テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

人魚、捜索中?

2010-07-01 23:34:51 | ブックス
 ダンヒルのスーツを着たヤタガラスのおにいさんたちの帰国に
 私たちも熱い拍手を~!
 こんにちは、ネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 みんなァ、きゃッこいいィなァ~♪」
「がるるっ!がるーぐる!」(←訳:虎ですっ!サイン下さい!)

 すっかりスターの風格を身に備えた選手の皆さん……
 御本の世界にも、いえ、ミステリの世界にも、
 いらっしゃいますよね?
 彼こそはスターという大探偵さんが!
 本日ご紹介いたしますのは、《彼》に捧げるオマージュのような、
 ユニークかつエンタなミステリ作品です。
 さあ、こちらを、どうぞ~!


 
                ―― 人魚は空に還る ――


 
 著者は三木笙子さん、’08年8月に発行されました。
 『還る』は『かえる』とお読み下さいね。

「むふゥ??
 ネーさ、にんぎょはァ、うみのォものでスよゥ~!」
「がるるぐるっ?」(←訳:空にはいないよねっ?)

 ええ、普通はそう思いますよね。
 ですが、明治の時代のある日あるとき、
 浅草の見世物小屋でたいそうな評判を取った人魚さんが
 
 『観覧車に乗りたい』

 と言い出したのを、
 雑誌記者の里見さん、
 里見さんの友人で人気絵師さんの有村さんも、
 確かに耳にしたのですよ。
 そうして、人魚さんの願い通り、
 見世物小屋の座長さんが観覧車に乗せてあげると
 ……ゆっくり一周して、
 地上に戻ってきたボックスの中に、
 人魚さんは――

「わうッ?? いないィッ???」
「ぐるがるー!」(←訳:消失しちゃったー!)

 居合わせた者、みな呆然自失。
 はたして人魚は何処に……?
 いえ、そもそもが、
 人魚などというものが、この世に在るのでしょうか……?

「なぞォでスねッ♪」
「がるがるる~♪」(←訳:謎だらけ~♪)

 維新直後の混乱もいくらかは落ち着いて、
 文明開化の波が帝都をさっくりと洗った後、
 華やかに咲いたのは、ジャーナリズムの……仇花?
 現代風にいうならばパパラッチ精神にあふれた
 東スポさん、サンスポさんにも似た
 大衆紙&大衆雑誌の文化です。

 里見さんが働いている至楽社は、
 弱小といえど、真面目な雑誌を発行しているのですよ。
 嘘は書きませんし、
 中傷誹謗もお断わり。
 ただ、そのぅ、編集長さんが、弱いんですねえ。
 表紙画を描かせればその雑誌は売り切れちゃう!という
 人気絵師の有村さんに、
 里見くんをちょっと貸してください、なんて頼まれると、
 どうぞどうぞ~ご要望のままに~、と。

「おかわいそうゥにィ~」
「がるがるぐる!」(←訳:頑張って記者さん!)

 絵師の有村さん、
 里見さんが手に入れてくる『ストランドマガジン』に掲載の
 あの探偵小説が大好き!
 そのためか、おかしな事が起こると
 里見さんに謎解きさせようとするのです。
 
 表題作の『人魚は空に還る』他、
 四つの短編が収められたこの御本では、
 明治の東京が軽やかに活写されています。
 成長途上のこの町で、
 絵師さんと記者さんの探偵二人組、
 上手く事件を解決できるんでしょうか……?

「あたッてェ、くだけようッ!」
「ぐるがるるがる!」(←訳:砕けちゃ駄目だよう!)

 ミステリ好きさんに、
 そしてあの大探偵さんのファンさんたちにも
 おすすめの明治版探偵物語。
 では皆さま、楽しいタイムスリップを~♪

「いッてらッしゃァ~いッ!」
「ぐるるがる~!」(←訳:お気をつけて~!)
  
 
コメント
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