テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 驚嘆の“架空”旅行誌 ~

2016-04-19 21:49:58 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス! 
 わほゥ! みつけちゃッたでスゥ!」
「がるる!ぐるるるがるるー!」(←訳:虎です!天道虫がいたよー!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、今朝のことですが、見つけましたよ!
 真っ赤なボディのテントウムシくん!
 幸運の使者とされる小さな虫がちょこちょこちょこ……
 悲しいニュースが続くこの頃ですけれども、
 そろそろいいこともある、というしるしでしょうか?
 では、テントウムシくんがくれた元気をしっかり受け止めて
 本日の読書タイムはこちらの御本を、どうぞ~!
 
  



            ―― 異世界の書 ――



 編著者はウンベルト・エーコさん、原著は2013年に、
 画像の日本語版は2015年11月に発行されました。
 伊語原題は『STORIA DELLE TERRE E DEI LUOGHI LEGGENDARI』、
 『幻想領国地誌集成』と日本語副題が付されています。

「おッ、おもいィ~でスゥ!」
「ぐるるる!」(←訳:分厚いし!)

 前回、前々回とミステリ作品を御紹介いたしました。
 そして、ウンベルト・エーコさんといえば、
 世界的ベストセラーとなったミステリ作『薔薇の名前』で
 広く知られる“知の巨人”さんですが、
 
   ミステリ、というより、ミステリアス

 であるのが、この作品――『異世界の書』です。

「れきしィのほんッ、でスかッ?」
「がるるる?」(←訳:哲学の本?)

 作家、エッセイスト、文芸評論家、
 哲学者、記号学者であったエーコさんの、
 この作品は、いわば《卓上旅行図鑑》とも言えましょうか。

 自分の家にいながらにして、
 遠くへ旅をする……

 ただし、旅の目的地には或る条件があります。
 それは、

  ここではない、どこか。

 かつては、
 確かにあるはずだ!と人々に信じられ、
 そこへ行く方法が大真面目に論じられ、
 本気で探検隊が派遣されたりした、
 “伝説”の地。

「ふむふむッ、たとえばァ~…」
「ぐるるるる!」(←訳:エルドラド!)
「らぴゅたッ!」
「がるるるるぅる!」(←訳:アトランティス!)

 そこは、どんなところだろう?
 そこには、どんな花が咲き、樹木が生い茂り、
 どんな住人がいるのだろう?

 想像力をフルスロットルで稼働させた先人たちの、
 願望と、妄想の記録を、
 書斎の椅子に座ったままで
 エーコさんは辿ります。

 聖書の世界、
 ギリシャの神話世界、
 桃源郷、理想郷、
 天国から、地獄までも。

「むきゃッ! からふるゥ!」
「ぐるがっるる!」(←訳:絵がいっぱい!)

 文章だけでしたら、
 何のこっちゃ?と目が回りそうになる内容を
 スルル~っと頼もしくガイドしてくれるのは
 図版資料の数々!

 ややこしい聖書のお話も、
 殆どの日本人には聞いたこともないようなエピソードも、
 エーコさんの絶妙な選択眼によって
 収録された図版や写真のチカラをもってすれば、
 全体の方向性が見えてきます。

 ひとは、何を信じてきたのか?
 何を信じたかったのか?

「りあるとォ、ふぃくしょんッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:ぎりぎりの地平!)

 アート好きな御方、
 小説版『薔薇の名前』に、
 映画版『薔薇の名前』に感銘を受けた御方に、
 おすすめの一冊です。

 本屋さんで目にしたら、
 エーコ教授を偲びつつ、
 ぜひ、手に取ってみてくださいな。
 
 
 
コメント
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