テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

新と旧の、“こわい”はなし。

2016-04-07 21:58:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 べすとォえいとのォたたかいィ、つづいてまスッ!」
「がるる!ぐるがるるるー!」(←訳:虎です!波乱してるねー!)

 こんにちは、ネーさです。
 既にユヴェントスは敗退しちゃいましたけれど、
 注目していますよ、CL準々決勝ファーストレグ!
 レアルの完敗は予想外だったわ……セカンドレグで挽回できるかしら?
 次戦を楽しみにしながら、
 はい、ここからは読書タ~イム!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



         ―― 旧談 (きゅうだん) ――



 著者は京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、2016年1月に発行されました。
 2007年に刊行されえた単行本『旧怪談 耳袋より』を改題し、
 加筆修正した文庫作品です。

 表紙になっている、
 お人形の猫ちゃんが、いいですねえ♪

「りあるゥでス!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:生きてるみたい!)

 本当にリアルなこの猫ちゃん人形、
 口絵にも写真が載っております。
 猫ちゃんの製作者さんは、荒井 良さん。

 さて、猫ちゃんに導かれて、
 本文へと進みますと……

 そこにひろがるのは、
 『耳嚢(みみぶくろ)』の世界。

「みみッ? というとォ~…」
「がるるぐるるがる?」(←訳:小耳に挟んだお話?)

 『耳嚢』は、
 江戸時代の旗本さんである、
 根岸鎭衛(ねぎし・やすもり)さんが著したエッセイ作品、
 のようなもの――と
 御本冒頭の『はじめに』で、著者・京極さんは述べています。

 友人知人から聞いた面白いお話。
 町の噂話。
 迷信。事件の顛末。
 そして……

 現代では、怪談として受け止められてしまうだろう怪しいお話。

「でたなッ、かいだんッ!」
「ぐぐぐぐるがるるぐるるっ!」(←訳:こここ怖くなんかないぞっ!)

 『耳嚢』を、現代の読者が“怪談”として読めるよう、
 著者・京極さんが書き改めたこの『旧談』、
 はたして、怖いか、怖くないか、
 その判断は、読み手さん次第、と申せましょうが、

 表紙の猫ちゃんを彷彿とさせる作品、
 『可愛がるから』は、
 やっぱり怖いかも!

「ひえええェッ!」
「ぐるがるるっ??」(←訳:ネコおばけっ??)

 御徒目付(おかちめつけ)のHさんが聞き込んだ、
 日光奉行組Sさんの、奥さんのお話は、ネコがらみ。

 大の猫好きである奥さん、
 Sさんが理解してくれることもあり、
 多くの猫を飼い、可愛がっていましたが。

 ある年の、冬を迎えた頃合いから、
 様子がおかしくなりました……

 話し掛けると、
 にゃあ、と返事をする……。

「そそッ、それはァ、やぱりィ!」
「がるぐるるっ」(←訳:アレですかっ)

 何かが奥さんに取り憑ついている?

 困ったSさんは加持祈祷をし、
 ねんごろに奥さんの世話をし、
 しかし、ついには意外な行動に出ます。

 そこに秘められた理由とは……?

「こッ、こわいィとォ、いうよりィ~」
「ぐるる~…!」(←訳:哀しい~…!)

 原作は、『耳嚢 巻之九』の『猫の怪の事』。
 
 他に、やはりネコちゃんが登場する
 『取り返し』(原作は『猫人に付し事』)も
 なかなか“こわい”お話です。

 また、番町皿屋敷をモデルにした?『百年の間』
 (原作は『菊むしの事』)、

 飄々としてユーモラスでさえある
 『血は出たけれど』(原作は『上杉家明長屋怪異の事』)
 などの作品も
 読後にじわじわじわ~っと……

「こわくなるでスゥ!」
「がるる!」(←訳:冷や汗!)

 『学校の怪談』を意識したかのような文体は読みやすく、
 また、不思議と品格があり、
 上田秋成さんの『雨月物語』を想わせます。

 確かに怖い、でも怖いだけじゃない――

「えれがんとなァ、かいだんッ?」
「ぐるるがるる!」(←訳:それもアリだ!)

 巻末には、宮部みゆきさんとの対談も収録されています。
 宮部さん&京極さんのファンの方々は、
 本文はもちろん、この対談部分も
 ぜひ一読、いえ、熟読してくださいね~♪

 
 
コメント
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