テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

薔薇の《謎》は…異国の香り?

2010-07-15 23:21:23 | ブックス
 歩いていて、ふと見上げた先には……サルスベリのお花!
 夏だなぁ~と実感したネーさです、こんにちは。
 早く梅雨が明けて、これ以上の災害が起きぬことを心より望みます。

「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「ぐるるっ!」(←訳:虎ですっ!)

 濃いピンクや白、紫のサルスベリのお花は、
 如何にも夏~♪な季節の花ですが、
 中には季節も時代も流行も超越したお花もありますね。
 その代表が……バラ!
 本日ご紹介いたしますのは、
 バラ好きさんも唸らせる?こちらの一冊ですよ!


 
                  ―― 薔薇を拒む ――


 
 著者は近藤史絵さん、’10年5月に発行されました。
 『Pour un bouquet de roses,Que je lui refusais』と
 仏語題が付されています。
 
「ふむむッ? どんなァいみィ、なのでスかァ?」
「ぐるるー!」(←訳:意味深ぽいー!)

 ええ、これはフランスではとても有名な詩句なのだそうですが、
 物語のキーワードとも言える文章なので、
 敢えて、ここでは翻訳を控えましょう。
 読んでゆけば……自然にこの言葉の意味するところが
 浮かび上がってきます。
 
「うむゥ!
 なぞめいてェいまスねッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:ミステリなんだよ!)

 ミステリの範疇に属する御本ではありますが、
 奇怪な事件発生!
 名探偵登場!
 ずばりと解決して、犯人はお前だー!というような、
 英国風探偵小説とは少々……いえ、だいぶ違います。
 最初から最後まで、謎、謎、謎……?
 そう、おフランスのミステリアスな映画にも似た、
 ミステリアスストーリー、なんですね。

 鈴原博人(すずはら・ひろと)くんは、
 天涯孤独の身の上。
 施設で生活しながら高校に通っておりました。
 彼の生活が一転したのは、
 或るオファーを受けたため。
 
 裕福な実業家さんが、
 別荘で雑務をしてくれる若者を探している、と。
 三年間、そこで働けば、
 大学で学ぶのに必要な学費・生活費を
 保証してあげよう、と。

「……むゥ~??
 よいィおはなしィ、だけどォ~?」
「がるる~ぐるる?」(←訳:なんかね~ちょっとね?)

 鈴原くんも、心のどこかでは怪しんでいなくもないのです。
 でも、施設でお世話になり続けるよりは……
 僕が出てゆけば施設の経済的負担も減るんだから、
 新しい子を引き取ることが出来るし、
 今いる子どもたちにも服や本を買ってあげたり出来るだろう――

 そんな思いに背中を押され、
 鈴原くんは指定された列車に乗りました。
 列車は次第に、都会を離れ、
 山の奥へ奥へと向かいます。
 人里離れた、携帯電話も圏外になってしまう土地へ……。

「ふァ~、とおいィッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:むちゃくちゃ不安!)

 到着した別荘で、
 彼を待ち受ける謎とは?
 謎に、彼はどう立ち向かうのでしょう?

 おフランスの香り&気配がそこかしこに漂う、
 冬の薔薇のような《謎》ものがたり。
 非英国派ミステリを愛する方々に、
 おすすめです!

「ひょうしもォ、すてきィでス!」
「ぐるるがる!」(←訳:良い薔薇だよ!)

 表紙の装画は、堀川友里さんによるものです。
 本屋さんでは、美しいこの赤いお花を目印に!
  
コメント
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