テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

炎よりも速く!

2012-02-23 23:25:01 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 桜の開花予想が発表されたようですね~♪
 って、まだ一ヶ月も先のことですけれど……。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おはなみィ、いまからじゅんびィ、しましょゥッ♪」
「がるる!ぐるるがるがるるがるぐるー!」(←訳:虎です!今年は良いお花見が出来ますようにー!)
 
 平和な世界で、美しい花を愛でる――
 本日ご紹介いたします作品も、
 “平和”を愛するものたちの物語です。
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― 戦火の馬 ――



 著者はマイケル・モーパーゴさん、原著は1982年に、日本語版は2012年1月に発行されました。
 英原題は『WAR HORSE』、
 かねてから舞台化されて評判を呼んだこの作品は、
 2011年末には映画も公開されています。
 日本での上映は3月に予定されているそうですよ。

「テディちゃ、てれびィのォ、しーえむッ、みましたでス!」
「ぐるる~がるぐるがるるる!」(←訳:お馬さんのお話なんだよね~!)

 馬……というと、
 現代の日本に住む私たちは殆どの場合、
 サラブレッドを連想してしまいます。
 競馬場でレースに出場する、競走馬さんたち、ですね。
 ですが、馬イコール競走馬、ではなかった時代がありました。
 
 馬、といえば……農耕馬!
 
 歴史の上では、こちらの方が長く、また重要でもありました。
 畑を耕し、人を助ける労働力となってくれる馬たちの、ありがたさ!
 農家の人たちにとって、農耕馬は日々に欠かせぬ、
 なくてはならない存在ですよね。

「はたらくゥ、おうまさんッ、でスかッ♪」
「がるぐるっぐるぐるがるる!」(←訳:日本なら、道産子くんたちだ!)

 脚は太く!
 蹄も巨大で!
 見上げるような体高!
 その胴に鋤(すき)を着ければ、
 耕せない畑地などないような、
 立派な農耕馬! 
 農夫さんの誇り!

 この御本の主人公も、農場の農耕馬さんです。
 いえ、でも、仔馬の彼は、
 サラブレッドの血が半分混じっているためでしょうか、
 身体は痩せ細って、
 競りではロクな値がつきませんでした。
 よく働いてくれそうな馬だと、
 見ては貰えなかったのか……。
 と、そこへ。

 《これは素晴らしく勇敢な馬になりそうだね》

 そんな声が聞こえてきましたよ!

「わほッ♪ せんけんのォめいィがァ、ありまスゥ!」
「がるる~!」(←訳:嬉しい~!)

 声は、少年のものでした。
 農家の子、アルバート少年は
 彼にジョーイと名前を付けました。
 
 アルバートと、ジョーイ。
 英国の片隅の農場で、
 彼らは貧しくとも幸せに暮らしたことでしょう――

 戦争がなかったなら。

「せッ、せんそうゥッ!」
「がるーっ!」(←訳:ヤダーっ!)

 第一次世界大戦が始まろうとしていました。
 蒸気機関から燃料を使用するエンジンへ、
 技術は移ろうとしていましたが、
 まだまだ車が貴重品であった時代です。
 物資の輸送を担うのは、馬たち。
 騎馬となって、最前線で騎兵を乗せて走るのも馬たち。

 少年アルバートは、
 僅かなお金で軍隊に売られてゆくジョーイを
 見送ることしか出来ません。
 ただ、いつか、
 いつか再会を、と決意しながら。

 ジョーイもまた、
 アルバートのもとを去るしかありません。
 戦場へ、
 平和な農場とジョーイから引き離され、戦場へ……

「にげられるものならァ」
「ぐるがる~!」(←訳:逃げたい~!)

 タンク(戦車)。
 空を飛ぶ戦闘機械。
 毒ガス。
 機関銃。
 悪夢そのものの戦争の只中を生きる一頭の馬の物語を
 著者・モーパーゴさんは
 ジョーイの眼から描きます。
 その眼に映る、ひとの世の営みの、幸福も、不幸も。
 
 できれば、
 活字マニアさんに、
 映画マニアさんにも、
 映像で観る前に読んでー!とお願いしたい一冊です。
 目で見る戦闘シーンは後回しにしちゃって、
 まず文章をー!

「ものがたりはァ~!」
「がるぐるるがるる!」(←訳:文字から始まる!)

 
コメント
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