「こんにちわッ、テディちゃでス!
とうほくォもォ、ほッかいどうゥもォ~!」
「がるる!ぐるるがるるー!」(←訳:虎です!無事でいてねー!)
こんにちは、ネーさです。
台風10号による被害が軽微でありますように……!
こんな場合ですからね、
いやもう、後回しにしてもいいんですよ、読書タイムは。
大雨大風が止んだ後でも充分です。
台風が去って、お天気が落ち着いて、
気持ちも落ち着いたなら、
そのときは、さあ、リラックスして
こちらの御本を、どうぞ~!
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―― かたづの! ――
著者は中島京子(なかじま・きょうこ)さん、2014年8月に発行されました。
第28回柴田錬三郎賞受賞、
第4回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞、
第3回河合隼雄物語賞受賞、と
錚々たる肩書を有するこの御本の主人公は……
人間じゃない?
「しゅじんこうはァ、たぶんッ!」
「ぐるがる!」(←訳:ツノだね!)
主人公が、人間ではなくて、
ツノである、とは、どんなナゾナゾでしょうか。
いえいえ、実は、謎かけではないんです。
主人公というべき存在は、
一頭の羚羊(かもしか)さん、なのでした。
しかも、この羚羊さん、
或る特徴があって、見分け易いんです。
角(つの)が、一本しかない――
「だからァ、かたづのッ?」
「ぐるがるるる!」(←訳:角が片方だけ!)
片角(かたづの)、あるいは、一本角(いっぽんづの)。
羚羊さんがそんな呼び方をされるようになったのは、
珍しいからと捕らえられることもなかったのは、
ひとりの少女の言葉がきっかけでした。
《この羚羊はきっと法華経の守護神、
龍の姿を持つ七面天女の仮の姿に違いない》
「つまりィ、かみさまッ?」
「がるるるぐるる?」(←訳:神さまの御使い?)
時代は、慶長5年――西暦にして1600年。
関ケ原で天下分け目の決戦が行われようとしているときです。
神仏の御加護を祈りこそすれ、
縁起の悪いことは出来るだけ避けたいと思うなら、
仏さまの仮の姿か、神の御使いか、
と見えなくもない一本角の羚羊を
敢えて殺めようとする者は
一人としていなくなりました。
こうして、一本角の羚羊さんは
はからずも羚羊を救った少女――祢々(ねね)を訪ね、
しばしば彼女の住む城を訪ねることとなりました、が。
「おしろォ、でスかッ?」
「ぐぅるがるるぐるるる?」(←訳:じゃあ彼女はお姫さま?)
八戸南部氏20代当主・直政の妻・祢々さま。
祢々さまが数奇な運命を辿るがゆえに、
一本角の羚羊さんもまた、
彼女とともに転変の生を送ります。
あるときは、羚羊として。
あるときは、ツノとして。
またあるときは、ツノ以上の何かとして。
「なにしろォ、にんげんじゃァありませんからッ!」
「がるるぐるるがるるるる!」(←訳:人間の掟には縛られない!)
遠い西洋の一角獣の神話を、
万城目学さんの『鹿男あをによし』を想わせる
ファンタジックな物語は、
それとも、一種の異類婚譚でしょうか。
羚羊とヒトの、
ヒトとヒトならぬものの、
いつかは神話になるかもしれないものがたり……
「いまごろォ、かたづのォさんはァ、どこにィ?」
「ぐるがるぅ?」(←訳:元気かなぁ?)
夏の名残の読書タイムに、
皆さま、ぜひ!
とうほくォもォ、ほッかいどうゥもォ~!」
「がるる!ぐるるがるるー!」(←訳:虎です!無事でいてねー!)
こんにちは、ネーさです。
台風10号による被害が軽微でありますように……!
こんな場合ですからね、
いやもう、後回しにしてもいいんですよ、読書タイムは。
大雨大風が止んだ後でも充分です。
台風が去って、お天気が落ち着いて、
気持ちも落ち着いたなら、
そのときは、さあ、リラックスして
こちらの御本を、どうぞ~!
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―― かたづの! ――
著者は中島京子(なかじま・きょうこ)さん、2014年8月に発行されました。
第28回柴田錬三郎賞受賞、
第4回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞、
第3回河合隼雄物語賞受賞、と
錚々たる肩書を有するこの御本の主人公は……
人間じゃない?
「しゅじんこうはァ、たぶんッ!」
「ぐるがる!」(←訳:ツノだね!)
主人公が、人間ではなくて、
ツノである、とは、どんなナゾナゾでしょうか。
いえいえ、実は、謎かけではないんです。
主人公というべき存在は、
一頭の羚羊(かもしか)さん、なのでした。
しかも、この羚羊さん、
或る特徴があって、見分け易いんです。
角(つの)が、一本しかない――
「だからァ、かたづのッ?」
「ぐるがるるる!」(←訳:角が片方だけ!)
片角(かたづの)、あるいは、一本角(いっぽんづの)。
羚羊さんがそんな呼び方をされるようになったのは、
珍しいからと捕らえられることもなかったのは、
ひとりの少女の言葉がきっかけでした。
《この羚羊はきっと法華経の守護神、
龍の姿を持つ七面天女の仮の姿に違いない》
「つまりィ、かみさまッ?」
「がるるるぐるる?」(←訳:神さまの御使い?)
時代は、慶長5年――西暦にして1600年。
関ケ原で天下分け目の決戦が行われようとしているときです。
神仏の御加護を祈りこそすれ、
縁起の悪いことは出来るだけ避けたいと思うなら、
仏さまの仮の姿か、神の御使いか、
と見えなくもない一本角の羚羊を
敢えて殺めようとする者は
一人としていなくなりました。
こうして、一本角の羚羊さんは
はからずも羚羊を救った少女――祢々(ねね)を訪ね、
しばしば彼女の住む城を訪ねることとなりました、が。
「おしろォ、でスかッ?」
「ぐぅるがるるぐるるる?」(←訳:じゃあ彼女はお姫さま?)
八戸南部氏20代当主・直政の妻・祢々さま。
祢々さまが数奇な運命を辿るがゆえに、
一本角の羚羊さんもまた、
彼女とともに転変の生を送ります。
あるときは、羚羊として。
あるときは、ツノとして。
またあるときは、ツノ以上の何かとして。
「なにしろォ、にんげんじゃァありませんからッ!」
「がるるぐるるがるるるる!」(←訳:人間の掟には縛られない!)
遠い西洋の一角獣の神話を、
万城目学さんの『鹿男あをによし』を想わせる
ファンタジックな物語は、
それとも、一種の異類婚譚でしょうか。
羚羊とヒトの、
ヒトとヒトならぬものの、
いつかは神話になるかもしれないものがたり……
「いまごろォ、かたづのォさんはァ、どこにィ?」
「ぐるがるぅ?」(←訳:元気かなぁ?)
夏の名残の読書タイムに、
皆さま、ぜひ!