テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

手紙は、語る。

2018-02-19 22:05:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わふゥ? えきにィ~ぎょうれつゥ??」
「がるる!ぐるがるぐるる??」(←訳:虎です!何の行列だろう??)

 こんにちは、ネーさです。
 現在、JR中央線の各駅で『名探偵コナン』くんの
 スタンプラリーが開催中みたいですよ。
 スタンプを集めているチッビっ子ちゃんたちは
 駅構内や改札で転倒しないようお気を付けてね。
 さあ、ではここからは読書タイムです♪
 本日は、こちらの新書を、どうぞ~!
 
  



        ―― 藤田嗣治 手紙の森へ ――



 著者は林洋子(はやし・ようこ)さん、2018年1月に発行されました。
 『Promenade dans les lettres de Foujita』と
 仏語題名が付されています。

 画家・藤田嗣治(ふじた・つぐはる)さん。
 フランス国籍を取得した後は、レオナール・フジタさん。

 今年2018年は、
 1886年、東京・牛込に生まれ、
 1986年、チューリヒで没したフジタさんの、
 没後50年となる記念の年です。

「ごじゅうゥねんッ?」
「ぐぅるがるるっ?」(←訳:じゃあたぶんっ?)

 ええ、記念すべき年ですもの、
 大規模な展覧会が予定されています。

 東京都美術館で、7月31日~10月8日。
 京都国立近代美術館では、10月19日~12月16日。

 この御本は、
 展覧会を前にしての関連本のひとつ、なのでしょうが、
 いろいろなオトナの事情は横に置いといて。

 ひとりの画家さんの生涯を
 “手紙”から辿る
 評伝作品。

 そんな風に捉えていただきたい一冊です。

「しりょうゥがァ、たァ~くさんッ!」
「がるるぐるるがる!」(←訳:図版も写真も充実!)

 ノンフィクションには
 書簡集というジャンルがあります。
 それが、画家さんの書簡(手紙)となると、
 やはり便箋に文字だけ、とはならないんですね。

 この御本に収録されているフジタさんの手紙の多くが、
 イラストや素描、
 本気のスケッチとさえ言える《絵》を乗せて、
 宛先人のもとへ旅立ったものでした。

「からふるゥ、でス!」
「ぐるがるぐるるー!」(←訳:油彩とは違うねー!)

 キャンバスに描くときとは異なる、
 軽やかなタッチの“絵”手紙は、
 本文前半・中盤・後半で
 微妙にニュアンスが変わってゆきます。

 第二次世界大戦前と、
 大戦の渦中にあった戦争中、
 そして戦後の、日本から距離を取った時代の“絵”。

 著者・林さんは、
 どの時代のフジタさんが最も幸福だったのか、
 とは問いません。

 ただ静かに、穏やかに、
 フジタさんの手紙一通一通を年代順に積み重ね、
 追いかけてゆくのです。

 終章の、
 《藤田の遺言に思える》一文まで。

「ずッしりィ、くるのでス……!」
「がるるるるぐる!」(←訳:矢のような一通!)

 手紙から、
 “絵”から、
 或いは、
 揺れるペン先、筆跡に
 何を読み取るか――

 アート好きさんに、
 フジタさんのファン諸氏に
 激おすすめのノンフィクション、
 どうか、ぜひ、一読を!
 
 
コメント
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