テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

今昔『かほやゆし』。

2016-04-05 21:59:08 | ブックス
「こんにちわゥ、テディちゃでスゥ~!
 おはなみィにィ、ゆきたいィよゥ~ッ!」
「がるる!ぐるるるがるーる!」(←訳:虎です!お日さまカモーン!)

 こんにちは、ネーさです。
 サクラが満開になっているというのに、
 どうしてか、関東だけは気候がよろしくないのよねぇ。
 明日こそはお花見できますようにと願いつつ、
 さあ、読書タイムです!
 本日は、こちらのアートな御本を、どうぞ~♪
 
  



          ―― かわいい印象派 ――



 監修・著者は高橋明也(たかはし・あきや)さん、
 同じく監修は杉山菜穂子(すぎやま・なおこ)さん、2016年3月に発行されました。
 『Kawaii! Impressionism』と英語題名が付されています。
 以前に御紹介いたしました『かわいい絵巻』『かわいいルネサンス』に続く、
 《かわいい》シリーズの最新刊は、
 印象派とその周辺の画家さんたちの――

「きゃわゆいィ~♪」
「ぐるるっ!」(←訳:可愛いっ!)

 と、叫びたくなる、
 《新しい美》が特集されています。

「ふァ?? あたらしいィ~??」
「がるるるっるぐるるる?」(←訳:可愛いって新しいの?)

 監修・著者の高橋さんは、御本冒頭の『はじめに』で
 《かわいい》という語の源流は
 平安時代の『うつくし』や『かほやゆし』であると
 指摘しています。

 そして、《かわいい》の意味するものは、
 我が国(日本)に特有の美意識であることが伺える、
 とも推論しているのです。

 そう聞かされてみると……

「うむうむゥ、なァるほどォ!」
「ぐるるるるがるぅ!」(←訳:分かる気がするぅ!)

 『かわいいルネサンス』を読んで思ったのは、
 ええ、西洋絵画にも《かわいい》作品はある、のですけれど、
 数量の面では……

 割と少ない?

 レオナルドさん、ラファエッロさんの描く天使は
 まさに天上の美を備えていますが、
 全体を見渡してみれば、どうかしら?

 聖母子像の幼児は、
 可愛らしさというよりも
 神々しさ優先……

 ベラスケスさんが描いた王子さま王女さまたちは、
 痛々しいような儚さが浮かび上がる……

 カラヴァッジオさんが描いた少年たちは、
 “リアル”がすべてにまさっている……

「それじゃあァ、よーろッぱのォ、かわいいィはァ~」
「がるるぐっるる?」(←訳:少数派だったの?)

 監修者の高橋さん&杉山さんは
 日本美術の影響を受けた19世紀フランスの画家さんたちの作品に
 《かわいい》の要素を読み取ります。

 印象派の画家さんたちが採用したジャニズムの視点は
 西洋絵画の到達したリアリズムとは別のもの。

 動物、草花、
 そして何より、子どもたち――

 赤ちゃんから幼児、
 少年少女が“そのまま”に描かれる。

 王族貴族でもない民間家庭の子どもが、
 神話や寓話とはまったく関係なく、
 本人のままに描かれる、ということは、
 実は、近代以前にはまず有り得ない現象でした。

「それはァ、たぶんッ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:カワイイの解禁だ!)

 日本美術にハッパをかけられ、
 《かわいい》が解禁されちゃったら、どうなるか。

 こうなる!
 と声を上げた第一人者は、
 ピエール=オーギュスト・ルノワールさんでしょうか。

 輝く肌の、少女たち。
 お目々なんて、もう、キラッキラ♪

「びしょうじょさんッ、なのでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:本当に可愛い!)

 時を超え、海も国境も越え、
 『かほやゆし』が辿り着いた、
 或る世界。

 日本人が印象派大好きな理由が
 なんとな~く見えてくる一冊です。
 アート好きな活字マニアさん、
 書店さんのアート本コーナーで探してみてくださいね~♪
 
 
 
コメント
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