テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《もしも》で、笑顔を。

2018-02-13 22:09:15 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うきゃッ! これはァ、おなかがァすきそうゥでス!」
「がるる!ぐるがるるるるるぅ!」(←訳:虎です!お湯沸かさなくちゃ!)

 こんにちは、ネーさです。
 連休が終わってしまって、しょんぼり……な方々に、
 はい、本日の読書タイムは、
 食欲とは別の意味合いでお腹を抱えてしまうこと必至の、
 こちらの御本を、どうぞ~♪

  



  ―― もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら ――



 著者は神田桂一(かんだ・けいいち)さん、菊池良(きくち・りょう)さん、
 2017年6月に発行されました。
 ええ、活字マニアの皆さまは御存知でしょう、
 '17年の読書界で話題を読んで笑いを誘った異色作、
 《カップ焼きそば》好きさんには天国のような
 パスティーシュ本です。

「じょうだんッ、かとォおもいましたでス!」
「ぐるがる!」(←訳:最初はね!)

 おそらく当初は本当に冗談気分だったのでしょう。

 作家・村上春樹さんの文体をお借りして、
 インターネット上で発表した、

   《1973年のカップ焼きそば》。

「うそつきィ!……なんだけどォ!」
「がるぐるるる~!」(←訳:面白可笑しい~!)

 パスティーシュで読み手を笑わせる、というのは
 既に前例があります、が。

 《カップ焼きそば》をネタに、いえ、テーマに、
 ここまで情熱を注ぎまくってパスティーシュ集を作った、のは
 なかなかにレアじゃないかしら♪

 本文は、まず、
 太宰治さん風の《焼きそば失格》でスタートを切り、
 次の、
 《もし手塚治虫が太宰治を描いたら…を田中圭一が描いたら》で
 早くもトップスピードに乗ります。

 そして息をもつかせぬまま、
 村上春樹さん風の《1973年のカップ焼きそば》、
 コナン・ドイルさん風の《湯切りの研究》と続きます。

「おこッちゃだめェ、でスよゥ~!」
「ぐるぐる♪」(←訳:くすくす♪)

 著者の神田さん菊池さんに
 遠慮という概念はないようです。
 それとも、炎上狙いなのでしょうか。

 星野源さんも(《焼きそば恥だが役に立つ》)、
 志賀直哉さんも(《焼蕎麦行路》)、
 レイモンド・チャンドラーさんも(《ロング・カップ焼きそば》)
 引っ張り出されて、
 焼きそばの作りかたを語る羽目になりました。

「あッ? これッてェ、ぶんごうゥさんッ?」
「がるるぐるがるー!」(←訳:議論の余地ありー!)

 故人となった作家さん、だけではなく。

 現役の作家さん、ミュージシャンさん、
 漫画家さんに評論家さん、
 お笑いの芸人さん、
 さらには
 週刊プレイボーイさん、
 読売新聞さんのコラム、
 ヒップホップの作詞風に、と
 手当たり次第に
 《もしもの世界》が拓けてゆきます。

 ……これ、御本人さんの許可いただいてるのかなぁ?
 いえ、いただいてるワケないわよね、
 コナン・ドイルさんもチャンドラーさんも
 そもそもインスタント食品の焼きそばなんて
 見たことも聞いたこともないでしょうから。

「あぶないィでスゥ~♪」
「ぐるるるるる!」(←訳:いろんな点で!)

 私ネーさが大笑いしてしまったのは
 三島由紀夫さん風の《仮面の焼きそば》、
 沢木耕太郎さん風の《深夜焼きそば特急》、
 石野卓球さん風の
 《俺の焼きそばはどれをとっても機械だぜ》。

 そしてあまりのクオリティの高さに
 これはパスティーシュじゃなくて
 本物の鳥山明さんや本宮ひろ志さんが
 描いてるのでは?と疑念さえおぼえてしまう
 田中圭一さんによるパスティーシュ画は
 素晴らしい!の一言に尽きます。

「ぶらぼォ~!」
「がるる!!」(←訳:大拍手!!)

 さあ、貴方の好きな文豪さん……の文体は、画調は、
 この御本のどこかで見つかるでしょうか?

 頁を捲るたび、
 なぜか元気と笑顔が湧いて(沸いて?)くる楽しい一冊を、
 皆さまも、ぜひ♪

コメント
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