テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ たったひとりで、塗り変える世界 ~

2020-05-21 23:36:17 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 こうのとりくんッ、ぐッじょぶゥでスよゥ!」
「がるる!ぐるるるがる~!」(←訳:虎です!打ち上げ成功~!)

 こんにちは、ネーさです。
 H2Bロケットに搭載された補給船『こうのとり』は、
 国際宇宙ステーションへ……!
 次回ミッションにはHTV-XとH-3ロケットが登場するとか?
 ああ、この光景をSF作家・野田昌弘さんにお見せしたかったわ……
 と涙を拭いつつ、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、どうぞ~♪

  



   ―― カラヴァッジョ《聖マタイの召命》 ――



 著者は宮下規久朗(みやした・きくろう)さん、
 2020年2月に発行されました。
 『一枚の絵で学ぶ美術史』と副題が付されています。

「せかいィじゅうでェ、だァ~いにんきィ!」
「ぐるがるる!」(←訳:天才だよね!)

 そうね、バロックを代表する天才画家
 カラヴァッジョさん――
 本名ミケランジェロ・メリージさん。

 天才などと呼んでしまうと、
 雲の上のおひとのように思われますが、
 御本冒頭の『はじめに』の第一行目で、
 著者・宮下さんは
 私たち読み手の心をいきなり鷲掴みにします。

   『カラヴァッジョの《聖マタイの召命》は、
    1600年、日本で江戸時代が始まった年に
    ローマの教会で公開されました』

 って、どう?
 イマジネーションが沸騰しません?

「むむむゥ! せきがはらッ!」
「ぐるがるるるぐる!」(←訳:天下分け目の決選!)

 そう、戦国時代から江戸へと、
 日本の未来を決する戦いが行われたその年、
 はるかシルクロードのはて、
 西欧文化の中心地・ローマでは、
 美術史の流れを一気に変える絵画が
 出現したのでした。

 《聖マタイの召命》――

 この作品がもたらした衝撃の強さたるや、
 まことに途方もなく、
 カラヴァッジョさんの画風を真似る
 多くの追随者(カラヴァッジェスキ)が
 誕生します。

「ひかりとォ、かげッ!」
「がるぐる!」(←訳:写実主義!)

 ルネサンスでもマニエリスムでもない、
 新しい絵画の時代の幕を
 たったひとりで開けたカラヴァッジョさん。

 彼が、《聖マタイの召命》の中に構築した
 “新しさ”とはどんなものなのか?

 主題である聖マタイは、
 画面のどこに描かれているのか?

 気取らず、やさしく、平明な言葉で、
 そして、柔軟な目線で、
 宮下さんは名画の隅々までを眺め、
 掘り下げてゆきます。

「おだやかァなのにィ~!」
「ぐるるるっる!」(←訳:ドラマチック!)

 天正遣欧少年使節が
 日本に帰着したのは1590年のことでした。
 
 ああ、惜しい!
 もうちょっと帰国が延びていたら、
 カラヴァッジョさんと少年使節が
 ローマで出会うこともあったでしょうに、
 いえ、出会ったに違いないのに!

 などなど、
 楽しく空想が深まってゆくアート評論は、
 歴史マニアさんも
 絵画好きな方々にも激おすすめですよ。
 
 特に、展覧会に行けなくて
 悲しい思いをしている方々は、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 
 
コメント
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