テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

分岐点にて。

2016-04-14 21:51:45 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うきゃッ! まッまさかァ!」
「がるる!ぐるるるっ!」(←訳:虎です!バルサがっ!)

 こっこんにちは、ネーさです。
 CL準々決勝セカンドレグで、呆然自失!
 本命バルセロナが敗退!三冠&CL連覇の野望潰える!
 ……朝からもうびっくりしておりますよ。
 サッカーってホント分かんないわぁと溜め息しながら、
 はい、気を取り直して、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~♪
 
  



           ―― ハンニバル戦争 ――



 著者は佐藤賢一(さとう・けんいち)さん、2016年1月に発行されました。
 『HANNIBAL Secundum Bellum Punicum』とラテン語題名が付されたこの御本は、
 古代ローマに題材を得た小説作品です。

「ほほゥ~? れきしィしょうせつゥでスかッ?」
「ぐるるるるっるがるる~…」(←訳:ハンニバルっていうと~…)

 ミステリ好きな活字マニアさんは、
 ハンニバル?映画にもなったあのマンイーター?
 と思うかもしれませんが、
 いいえ!断じて!断じて違います!

 ハンニバル・バルカさん(紀元前247年~紀元前182年)は、
 カルタゴの武将にして政治家でした。

 が、この御本の主人公は、
 ハンニバルさんではありません。

 将軍ハンニバルと戦ったローマ帝国人、
 プブリウス・コルネリウス・スキピオさん(紀元前236年~紀元前183?)が、
 主人公……というか、
 “視点”になっている物語なのです。

「じつざいのォ、じんぶつゥ、ふたりィ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:しかもライバル!)

 世界史の教科書には、
 副題にもなっているラテン語=Secundum Bellum Punicum、
 すなわち《第二次ポエニ戦争》と記されている、
 ローマ対カルタゴ間の戦争は、
 世界の歴史の一大分岐点とすべき
 重要な戦いでした。

 巨大勢力となりつつあったローマ帝国の、
 首根っこをもぎ取るまであと一歩……!

 というところまで迫ったのは、
 歴史を眺め渡してみても、
 ハンニバルさんただひとり、と申せましょう。

 もし――と敢えて問うならば、
 ハンニバル将軍がローマ軍に勝利していたなら?
 “永遠の都”を陥落させていたなら?

「え~とォ、たぶんッ、きッとォ~」
「ぐるるがるぅぐるぅ!」(←訳:歴史はぐちゃぐちゃ!)

 そうね、ローマがここで負けていれば、
 現在のような欧州のかたち、西洋世界は
 有り得なかったでしょう、完全に。

「にほんしでェ、いうならァ~」
「がるるぐる!」(←訳:関ヶ原以上!)

   この一戦が、世界の命運を決める――

 そんなこととは露知らず、
 物語の第一章で読み手の前に現れるのは、
 花の17歳、
 ガールハントに忙しい青年スキピオくんです。

「ふァ? がーるはんとォ?」
「ぐるるるぅがる!」(←訳:ダメでしょそれ!)

 カルタゴとの戦争が始まる!と父に教えられ、
 俄然テンション上がっちゃうスキピオくん。

 なんですけれど、
 名門のボンボン育ちの彼に務まるんでしょうか、
 執政官である父とともに出陣、
 ガリアへ遠征、なんて……?

「さきゆきィ、みえませんでスゥ!」
「がるるる!」(←訳:怖いよう!)

 後代に生きる私たちは、
 カルタゴとローマの闘いがどのように決着するか、
 既によく知っています。

 そしてまた、
 ローマの言い分、
 カルタゴ側の主張の、
 どちらに共感するかによって
 見方は大きく変わってきます。

 スキピオくんの物語を、
 大帝国ローマから見るか、
 それとも、
 滅ぼされたカルタゴの眼で見るか……?

「れきしのォ、こうさてんッ!」
「ぐるるるがるるるる!」(←訳:立体的に見てみよう!)

 歴史好きな活字マニアさんに
 激おすすめの力作です。
 日本史が好きなんだけど~という御方も、
 ぜひ、一読を♪

 
 
コメント
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