テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ようこそ、《甘いもん》!

2014-01-21 21:30:51 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 るるゥ~♪おきなわァはァ~はるゥ~♪」
「がるる!ぐるるるがるるっる!」(←訳:虎です!梅の花が咲いたって!)

 こんにちは、ネーさです。
 大寒も過ぎて、春まであと少し!思いたい今日の読書タイムは、
 さあ、こちらの御本を、どうぞ~!

  



           ―― 甘いもんでもおひとつ ――



 著者は田牧大和(たまき・やまと)さん、2013年10月に発行されました。
 『藍千堂菓子噺(あいせんどう かしばなし)』と副題が付されています。
 前回記事に続いて、
 この御本もお江戸を舞台とした“時代小説”ですよ♪

「でもォ、ちゃんばらッ、でてきませんッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:忍者もなし!)

 合戦場に響く剣戟がなくとも、
 忍者さんの放つ手裏剣がなくとも、
 お侍さんが殆ど出てこなくても、
 読み手の心をつかむ時代小説は存在します。

 たとえば、この御本の主役さんたち――

 頑張り屋の菓子職人さんと、
 その職人さんが作り出す美味しいお菓子があれば、
 はい、目前に浮かぶのは、
 小さいけれど繁盛している一軒の菓子屋、
 神田相生町の
 《藍千堂(あいせんどう)》さんです。

「わはァ~♪ おかしやさんッ♪」
「がるぐるるぐるる!」(←訳:いい匂いがするよ!)

 空腹を刺激するのは、
 お餅を蒸している作業中の香りでしょうか。

 ただね、テディちゃ、虎くん、
 《藍千堂》さんのお菓子は、上菓子なのよ。

「……じょうがしィ???」
「っるぐるるる??」(←訳:って何ですか??)

 上菓子というのは、
 御本の表紙にもなっているような
 お茶会で振る舞われるお菓子や、
 御進物用のお菓子(上物菓子)のことです。

 
 美味しくて、美々しくて、当然ながら、
 お安くはないんですけれど、
 《藍千堂》の品は評判上々、
 しっかりした常連さんもついています。

 が、主の晴太郎(はるたろう)さんは、

    四文の柏餅(かしわもち)を作って売ろう!

 と言いだして、弟の幸次郎(こうじろう)さんを驚かせました。

 
 四文のお菓子。
 それはすなわち、
 お小遣いで買えちゃうようなお菓子。

「うふゥ! それはァすてきィ!」
「がるるるぐるるる!」(←訳:ボクらも買えそう!)

 上菓子としての柏餅と、
 毎日のおやつに近い安価な柏餅。
 作り分けて売り出せば、
 さらなる評判を呼ぶに違いありません。

 ええ、妨害を受けさえしなければ――

「おみせのォ、ゆくてにィ、あやしのかげッ!」
「ぐっるるがるる!」(←訳:真っ黒い暗雲が!)

 菓子司《藍千堂》さんは
 どうやら複雑な事情を抱えているらしいですね。
 晴太郎さんと
 幸次郎さん、
 ふたりの背後に何があるのでしょうか……?

 お菓子にまつわる連作6編、
 お江戸の世も、
 また現代でも変わらない人間ドラマを
 野中深雪さんの装丁、
 ㈱榮太樓總本舗さんによる御本表紙の和菓子、
 各章の扉に用いられた菊寿堂いせ辰さんの千代紙とともに、
 活字マニアの皆さま、
 愉しく味わってくださいませ♪

「おかしまにあさんにもォ~」
「がるるる!」(←訳:おすすめ!)
 


コメント
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