テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 壁に咲く花 ―

2020-05-24 23:39:42 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うゥ~むッ! こんしゅうもォ、かッこいいィ~!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!衣装もすてき!)

 こんにちは、ネーさです。
 今週の『麒麟がくる』でも染谷将太さんがブラボー!
 袖を翻して急ぎ足に廊下を去ってゆく後ろ姿に、
 アンコール!と拍手いたしましたよ。
 来週もそのノリで行ってくだされと応援しながら、
 さて、ここからは
 戦国時代から現代に立ち戻っての読書タイム、
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
     ―― ポスター芸術の歴史 ――



 著者はディヴィッド・ライマーさん、
 監修は海野弘さん、原著は2019年に、
 画像の日本語版は2020年2月に発行されました。
 英語原題は『The World in Prints:
 The History of Advertising Posters from the Late 19th Century to the 1940s』、
 『ミュシャ、ロートレックからシュルレアリスムまで』と
 日本語副題が付されています。

「ひょうしィはァ、あのォまえすとろォ~!」
「ぐぅるぅがる!」(←訳:ミュシャさん!)

 ええ、そうですね、
 御本の表紙は、現代の日本でも、
 いえ、世界中でいまもなお絶大な人気を有する
 アルフォンㇲ・ミュシャさん。

 ミュシャさんの故国チェコの
 伝統的な意匠を取り入れた華麗な花文様、
 衣装の流れるような線、
 練り上げられた女性像の美しさ……
 これこそポスター芸術の頂点でしょう!

 と言いたいところですが、
 ポスター芸術の巨匠さんは
 ミュシャさんだけじゃありませんよね。

 ミュシャさんよりも前の時代、
 ポスターの制作に携わったのは――

「あッ、これェ、みたことォありまス!」
「がるぐっるるる!」(←訳:これ知ってるよ!)

 著者・ライマーさんが
 《ポスターの父》と呼ぶのは、
 ジュール・シェレさん。
 
 さらにライマーさんは、
 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックさんを
 《広告を美術に変えた芸術家》と讃えます。

 油彩画や線画のような美術形態と
 コマーシャル・アート(商業美術)と間にある
 垣根を取り払い、
 ミュシャさん、エッシャーさん、
 アンディ・ウォーホルさんたちが
 すばらしい足跡を残すための道を切り開いた人物こそ
 トゥールーズ=ロートレックさんであった、と。

「だいたんなァ、いろづかいィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:躍動感あり!)

 次の世代も、
 やはりパリから。

 シェレさん、トゥールーズ=ロートレックさん、
 ミュシャさん、という流れに続く
 ポスターアーティストさんたちもまた、
 パリという土壌から新たに芽吹き、
 育ってゆきます。

 御本の前半部分は、
 シェレさんの作品に顕著な19世紀後半の作風と
 ミュシャさんの特徴でもある
 アール・ヌーボーの草花文様が目立つのに対し、
 後半部分に入ると
 印象は一変!

「ちょくせんッ!」
「がるぐっるる!」(←訳:色もきっぱり!)

 客船を正面から描いた作品で知られる
 カッサンドルさん。

 ルノーやブガッティなど
 自動車会社のポスターを制作したシャルル・ルーポさん。

 アールデコが一段落した後には、
 シュルレアリスムの波が……。

「ふわわァ! おおいそがしィ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:変化の連続!)

 さして長くない年月の間に、
 くるくると様相を変え、
 流行を変え、
 流行に変えられ、
 変化してゆくポスター芸術の歴史。

 アート好きな方々に、
 近代史好きな方々にもおすすめの大型本は、
 印刷の精度も高く、
 長時間眺めていても飽きることがありません。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫
  
 
 
コメント
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