テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

天然?飄々?同心ものがたり。

2010-07-09 23:29:20 | ブックス
 タコのパウルの運命やイカに、いえ、如何に?
 一生懸命予言したのに食べられちゃうのはあんまりだなあ……
 と悲観するネーさです、こんにちは。

「こんにちわッ、テディちゃでス! 
 ぱうるはァ、ぱえりあ、かなッ?」
「がるる!ぐるーる?」(←訳:虎です!タコサラダでしょ?)

 ……やたら食いしん坊な毛玉たちの言うことは放っておいて、
 えへん、さあ、本日も読書タ~イム!
 名作ファンタジーを御紹介しました前回とは打って変わって、
 エンタかつファンキーな、お江戸の物語を、さあ、どうぞ~!


 
                ―― 大富豪同心 ――



 著者は幡大介さん、’10年1月に発行されました。
 副題に『八巻卯之吉 放蕩記』とあります。

「ふァうゥ~?
 どうしんとォいえばァ、おえどのォ、けいさつかんさんッ……だけどォ~」
「ぐるがるぐるる?」(←訳:お金持ちだったっけ?)

 そうね……同心さんの上役の与力さんになると、
 色々な余禄があったようですが、
 同心という職業は、お給料もあんまり……。

「わほッ、やぱりィ~」
「ぐるる~」(←訳:だよね~)

 しかし、
 新人の見習い同心、
 八巻卯之吉(やまき・うのきち)さんは、ちょっと特別と申しましょうか、
 例外であるようです。
 ……ここだけの話、卯之吉さん、
 お武家さまではございませぬ。
 
 お江戸の町でいちばんの賑わいをみせる日本橋室町、
 その界隈でもとびっきりの大店、
 『三国屋』さんの、若旦那さん。
 それこそが、卯之吉さんの真の顔。

 江戸随一の札差にして両替商の三国屋さんの大旦那、
 徳右衛門さんにとって、
 卯之吉さんは目に入れても痛くない、
 かわいいかわいい御孫ちゃん。
 父やら叔父やら兄弟姉妹やら、大勢の家族がいる三国屋では、
 お家を継ぐこともならぬ卯之吉さんの将来を案じ、
 ある日、思いつきましたよ!

「あゥ~、そッ、それはァ~」
「がるがるぐーる……」(←訳:危険な香りがするね……)

 かわいい卯之吉を、
 同心に!
 お役人さまにすればよろしい!
 これこそ妙案!

 ま、つまりぃ、
 お役人(公務員)にしときゃあ食いっぱぐれるこたぁなかろう、
 てな具合の、今も昔も変わらぬ親心ならぬ祖父心ゆえの、
 暴走でございます。

「だれかァ、とめてあげてェくださいッ!」
「ぐうるるー!」(←訳:無茶だよねー!)

 ところが、どっこい、そうは行かぬのがお江戸の世です。
 家長の権限は絶大!
 その命令には従うべし!
 ましてや、徳右衛門さんは大金持ちさん。
 ありあまる金にものを言わせ、
 卯之吉さんを送り込みます。
 南町奉行所の、同心部屋へ――

「……おえどのォ、ちあんがァ~」
「ぐるがる!」(←訳:心配だよう!)

 活字マニアさんでしたら、
 筒井康隆さんの作品『富豪刑事』を連想するような、
 けれど、どこか違っていて、
 笑いも織り込まれ、
 憎めない人柄の卯之吉さんの物語。
 リラックスして読書を楽しみたい休日に、
 おすすめの御本です!
 徳右衛門おじいちゃんをはじめ、
 サブキャラさんたちも良いハジケっぷり、してますよ~♪

「……テディちゃ、
 げんだいにィうまれたことにィ、かんしゃッでス!」
「……がる~!」(←訳:僕も~!)
 
コメント
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