テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

もっとも難しいもの。

2016-04-29 22:01:11 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ひゃあッ! れんきゅゥでスよゥッ!」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!黄金色の!)

 こんにちは、ネーさです。
 いつのまにやらゴールデンウィークに突入しちゃいましたが、
 旅行や帰省や自分磨きやショッピングに忙しい方々も、
 さあ、しばしの読書タイムを。
 本日御紹介いたしますのは、こちらの小説作品ですよ~!
 
  



          ―― 日本一の軽口男 ――



 著者は木下昌輝(きのした・まさき)さん、2016年4月に発行されました。
 デビュー作品『宇喜多の捨て嫁』がいきなり直木賞候補!
 という快挙で注目されている著者・木下さんの新作は……
 《笑い》が、
 いえ、《笑い》に憑かれた人々が主人公の斬新な歴史小説です。

「ふァ? わらいィ??」
「ぐるるがるるぐる?」(←訳:落語や漫才のこと?)

 落語、漫才、スタンダップコミックといった
 “芸”としての《笑い》。
 さらにまた、
 お金を稼げる“職業”としての《笑い》。

 それは、いつ、どのようにして始まったのか――

 物語の幕開けは、
 昔むか~し。
 戦国時代末期&江戸時代の初期に遡ります。

「ッてことはァ、え~とォ??」
「がるるるぐるるる?」(←訳:400年くらい前?)

 安楽庵策伝(あんらくいんさくでん)さん。
 《天下一のお伽衆》と呼ばれる彼は、
 途方もないエピソードの持ち主でした。

 策伝さんが笑話を披露すれば、
 太閤秀吉さんも抱腹絶倒!
 話のおかしさに笑い転げて、
 ああ、お腹の皮がよじれる~!

「ええッ、ほんとにィ??」
「ぐるるるがるる!」(←訳:本当ならすごい!)

 本当のことであったために、
 その後の策伝さんの人生はややこしくなりました。

 豊臣家が潰え、
 徳川の世になっても
 《天下一のお伽衆》の名は消えません。

 或る青年など、
 策伝さんが著した笑話の集大成『醒睡笑(せいすいしょう)』を丸暗記し、
 弟子にしてください!と
 押しかけてきたほど。

「あはァ! そこらへんはァ~」
「がるぐるがる!」(←訳:昔も今も同じ!)

 しかし、《笑い》は、
 軽々と継承できるものでしょうか。

 習えば、“芸”を習得できるのか。

 策伝さんがやったのを
 そっくり真似れば、ドッと笑いが取れるのか。

「うゥ~むゥ? そういうものでもォ~…」
「ぐるるるる?」(←訳:ないよねえ?)

 ひとを笑わせたい。

 簡単そうに見えて、
 まったく容易ではないことです。

 以前にダウンタウンの松本さんも言っていました。
 人を笑かすのは難しい、
 ほんまに難しいことや、と。

 その難しいことを、やってのける。

 策伝さんがやったように、
 そしてまた策伝さんとは違うアプローチで
 《笑い》を生み出す。
 《笑い》を、生きてゆく糧にする――

「むずかしさァ、にばいィでス!」
「がるぐる!」(←訳:百倍かも!)

 上方落語の始祖、
 日本初のお笑い芸人、
 米沢彦八(よねざわ・ひこはち)さん。

 彦八さんの生涯を、
 というより、彦八さんが《笑い》に抱いた想いを、
 著者・木下さんは綴ってゆきます。

 教科書はなく、
 明確なルールもなく、
 ウケればこの上もない喜び、
 ハズせば地獄、の
 得体の知れないもの――《笑い》。

 誰も歩いたことのないその荒野を、
 さて、いかに切り拓いてゆこうか……?

「ぱいおにあァ、でスねッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:行く手に道なし!)

 《笑い》の、真のプロフェッショナルとは。

 書店さんでは、おそらく時代小説のコーナーに
 置かれているのでしょうが、
 現代小説の愛好家さんにも
 激おすすめの作品です!
 彦八さんの(=著者・木下さんの)操る言葉のリズムの、
 その楽しさ、素晴らしさを、
 皆さま、ぜひ味わってみてくださいね~♪
 

 
  
コメント
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