テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

詩歌世界の、連想ゲーム♫

2016-08-08 22:04:30 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ざんしょッおみまいィもうしあげまスゥ!」
「がるる!ぐるがるるぐるる!」(←訳:虎です!暦の上ではもう秋!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、もう秋!……のはずなんですけれど、
 オリンピックの水泳競技を見てると、
 夏だ!って気になりますね。
 ならば、本日の読書タイムは、
 夏の向こうの涼し~い季節を招いてくれそうな、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  



            ―― うた合わせ ――



 著者は北村薫(きたむら・かおる)さん、2016年4月に発行されました。
 『北村薫の百人一首』と副題が付されているこの御本は、
 出版社さん等の内容紹介では
 《短歌随想》となっていますが、
 私ネーさの個人的な印象としては
 《詩歌の連想ゲーム》でしょうか。

「れんそうゥげーむッ??」
「ぐるるがるるるっ?」(←訳:知力とひらめきっ?)

 活字マニアの皆さまなら、
 古典か、日本史か、美術の授業で習った
 《貝合わせ》を御記憶のことでしょう。

 そもそもは、貝殻に色合いや美しさ、レア度を競い、
 その貝を題材にした歌を詠み合う
 平安貴族の遊びでした。

 そしてまた、
 たくさんのハマグリの貝殻の中から、
 左右一対となるペアを探す《貝覆い》という競技も
 《貝合わせ》と呼ばれています。

 機智に富む著者・北村さんは、
 この《貝合わせ》《貝覆い》という優雅なゲームを
 現代短歌のフィールドに解放したのです。

「ひとつのォうたにィ~」
「がるぐるるる!」(←訳:もう一つの歌!)

 まずは、一首、選んでみましょうか。
 若山牧水さんの作品、

   《白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり》。

 このお歌に合わせるべく、
 北村さんが探し出したのは、
 秋谷まゆみさんの作品、

   《本棚をずらせばそこに秋風のベーカー街へ続く抜け道》。

「ふにゃッ??? べーかーがいィ??」
「ぐるがるるるる?」(←訳:どうつながるの?)

 そこが、連想ゲームなのですよ。

 秋の夜の歌と、
 秋の風が吹く歌。
 そう、風の色は秋のものでしかあり得ない、と
 北村さんは断じます。

 いったいいつのことだったか、
 ホームズ譚を熱心に読みふけった、
 《あの頃の風》が吹く歌……。

「なァるほどォ~♪」
「がるるるぐるるるがるるぐる!」(←訳:ミステリ作家さんらしい連想!)

 ↓こちらのうた合わせも面白いわよ!
 小池純代さんの作品
   
    《三匹の子豚に実は夭折の父あり家を雪もて建てき》

 そして合わせるお歌は、萩原朔太郎さんの作品

    《悲しみて二月の海に来て見れば浪うち際を犬の歩ける》。

「むむッ? さんびきのォこぶたくんッ??」
「ぐるるがるぐるるる?」(←訳:それが犬につながる?)

 小池さんの作品と朔太郎さんの作品を
 結びつけた北村さんの心の動き、とは……

 失礼ながら、ちょっと、いえ、だいぶ、
 ぷふふふっ♪と笑ってしまう思考の過程でございましたよ♫ 

「ぐんぐんッはずむゥ!」
「がるるぐる~!」(←訳:自由な連想~!)

 むか~し読んだお菓子の本の思い出。

 古い映画で知った、
 剃刀(かみそり)研ぎの職人さんの、
 はさみ、ほうちょう、かみそりとぎー、という
 触れ声(ふれごえ)。

 炎暑の銀座を詠んだ歌から、
 開高健さんの思い出へ。

「ふゥ~、めがァまわりそうゥ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:連想の連打です!)

 50組100首の『うた合わせ』と、
 その周囲で遊星のようにきらめく
 詩歌、作家さんたちの文章やエピソード。

 また、巻末には
 《歌人と語る『うた合わせ』》と題した
 北村薫さん・藤原龍一郎さん・穂村弘さんの鼎談も
 収録されています。

 エンタな小説が好き!な方々には
 なんだか渋~い路線の御本ねえ~と言われちゃうかもしれませんが、
 いえいえ、地味なように見えて、
 中身は意外とスリルもありますよ!
 書店さんで、図書館で、
 ぜひぜひ、一読を~♪

「たのしみィましょうゥ!」
「がるるぐるがーる!」(←訳:詩歌の連想ゲーム!)
 

 
コメント
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