テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

いつも、どこでも、愛犬たちと。

2016-04-10 21:41:50 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、じてんしゃれーすゥにィ、ちゅうもくゥでス!」
「がるる!ぐる~がーるぐる!」(←訳:虎です!パリ~ルーベです!)

 こんにちは、ネーさです。
 ユヴェントスがめでたくも順調に勝ち点を重ねた今日は、
 パリとルーベ間で行われるワンデイレースに集中しましょう。
 泥と埃と砂まみれになりつつ、
 石畳の悪路を一位で走破するのは誰だ?
 速報が入ってくるまでのひとときを、
 さあ、こちらの御本とともに、お過ごしくださ~い♪

  



      ―― 愛犬たちが見たリヒャルト・ワーグナー ――



 著者はケルティン・デッカーさん、原著は2013年に、
 日本語版は2016年1月に発行されました。
 独語原題は『RICHARD WAGNER.MIT DEN AUGEN SEINER HUNDE BETRACHTET』、
 ドイツが誇る大作曲家ワーグナーさんの
 “知られざる一面”が、この御本で明らかに!

「むふゥ? わーぐなーさんッてェ~…」
「ぐるがーるるーぐる?」(←訳:あのワーグナーさん?)

 ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナーさん(1813~1883)。

 『ローエングリン』『ニーベルングの指輪』
 『パルジファル』『トリスタンとイゾルデ』他、
 19世紀のロマン派歌劇を代表する作曲家さんである、
 あの、ワーグナーさん、です。

 御本の題名からも、お分かりのことでしょう。

 ワーグナーさん、実は愛犬家さんで、
 というより、
 リアル“ドリトル先生”と呼びたくなるような、
 たいそうな動物好きさんだったのでした。

「ふァ~? どうぶつゥまにあッ?」
「がるるるっる!」(←訳:知らなかった!)

 21世紀の現在、
 世界中に、イヌ好きさん、ネコ好きさんがおられます。

 しかし、19世紀――
 産業革命と科学の時代、
 バイエルン王国の金庫がオペラ&お城マニアの王さまによって
 空ッポにされかけていた時代にも、
 やはり居たのです、愛犬家さんが。

 もっとも、現在の動物好きさんの眼には
 とんでもないヤツ!と映るかもしれません。

「しょくじにィ、きをつけてッ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:寝床を清潔に!)

 そんな御飯はダメよ!
 塩分が強過ぎるわ!
 ワンコたちの寝る場所は清潔にして!
 ノミやダニだらけになっちゃうでしょ!

 と、愛犬家さんたちが悲鳴を上げるのが
 聞こえてくるような気がしますが……

 フィラリアの治療薬や各種のお薬がない当時、
 ワンコたちの基礎的な医学情報などなかった状況で、
 ワーグナーさんはワーグナーさんなりに
 動物たちを愛します。

   犬に顔中をペロペロ舐められないと、
   ああ、起きる時間が来た気がしない!

   一緒に床を転がりまわって遊ぶ、
   この至福のとき!

   フランツ・リストよ、聞いてくれ!
   わたしのかわいがっていた小さなオウムが、
   かわいそうに、とうとう死んでしまった!
   あれは我が家の守り神だったのに!

「……これはァ、そうとうゥ~」
「がるぐるるる~…」(←訳:重症みたいだ~…)

 巻末の、訳者さんのあとがきによれば、
 この御本がドイツで刊行された2013年は
 ワーグナーさんの生誕二百周年にあたり、
 さまざまな関連本が出版されたのだそうです。

 犬好きさんが多いドイツやオーストリアで
 とても歓迎されたのが、この作品、であったとか。

「どうぶつゥだいすきなァかたがたのォ~」
「ぐるるがるるる!」(←訳:共感を得ました!)

 ワーグナーさんと動物たちのこの評伝作品の巻頭に、
 著者・デッカーさんは、
 モーリス・メーテルリンクさんの言葉を掲げています。

 ワーグナーさんの心境そのもののような、
 短くも、真理をついたその言葉をお借りして、
 本日の読書タイムを締めくくることにいたしましょう――


   わたしたちは孤独だ、
   この星のうえで、まったくのひとりぼっちだ。
   わたしたちを取り巻く、あらゆる形のいのちのなかで
   犬のほかには
   わたしたちと盟約を結んだものはいない。


コメント
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