テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

一流な御方の正体は…?

2010-07-22 22:48:24 | ブックス
 炎天下、お外で仕事をされている方々に、
 いえ、日本中の皆々さまに暑中お見舞い申し上げます。
 東京の方が沖縄より暑いなんて間違ってるわ!と思うネーさです、こんにちは。

「こんにちわゥ、テディちゃでスゥ!」
「がるるー!」(←訳:虎ですー!)
「あちゅあちゅでェ、おひるねもォ、できないやッ!ぷんぷんッ」

 盛夏にあたふたしちゃってる私たちですが、
 では本日は!
 この御方なら酷暑も涼しいお顔で乗り切っちゃうんじゃない?と
 誰もが納得してしまう探偵さんにご登場いただきましょう。
 こちらを、どうぞ~!


 
                   ―― 貴族探偵 ――



 著者は麻耶雄嵩さん、’10年5月に発行されました。
 『DER ADELSDETEKTIV』とあるのは……独語題でしょうか。

「わほゥッ??
 おきぞくゥさまッ??」
「がるるーぐるる?」(←訳:ピーター卿みたいな?)

 ええ、貴族探偵と聞いて
 ネーさが真っ先に思い浮かべたのも
 D・セイヤーズさんの作品で活躍される
 貴族の探偵さん―― ピーター・ウィムジー卿でしたよ。
 けれど、この御本の探偵さんは
 まるで、ピーター卿の上を行こうと志しているかのような、
 筋金入りの《貴族的な》探偵さんなのです。

 例えばね、探偵さん、
 お金のためには探偵をいたしませんの。

「むぽッ! それでこそォ、おきぞくゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:きっとお金持ちなんだね!)

 そうです、貴族探偵さんはお金に不自由してはおりません。
 黒塗りのリムジンを運転手さんに運転させ、
 雑事は執事さんやメイドさんに任せ、
 自らは悠々と構えて、
 興味を惹かれた事件、
 依頼を受けた特別なケースのみを
 《探偵》してあげる♪んです。

「……ふァ~」
「ぐるるがるがるぅ~」(←訳:貴族を名乗るだけはあるぅ~)

 また、時として貴族探偵さん、
 事件現場へ乱入もいたします。
 第一話『ウィーンの森の物語』では、
 信州のウィーンと呼ばれる典雅な避暑地の
 或る山荘で事件が起こりました。
 関係者の、そのまた関係者の知人……というような
 ほぼ無関係の立場ですのに、
 事件の概要もまだ知らぬのに、
 堂々と宣言してしまう貴族探偵氏。
 
 私は野次馬ではない。
 事件を解決しに来たのだよ――と。

「だいたーんッ!」
「ぐるがるぐる!」(←訳:自信満々だ!)

 石頭の刑事さんもひれ伏すコネを持ち、
 ささっ!と捜査のイニシアチヴを握る貴族探偵さんの、
 真の探偵能力とは……
 
 読んでみて初めて解る、
 《王道》にして《規格外》の探偵法に
 ミステリ好きさんは喝采することでしょう。
 こんなに優雅な探偵法って、今までにあったかしら?
 たぶん――ありませんでした!

「うむッ!
 じんそくなァ、じけんかいけつがァ、だいいちッ、でス!」
「ぐるるがるる~る♪」(←訳:捜査費の節約は納税者のためにもなるし~♪)

 短編5作品から成るこの御本は……
 《貴族探偵・登場の巻!》だと信じたいですね。
 さらなる活躍の御報告を、
 庶民の目線で見守りたいものです。

「……でもォ、よーくゥかんがえるとォ、このひとォ……」
「ぐるるがる!」(←訳:けっこう変てこ!)

 変てこミステリ好きさんは、ぜひ!   
 
コメント
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