「こんにちわッ、テディちゃでス!
あうゥ~、またもォ、せつないィにゅーすがァ……」
「がるる!ぐるるるがるるるーる!」(←訳:虎です!プリンスおにいさーん!)
こんにちは、ネーさです。
ああ、『パープル・レイン』の紫の王子が旅立ってしまった……
芸術性と商業性を併せ持つ稀有なミュジーシャン、プリンスさん。
ただただ御冥福を祈りつつ、
本日の読書タイムでは“音楽”をテーマにした
ノンフィクション作品を、どうぞ~!
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―― 希望のヴァイオリン ――
著者はジェイムズ・A・グライムズさん、
原著は2014年に、画像の日本語版は2016年3月に発行されました。
英語原題は『VIOLINS of HOPE』、
『ホロコーストを生きぬいた演奏家たち』と日本語副題が付されています。
「ほろこーすとォ、というとォ~…」
「……ぐる?」(←訳:……戦争?)
《どこであれ、ヴァイオリンのあるところ希望あり》
著者・グライムズさんは、
御本冒頭の『プロローグ アムノンのヴァイオリン』で
“最も暗い時代の演奏”を
↑こう表現しています。
けれど、その実情は……
希望よりも、絶望という言葉の方が
より真実に近かった、と言えましょうか。
「やぱりィ、せんそうゥ……!」
「がるるぐるる……」(←訳:つらいお話だ……)
生まれて間もない国家の、
何もかも足りないような環境で
必死の思いで奏でたヴァイオリン。
ナチスの強制収容所で
弾かざるを得なかったヴァイオリン。
復讐の手段として、
少年が握りしめたヴァイオリン。
しかし、ときにその楽の音は、
生きる手助けになりもしたのだとも、
グライムズさんは著述します。
ヴァイオリンを弾いて、
その代償にパンを得る。
そうして、
家族を飢えから救うことが出来るなら?
「それはァ、きぼうゥ?」
「ぐるがぅるる?」(←訳:絶望じゃない?)
この御本の根幹を成しているのは、
楽器修理人アムノンさんが収集する《ものがたり》です。
アムノンさんは、或る特別な意図をもって
ヴァイオリンを、
そしてヴァイオリンに係わる物語を
収集しています。
第二次世界大戦のホロコーストを、
戦禍をくぐり抜けた演奏家と楽器の物語を知っていたら、
どうか話してほしい。
教えてほしい。
「かたりつぐゥ、のでスねッ!」
「がるる!」(←訳:次代へ!)
語り継ぐ。
と、書いてしまえば簡単なように思われますが、
収容所の恐怖と悪夢を、
戦中戦後の苦悩を、
思い返し、公けにするのは
簡単ではないのです。
言葉にできないつらさ、悲しみ。
すべて記憶から消去できたら、
その方がどんなに楽であることか。
……けれど、また、
すべての苦楽をともにしたヴァイオリンは
“親友”でもある。
そう考える人もいます。
「ゆうめいなァ、えんそうかさんもォ~」
「ぐるるがるるるるる!」(←訳:無名の演奏家さんも!)
「きぼうをォ、すてないィ!」
ヴァイオリンは何世紀にもわたってユダヤ文化の
重要な側面を担ってきたこと、
世界屈指のヴァイオリニストの多くが
ユダヤ人であること、
ユダヤ伝統音楽に欠かせない楽器が
ヴァイオリンであること。
アムノンさんが集め、
著者・グライムズさんが追跡した
ヴァイオリンたちのカルテ。
希望と絶望の正史――歴史の教科書には書かれていないような事柄が
この一冊の中に記されています。
ずしりと重い内容は
時折り、読むのを止めたくなりさえしますが、
訳者・宇丹貴代実さんの『訳者あとがき』も含め、
どうか、最後まで!
知らねばならない《ものがたり》です。
あうゥ~、またもォ、せつないィにゅーすがァ……」
「がるる!ぐるるるがるるるーる!」(←訳:虎です!プリンスおにいさーん!)
こんにちは、ネーさです。
ああ、『パープル・レイン』の紫の王子が旅立ってしまった……
芸術性と商業性を併せ持つ稀有なミュジーシャン、プリンスさん。
ただただ御冥福を祈りつつ、
本日の読書タイムでは“音楽”をテーマにした
ノンフィクション作品を、どうぞ~!

―― 希望のヴァイオリン ――
著者はジェイムズ・A・グライムズさん、
原著は2014年に、画像の日本語版は2016年3月に発行されました。
英語原題は『VIOLINS of HOPE』、
『ホロコーストを生きぬいた演奏家たち』と日本語副題が付されています。
「ほろこーすとォ、というとォ~…」
「……ぐる?」(←訳:……戦争?)
《どこであれ、ヴァイオリンのあるところ希望あり》
著者・グライムズさんは、
御本冒頭の『プロローグ アムノンのヴァイオリン』で
“最も暗い時代の演奏”を
↑こう表現しています。
けれど、その実情は……
希望よりも、絶望という言葉の方が
より真実に近かった、と言えましょうか。
「やぱりィ、せんそうゥ……!」
「がるるぐるる……」(←訳:つらいお話だ……)
生まれて間もない国家の、
何もかも足りないような環境で
必死の思いで奏でたヴァイオリン。
ナチスの強制収容所で
弾かざるを得なかったヴァイオリン。
復讐の手段として、
少年が握りしめたヴァイオリン。
しかし、ときにその楽の音は、
生きる手助けになりもしたのだとも、
グライムズさんは著述します。
ヴァイオリンを弾いて、
その代償にパンを得る。
そうして、
家族を飢えから救うことが出来るなら?
「それはァ、きぼうゥ?」
「ぐるがぅるる?」(←訳:絶望じゃない?)
この御本の根幹を成しているのは、
楽器修理人アムノンさんが収集する《ものがたり》です。
アムノンさんは、或る特別な意図をもって
ヴァイオリンを、
そしてヴァイオリンに係わる物語を
収集しています。
第二次世界大戦のホロコーストを、
戦禍をくぐり抜けた演奏家と楽器の物語を知っていたら、
どうか話してほしい。
教えてほしい。
「かたりつぐゥ、のでスねッ!」
「がるる!」(←訳:次代へ!)
語り継ぐ。
と、書いてしまえば簡単なように思われますが、
収容所の恐怖と悪夢を、
戦中戦後の苦悩を、
思い返し、公けにするのは
簡単ではないのです。
言葉にできないつらさ、悲しみ。
すべて記憶から消去できたら、
その方がどんなに楽であることか。
……けれど、また、
すべての苦楽をともにしたヴァイオリンは
“親友”でもある。
そう考える人もいます。
「ゆうめいなァ、えんそうかさんもォ~」
「ぐるるがるるるるる!」(←訳:無名の演奏家さんも!)
「きぼうをォ、すてないィ!」
ヴァイオリンは何世紀にもわたってユダヤ文化の
重要な側面を担ってきたこと、
世界屈指のヴァイオリニストの多くが
ユダヤ人であること、
ユダヤ伝統音楽に欠かせない楽器が
ヴァイオリンであること。
アムノンさんが集め、
著者・グライムズさんが追跡した
ヴァイオリンたちのカルテ。
希望と絶望の正史――歴史の教科書には書かれていないような事柄が
この一冊の中に記されています。
ずしりと重い内容は
時折り、読むのを止めたくなりさえしますが、
訳者・宇丹貴代実さんの『訳者あとがき』も含め、
どうか、最後まで!
知らねばならない《ものがたり》です。