テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ややこしい理屈は抜きに♪

2013-11-25 21:38:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むゥ! おおかぜェ、おおあめッ!」
「がるる!ぐるるるぅ!」(←訳:虎です!荒天ですぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 明日には回復するそうですが、ひどい風ですね。
 安全な屋内に退避したら、さあ、読書タイム!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  



 
                ―― 幻視の系譜 ――



 編者は東雅夫さん、2013年10月に発行されました。
 アンソロジー《日本幻想文学大全》全三冊のうち、
 以前に御紹介しました『幻妖の水脈』に続き、
 2番目に刊行されたこの御本には
 『visionaries』と別題が附されています。

「こッ、このォ、ふんいきィはァ~…!」
「ぐるがるる~??」(←訳:また怖い話~??)

 そうね~、ちょこっとシュールな
 金井田英津子さんによる御本の装画から漂うのは
 怖~い小説作品の気配がぞわぞわっと……

 なのですけれど、いえいえ、
 きゃあああああ~!って絶叫しちゃうような
 恐怖と戦慄とは、またちょっと違う《幻視》の名作コレクションが
 この御本、なんです。

「こッ、こわくゥないィ~…??」
「がっるるる~!」(←訳:ホッとした~!)

 なんたって、御本冒頭に収録されているのが

  観阿弥さん原作・世阿弥さん改作、野上豊一郎さん編訳『松風』

 つまり、謡曲――能の脚本です!
 これはそんじょそこらのアンソロジーじゃあないぞ、って
 分かっちゃいますね。

 さらに、
 泉鏡花さんの『化鳥』、
 小川未明さんの『牛女』、
 萩原朔太郎さんの『猫町』……という目次を見れば、
 編者・東さんの編纂方針が伝わってきますね。

 《幻視》――幻想文学作家・中井英夫さんが
 ことのほか思い入れ深く用いていた言葉を指針に
 東さんは幻想文学の名作を収集したのでした。

「げんそうゥ~ぶんがくゥ~…」
「ぐるるる~…」(←訳:難しそう~…)

 なんか幻想文学って難しそうだなぁ~と逡巡してしまう御方は、
 御本の中盤、
 305ページを開いてみてくださいな。
 そこにあるのは、

  宮沢賢治さん著『ひかりの素足』

「わおゥ! けんじさんッ!」
「がるるぐるがるる!」(←訳:ここに賢治さんが!)

 “冬の童話”とも讃えるべき、
 美しい短編作品を一読すれば、
 小難しい定義は二の次にして
 収録作全部を読みつくしたくなることでしょう。
 どれもホントに面白い!

 でも、私ネーさが特におすすめしたいのは
 中井英夫さん著『地下街』。
 これもひとつの、《幻視》の語り――

「なんだかァ、みすてりあすゥ!」
「ぐる~っるるる!」(←訳:じわ~っと来る!)

 名匠による名作品の数々、
 雰囲気に惑わされず、
 ぜひ、楽しく気軽に、一読を!
 

 

  
コメント
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