」深刻な不景気への特効薬は軍拡なのか*****
(中略)
新たな地下壕計画、兵役モデルの施行
移民問題に加え、「有事への備え」もドイツ政治の中心テーマとなった感がある。
ドイツ政府は11月下旬、ロシアからの核攻撃に対処するため、避難シェルター(バンカー)のリスト化や設置の奨励などを含む新たなバンカー計画に取り組んでいる。ドイツにはかつて約2000カ所のシェルターがあったが、現在使えるのは579カ所のみ。約8400万人の人口に対し、48万人分に過ぎない。
ドイツ政府は軍の規模拡大に踏み切る構えもみせている。ピストリウス国防相は18日、兵士を現在の約18万人から最大23万人にまで増員する可能性があると明らかにした。北大西洋条約機構(NATO)の戦力増強の取り組みが背景にある。
だが、徴兵制が2011年に停止された後、軍は人員の確保に苦労しており、現時点では目標を約2万人下回っている。
ショルツ政権は6日、兵員確保に資する新たな兵役モデルを閣議決定し、来年5月の施行を目指している。新たなモデルでは、アンケートを元に4〜5万人を徴兵検査に呼び、そのうち5000人に少なくとも6カ月の基礎的な軍事訓練に従事するよう促す。参加者には最大で月額2000ユーロ(約32万6000円)を支給する予定だ。
自動車から防衛へ“鞍替え”も
政府の軍拡にドイツ産業界も反応し始めている。
電気自動車(EV)の需要低迷と、中国との競争激化で苦戦を強いられるドイツ自動車業界には、リストラの波が押し寄せている。そこに、特需に沸く防衛産業から救いの手が差し伸べられた。
例えば、ミュンヘンに拠点を置くレーダー・光電子工学メーカーのヘンゾルトは、軍事関連の受注急増に対応するため自動車部品企業2社からチームを丸ごと雇い入れる交渉を進めている(12月14日付ブルームバーグ)。
深刻な不景気への特効薬は軍需しかないのもしれない。(後略)【12月26日 藤和彦氏 デイリー新潮】
*****************
【欧州政治にも関与(介入?)するイーロン・マスク氏】
上記のようなドイツ総選挙をめぐる状況に“参入”(介入?)しているのが極右AfDを支持するマスク氏。
****独政府、マスク氏の極右政党支持を非難 「選挙介入にあたる」****
ドイツ政府は30日、米起業家のイーロン・マスク氏が来年2月に行われるドイツの総選挙に影響を及ぼそうとしていると非難した。
マスク氏はトランプ次期米政権で要職に就く見通し。自身のソーシャルメディアXに「ドイツを救えるのは極右政党『ドイツのための選択肢(AfD)』だけだ」と投稿したほか、独紙ウェルト・アム・ゾンターク紙への寄稿でもAfDへの支持を改めて表明した。
独政府報道官はマスク氏のAfDへの支持について「国内情報機関が右翼過激主義の疑いで監視し、一部がすでに右翼過激主義と認定されている政党への投票を勧めるものだ」と指摘。「マスク氏がXへの投稿や寄稿を通して連邦選挙に影響を及ぼそうとしているのは事実だ」と述べた。
マスク氏には自身の意見を表明する自由があるとしながらも、表現の自由には「最大のナンセンス」も含まれるとした。
野党・キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は独紙フンケに対し、マスク氏のコメントは「押し付けがましく、傲慢(ごうまん)だ」と語った。メルツ氏は次期首相として有力視されている。【12月31日 ロイター】
マスク氏はトランプ次期米政権で要職に就く見通し。自身のソーシャルメディアXに「ドイツを救えるのは極右政党『ドイツのための選択肢(AfD)』だけだ」と投稿したほか、独紙ウェルト・アム・ゾンターク紙への寄稿でもAfDへの支持を改めて表明した。
独政府報道官はマスク氏のAfDへの支持について「国内情報機関が右翼過激主義の疑いで監視し、一部がすでに右翼過激主義と認定されている政党への投票を勧めるものだ」と指摘。「マスク氏がXへの投稿や寄稿を通して連邦選挙に影響を及ぼそうとしているのは事実だ」と述べた。
マスク氏には自身の意見を表明する自由があるとしながらも、表現の自由には「最大のナンセンス」も含まれるとした。
野党・キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は独紙フンケに対し、マスク氏のコメントは「押し付けがましく、傲慢(ごうまん)だ」と語った。メルツ氏は次期首相として有力視されている。【12月31日 ロイター】
****************
マスク氏の欧州選挙への参入はイギリスでも。
****マスク氏の極右支持が波紋 「選挙介入」、分断の火種に―独****
(中略)
マスク氏は独紙ウェルト日曜版にも寄稿し、AfDが掲げる規制緩和や反移民、原発再稼働などの方針を評価し、「政治的な現実主義だ。既存体制に無視されたと感じる人々の共感を呼んでいる」と称賛した。
マスク氏はベルリン近郊に巨大工場を持つ電気自動車(EV)大手テスラの最高経営責任者(CEO)。自社の利益の追求がAfDを支持する理由の一つとみられ、同党のワイデル共同党首の周辺と「定期的な連絡」(独メディア)を交わしているとされる。
AfDは反国家的活動家との近さから公安当局の監視下にあり、政界で異端視されている。排外主義や欧州連合(EU)からの離脱も辞さない姿勢は、産業界と相いれないとの見方が一般的。しかし、世界トップの実業家による「お墨付き」は追い風となっている。
総選挙に向けて劣勢を強いられている中道左派与党、社会民主党(SPD)のショルツ首相は、新年の国民向け演説で「ドイツのことを決めるのは国民だ。ソーシャルメディアのオーナーではない」とXを傘下に持つマスク氏への不快感をあらわにした。保守系野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を率い、次期首相の座に最も近いメルツCDU党首は「友好国に対するこのような選挙介入は記憶にない」と批判した。
マスク氏はドイツ以外の欧州の右派政治家とも交流を深めている。イタリアの極右政党「イタリアの同胞」党首のメローニ首相と密接な関係を構築。英国の右派ポピュリスト政党「リフォームUK」に巨額献金を行うとの見方も強まっている。
トランプ次期米大統領の盟友であり、莫大(ばくだい)な資金を持つマスク氏の動向は今後、欧州政界で注目を集めそうだ。【1月2日 時事】
*******************
“米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は英議会を解散し総選挙を実施するべきだと呼び掛けた。トランプ次期米政権がスターマー英政権に与える悩みの種が、また一つ増えた格好。”【1月3日 Bloomgerg】
実際に欧州政治にどれだけの影響力を持っているかは定かではありませんが、“影響力を持つ人物”というイメージを作り上げることでは成功しているようです。