テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 週末は《きたきた》! ~

2024-10-18 22:03:01 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きいろいィ~ぽふぽふゥ!」

「がるる!ぐるるるがるるーる!」(←訳:虎です!カステラパンケーキ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 絵本『ぐりとぐら』『そらいろのたね』『いやいやえん』、

 そして『となりのトトロ』の主題歌『さんぽ』の作詞……

 中川李枝子さんの作品に出会えた喜びを、

 いままた、あらためて噛みしめています。

 ほっこり温かいパンケーキの香りに憩いつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 気の毒ばたらき ――

 

 

 著者は宮部みゆき(みやべ・みゆき)さん、

 2024年10月に発行されました。

 《きたきた捕物帖3》とシリーズ名が付されていますよ。 

 

「きたさんッ、おひさしぶりィ~!」

「ぐっるがるるる!」(←訳:待ってましたよ!)

 

 岡っ引き見習いの、北一(きたいち)さん。

 今日も元気よく、文庫を売り歩いたり、

 旧知のお風呂屋さんに紙屑を届けに行ったり、

 それはもう忙しく

 立ち働いている中で。

 

 一年前は、こうじゃあなかった、と

 不意に思い返すこともしばしば。

 

   一年前は、千吉(せんきいち)親分がいた。

   迷子のおいらを拾ってくれて、育ててくれた、

   とっても頼りになる親分は、

   啞然とするほど唐突に、

   あっさりこの世を去っちまって。

 

   残されたおいらたちは大混乱、

   おいらもまさか、

   親分の看板商売だった『朱房の文庫』作りや、

   岡っ引き仕事に係わることになるとは、

   夢にも思ってなかったけど。

 

   ……や? 待ってくれよ?

   これも、夢か?

   悪夢、ってヤツなのか?

 

「あわわわわゥ! どうしようゥ!」

「がる~!」(←訳:煙が~!)

 

 さぁて長屋か仕事場へ戻ろうか、と

 大八車を牽きながら

 深川へ向かっていた北一さんは、目撃したのです。

 

 空に上る一条の煙。

 

   あの煙は、いや、タダの煙じゃねえ!

   火事の煙だ!

   それに、あの方角は……!

 

 北一さんが戦慄するのも無理はありません。

 方角と距離を考え合わせれば、

 煙の出所は、

 千吉親分の工房を引き継いだ

 万作(まんさく)さんの家がある辺り。

 

   どうか、おいらの勘違いであってくれ!

   頼むよ!

 

 一心不乱に江戸の町を駆け抜けた北一さんが、

 煙の奥に見たものは……ああ……。

 

「げほッ、ごほッ」

「ぐるがる~!」(←訳:喉が痛い~!)

 

 シリーズ第3巻となるこの御本の特徴は、

 なんといっても、

 《おかみさん》の帰還!でしょうか。

 

 第一作『きたきた捕物帖』で

 私たち読み手のハートを見事に射抜いてくれた

 千吉親分の未亡人・まつ葉さん。

 

 幼い頃に罹った病のせいで視力を奪われ、

 けれど、それゆえに賢く、

 観察力に秀で、

 決断力も行動力もあって、

 時にはホームズさんばりの”名探偵”と化す

 《おかみさん》は、

 なぜか第二作『子宝船』では

 影が薄くなってしまって、

 読んでいて戸惑ったものですが、

 第3作では物語の最前線に戻ってきましたよ。

 

 足が棒になるほど歩き回るタイプの

 かけ出し”探偵”北一さんと、

 安楽椅子”探偵”タイプの《おかみさん》。

 

 ふたりを中心に、

 新たに登場したキャラクターさんも加わって、

 火事の謎は、どう着地するのか――

 

「きたきたァおにいさんッ、ごようじんッ!」

「がるるぐるがるる~!」(←訳:江戸の夜は暗いよ~!)

 

 表題作である

 第一話『気の毒ばたらき』と、

 第二話『化け物屋敷』の

 2話が収録されている御本は、

 ずっしり厚く、読み応えがありますよ。

 

 《きたきた》最新作を心待ちにしていたファンの方々、

 ミステリ好きな活字マニアさんは、

 本屋さんの新刊コーナーへ、

 ぜひ、お急ぎくださいね~♪

 

コメント
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