テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

霧の都で、偉人さんは?

2010-07-19 23:13:43 | ブックス
「みなさまッ! すいぶんッ、とッてまスかァッ!
 テディちゃはァ、とッてるぞォ!」
「がるるるがるる!」(←訳:虎だって水分補給はばっちりだぞぉ!)

 えへん、お休み明け早々に読んで下さっている方々には
 たいへん失礼いたしました。
 こんにちは、冷たい抹茶入り煎茶を愛飲しているネーさです。

「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるる!」(←訳:虎です!)

 さあ、身体に水分を補給した後は、
 アタマにもパワーを補給いたしましょう。
 本日は、知力が頭脳に染みわたるこちらの御本を、どうぞ~!


 
       ―― オスカー・ワイルドとキャンドルライト殺人事件 ――


 
 著者はジャイルズ・ブランドレスさん、原著は2007年に発行されました。
 英原題は『OSCAR WILD and the Candlelight Murders』、
 画像の日本語版は’10年6月に発行されています。

「おすかー・わいるどさんッてェ……」
「ぐるるがるぐるる?」(←訳:あの『幸福な王子』の?)

 ええ、そうなんですよ。
 劇作家にして、作家、童話作家、詩人、と
 様々な肩書きを持つワイルドさんが、
 この物語では……探偵さん?
 しかも、探偵ワイルド氏の助手役を務めるのは、
 かのアーサー・コナン・ドイルさん??

「ふァ??
 それはァ……じょうだんッ、でスきゃッ??」
「ぐるるがる?」(←訳:コメディなのかな?)

 まさにコメディすれすれな設定&状況ですが、
 この設定には、ちゃあんと根拠があります。

 1889年8月31日。
 この日、ロンドンのランガムホテルにて
 ビジネスを兼ねた夕食会が催されました。
 招待主は、アメリカの雑誌編集者ストッダード氏。
 この夕食会を契機に、
 のちにワイルドさんは『ドリアン・グレイの肖像』を、
 コナン・ドイルさんは『四つの署名』を
 著すこととなるのです。
 
 そう、ワイルドさんとドイルさんは、
 一緒のテーブルにつき、
 親しく話し合いもして、
 さらには、そこでのオファーをもとに両者とも傑作をものした、という、
 文学史上まことに比類なき夕食会だったのでした。

 これは、フィクションでなく、事実なんですよ!

「わんだふるなァ、でぃなーでスゥ!」
「がるぐるる!」(←訳:嘘みたいな本当の話!)

 さて、フィクションであるこの御本の中では……
 
 夕食会を前に、
 急いでロンドンの街路を歩くワイルドさんの様子から
 物語は始まります。
 或る通りの23番地、
 テラスハウスに到着したワイルドさんは
 想像もしなかった事件に巻き込まれる羽目になりました。
 
「じけんッ? それならァ~!」
「がるぐるがるるる!」(←訳:スコットランドヤードへ!)
「ちがうゥよォ、!
 ほーむずさんのォ、ところへェ、ゆこうッ!」

 あらっ、珍しく正解に近いわよ、テディちゃ!
 そうなんです、
 翌日になってから、ですが、
 ワイルドさんは相談に行きました、
 ホームズさん……の生みの親の、
 コナン・ドイルさんの滞在先へ――

 当時のロンドンでは、
 折から、怖ろしい犯罪が人々を震え上がらせていました。
 『切り裂きジャック』と呼ばれる犯人による
 凄惨な事件が頻発していたのです。
 そんな不穏な時代を背景に、
 不思議な探偵&助手のチームは
 徐々に真相へ迫ってゆく……ようですが?

「きりさきィじゃッくゥ! こわいィ!」
「ぐるるる!」(←訳:そいつには会いたくないよ!)

 英文学好きさんに、
 ミステリ好きさんに、
 おすすめの一冊です。
 ヴィクトリアンの雰囲気を味わいたい御方も、ぜひ!

「きりさきィじゃッくのォ、ふんいきィはァ~」
「がるるっ!」(←訳:遠慮しよっ!)
コメント
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