テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《山屋》の魂 ~

2018-02-15 22:04:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふゥ~…おわッちゃッたでスねェ~…」
「がるる!ぐるるがぅるるる……!」(←訳:虎です!さらばチョコたち……!)

 こんにちは、ネーさです。
 毎年のことではありますが、
 バレンタインデーから一夜明け、
 ショコラの季節に別れを告げねばならないのは悲しいわ……
 このヘコんだココロをリカバリーするために、
 さあ、本日の読書タイムは
 ファイティングスピリッツ溢れるこちらの御本を、どうぞ~♪

  



         ―― 蒼き山嶺(さんれい) ――



 著者は馳星周(はせ・せいしゅう)さん、2018年1月に発行されました。
 おっと、ファイティングスピリッツといっても
 ボクシングじゃなくてね、
 この御本で大きなテーマとなっているのは
 登山!です。

「ひょうしのォ、おしゃしんもォ~!」
「ぐるがるる!」(←訳:雪山だもん!)

 そう、物語が始まるのも、
 雪原の風景から。

 主人公にして語り手の《わたし》は、
 得丸志郎(とくまる・ひろし)さん。

 かつては長野県警の山岳救助隊で、
 現在は北アルプス北部地区の
 遭難対策協議会に勤めている
 筋金入りの、生粋の、
 ばりばり現役の“山屋”さんです。

「いちりゅうぅのォ、とざんかァさんッ?」
「がるるぅ!」(←訳:山男かぁ!)

 白馬村観光課の顧問も務め、
 ときには山岳ガイドとして
 日夜“山”とともに在る得丸さん――
 
 とはいえ、お仕事の入っていないオフの日、もあって。

 今日は、ちょうどそんな一日。

 白馬の鑓(やり)温泉小屋近辺の
 残雪の様子を確認後、
 さて、汗を拭いて、
 水分を補給して、と
 ひとやすみしていると。

「あッ? だれかァ、くるみたいィでスよッ?」
「ぐるるがる!」(←訳:登山者だよ!)

 下方から登ってくる登山者を一瞥し、
 得丸さんは怒りを抑えきれません。

 残雪期の後立山(うしろたてやま)連峰を
 あんなヘロヘロ足で登ろうってのか?

 服装・装備は充分だろうと、
 それで体力と技術をカバーできるってもんじゃない。

   ふざけやがって!

「とめるゥ~べきィ?」
「がるるぐる!」(←訳:止めるべき!)

 登山者に声をかけた得丸さんは
 そこで息を呑みます。

 明らかに技術不足のその登山者は、
 かつて大学の登山部で
 得丸さんとともに北アルプスを縦横に駆け抜けた
 旧友の、現在の姿……?

「うゥ~んッ? ふとッちゃッてまスねッ?」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:呼吸も乱れてます!)

 白馬岳(しろうまだけ)に登る、という友人を、
 得丸さんは放っておけません。
 いまのお前にはムリだ、
 と諭しても聞く耳もたぬ彼に付き添い、
 ガイドの役を務めることになりましたが。

 おかしい。

 買ったばかりの、ピカピカのウェア、登山靴。
 担いでいるザックは、重過ぎる、大き過ぎる。
 山についての知識を備えているはずなのに、
 こいつはなぜ、
 こんな無茶、無謀なことを?

「じじょうがァ、あるゥ??」
「がるるるぐるる?」(←訳:怖ろしい事情が?)

 得丸さんの不審と危惧は、
 程なく的中します。

 友人は、警察から追われている……!

「じゃあァ、これはッ?」
「ぐるる~??」(←訳:逃避行~??)

 天候険しい雪山という、
 異界に等しい極限の地。

 なぜ、そこへ?
 どうして、いま?

 “山屋”さんたちの胸に去来する幾万の想いに彩られた
 山岳サスペンスであり、
 ミステリー作品でもあるこの御本、
 一気読みをおすすめします!
 著者・馳さんのファンの方々も
 エンタなフィクションをお探し中の活字マニアさんも、
 どうか、ぜひ♪
 
 
 
 
コメント
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