テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ すっぱい酸っぱい、トマトの思い出 ~

2012-02-21 23:33:19 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 和菓子屋さんに桜餅が並び始めて、ピンク色がきれいですね~♪
 ……うん? あの緑の色の御菓子は……?

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ネーさッ! あれはァ、かしわもちィ!」
「がるるー!ぐるるぐるがる!」(←訳:虎ですー!確かに柏の葉だ!)

 柏餅……好きなんですけれど、いいんでしょうか、2月なのに?
  
  いや、構わん!好きならば!
 
 本日ご紹介いたします作品の著者さんは
 そう言って下さるかしら~?と想像しつつ、
 さあ、今日も読書タイムに突入で~す! 

  


 
             ―― 僕はこんなものを食べてきた ――



 著者は三國清三(みくに・きよみ)さん、2010年4月に発行されました。
 『Ce que j'ai mange jusqu'ici』と仏語題名が付されています。
 食通さんには、
 『オテル・ドゥ・ミクニ』のミクニさんの著作です!
 と説明した方が分かりやすいかもしれませんね♪

「しぇふさんッ、でスねッ!」
「がるるぐるるぐる~!」(←訳:料理長さんようこそ~!)

 お料理に関する著書を多数刊行されておられる三國シェフさん。
 ですが、この御本は
 レシピブックや、研究書、料理の歴史書、の類ではありません。
 いえ、歴史は、ちょこっと関係アリ、でしょうか。

 歴史は歴史でも、
 三國さん御自身の歴史。
 
  ――こんなものを食べてきた――
 
 この題名に、三國さんの思いが込められています。

「きッとォ、しぇふさんはァ、ちいさいィころからァ~」
「ぐるるがるがるるるぐる!」(←訳:すごい御馳走を食べてきたんだ!)

 ええ、それは本当にすごい御馳走だったようです。

 もいだばかりの、みずみずしいトマト。
 とうきび、きゅうり、なす、すいか、メロンも。
 みな、お母さんが畑で育てている野菜や果物たち。

 もずく、なまこ、ホヤ。
 小さなイカ、甘海老、ウニ、あわび。
 漁師をしているお父さんは、新鮮な海の幸を。

 そうそう、家では鶏を飼っていたので、
 産まれたての卵も、よく食べました。

「ほわわァ~! ほんとにィ、ごちそうゥでス!」
「がるるぐる~!」(←訳:なんて贅沢~!)

 とは、とても考えられませんでした……当時は。

 北海道増毛郡増毛町(ましけまち)。
 かつては、にしん漁で賑わった港も寂れ、
 冬の時代が訪れていました。
 生まれ育ったその町を、
 三國少年が離れたのは、
 昭和44年、十五歳のとき。

 高校進学のため、ではなく、
 住み込みで働きながら
 調理師学校で学ぼうと、
 故郷をあとにしたのです。

「がんばれェッ、みくにしょうねんッ!」
「がるっる!」(←訳:ファイト!)

 下働き時代の日々を、
 三國さんはごくあっさりと書き流します。
 その裏にどれほど、筆にしがたい艱難辛苦があったことか――

 しかし、見ているひとがいたのです。

 三國少年が山のような汚れものを、鍋を、お皿を洗う姿を。
 その手の動きを。
 挫折を知った上での、不屈の精神を。

 《料理の神様》は、
 ちゃあんと見ていてくれたのでした。

「ふゥ~、よかッたでスゥ!」
「ぐるるがるがるる~!」(←訳:やさしい神さま~!)

 《料理の神様》の粋な計らい、とは?
 三國少年が抱いた目標とは?
 そして、
 功成り名遂げた現在の三國シェフさんが愛する食事――食べもの、とは?

「ぷふッ♪
 しぇふさんのォ、だいこうぶつはァ~…!」
「がるっぐるるぐるがるがる!」(←訳:あっ!ここでバラしちゃ駄目だよ!)

 料理って、なに?
 食べるって、どういうこと?
 僕、どんなものを食べて育ったんだろう?
 僕という存在を作ってくれたのは何なのか――?

 日本を代表するフレンチのシェフさんが綴る半生記は、
 食いしん坊を自認するすべての活字マニアさん、必読!
 お料理を勉強中の調理師学校生さんも、
 ぜひ、お読み下さいね~!

コメント
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