テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 旅路の少年 ―

2018-02-20 22:14:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 なァるほどォ! かーりんぐもォ、おもしろいィのでス!」
「がるる!ぐーるるがるーる!」(←訳:虎です!ルールがユニーク!)

 こんにちは、ネーさです。
 氷上のチェスと言われるカーリング――
 私ネーさが気になって仕方がないのは、
 カーリング競技者の方々の
 美男美女度の高さ!
 どの国の競技者さんも、脚はスラっと長いし、
 お顔は整っていて、動きもきびきび!
 一方、本日の読書タイムで御紹介いたしますのは、
 脚スラな美男美女とは正反対な世界?を描く
 こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



        ―― ぼくの名前はズッキーニ ――



 著者はジル・パリスさん、原著は2001年に、
 画像の日本語新訳版は2018年2月に発行されました。
 仏語原題は『Autobiographie d'une Courgette』、
 アカデミー賞候補にノミネートされたことで
 いま話題になっているアニメ作品『ぼくの名前はズッキーニ』の
 原作小説です。

「ずッきーにィ??」
「ぐるがるる?」(←訳:あの野菜の?)

 ズッキーニ、と聞けば、
 まず殆どの場合で思い浮かびますよね、
 お野菜のズッキーニを。

 でも。

 ズッキーニのフランス名は《courgette(クルジェット)》といい、
 これはウリやカボチャを意味する《courge(クルジェ)》から
 派生した言葉である、と
 御本巻末の『あとがき』で訳者の安田昌弘さんは
 解説してくださっています。

 また、《courge(クルジェ)》には比喩的に
 《石頭》や《のろま》などの
 意味があるのだ、とも。

「えェ~? のろまァ??」
「がるるる~!」(←訳:ひどいよ~!)

 主人公にして語り手の《ぼく》の名は、
 イカールくん。

 決してズッキーニではありません。
 
 ええ、ズッキーニではない、のですが、
 ママが彼をそう呼ぶからには
 イカールくんはいつもこんな風に名乗るのです。

  ―― ぼくの名前は『ズッキーニ』さ。――

 警察の人にも、
 養護施設の少年たちにも。

「けッ、けいさつゥ??」
「ぐるっる??」(←訳:施設って??)

 イカールくん、
 お父さんについての記憶があまりありません。
 ママによれば、
 世界一周に出発したのよ、だそうで、
 つまりイカールくんは母とふたり、
 つましく暮らしていたのですが。

 或る日、不慮の事故が起き、
 イカールくんは“孤児”になってしまいました。

「そんなァ~!」
「がるるぅ!」(←訳:嘘でしょ!)

 親切な警察官レイモンさんは、
 フォンテンブロー近くの養護施設《レ・フォンテーヌ》へ
 イカールくんを連れてゆきます。

 《レ・フォンテーヌ》で生活しているのは、
 イカールくんと同じように、
 事情を抱え、
 孤独を抱える同年代の子どもたち。

 泣き虫のアメッドくん、
 バラ色のメガネをかけているベアトリスちゃん、
 面倒見の良いカミーユちゃん、
 情報通のシモンくんたち。

 そんな環境で
 イカールくんは、いえ、
 小さな9歳の少年は、どんな未来を見出すのか。

 そもそも……彼に未来はあるのか?

「あにめはァ、かわいいィけどォ~」
「ぐーるるがるるぐる!」(←訳:テーマは重たいです!)

 可愛らしいヴィジュアルのアニメ作品を観る前に、
 できればどうか、
 こちらの原作小説を一読してみてください。

 ズッキーニことイカールくんの、
 波立つこころの動きを、
 その旅路を、
 ぜひ、ともに。
 

 
コメント
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