「こんにちわッ、テディちゃでス!
きいろいィ~ぽふぽふゥ!」
「がるる!ぐるるるがるるーる!」(←訳:虎です!カステラパンケーキ!)
こんにちは、ネーさです。
絵本『ぐりとぐら』『そらいろのたね』『いやいやえん』、
そして『となりのトトロ』の主題歌『さんぽ』の作詞……
中川李枝子さんの作品に出会えた喜びを、
いままた、あらためて噛みしめています。
ほっこり温かいパンケーキの香りに憩いつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 気の毒ばたらき ――
著者は宮部みゆき(みやべ・みゆき)さん、
2024年10月に発行されました。
《きたきた捕物帖3》とシリーズ名が付されていますよ。
「きたさんッ、おひさしぶりィ~!」
「ぐっるがるるる!」(←訳:待ってましたよ!)
岡っ引き見習いの、北一(きたいち)さん。
今日も元気よく、文庫を売り歩いたり、
旧知のお風呂屋さんに紙屑を届けに行ったり、
それはもう忙しく
立ち働いている中で。
一年前は、こうじゃあなかった、と
不意に思い返すこともしばしば。
一年前は、千吉(せんきいち)親分がいた。
迷子のおいらを拾ってくれて、育ててくれた、
とっても頼りになる親分は、
啞然とするほど唐突に、
あっさりこの世を去っちまって。
残されたおいらたちは大混乱、
おいらもまさか、
親分の看板商売だった『朱房の文庫』作りや、
岡っ引き仕事に係わることになるとは、
夢にも思ってなかったけど。
……や? 待ってくれよ?
これも、夢か?
悪夢、ってヤツなのか?
「あわわわわゥ! どうしようゥ!」
「がる~!」(←訳:煙が~!)
さぁて長屋か仕事場へ戻ろうか、と
大八車を牽きながら
深川へ向かっていた北一さんは、目撃したのです。
空に上る一条の煙。
あの煙は、いや、タダの煙じゃねえ!
火事の煙だ!
それに、あの方角は……!
北一さんが戦慄するのも無理はありません。
方角と距離を考え合わせれば、
煙の出所は、
千吉親分の工房を引き継いだ
万作(まんさく)さんの家がある辺り。
どうか、おいらの勘違いであってくれ!
頼むよ!
一心不乱に江戸の町を駆け抜けた北一さんが、
煙の奥に見たものは……ああ……。
「げほッ、ごほッ」
「ぐるがる~!」(←訳:喉が痛い~!)
シリーズ第3巻となるこの御本の特徴は、
なんといっても、
《おかみさん》の帰還!でしょうか。
第一作『きたきた捕物帖』で
私たち読み手のハートを見事に射抜いてくれた
千吉親分の未亡人・まつ葉さん。
幼い頃に罹った病のせいで視力を奪われ、
けれど、それゆえに賢く、
観察力に秀で、
決断力も行動力もあって、
時にはホームズさんばりの”名探偵”と化す
《おかみさん》は、
なぜか第二作『子宝船』では
影が薄くなってしまって、
読んでいて戸惑ったものですが、
第3作では物語の最前線に戻ってきましたよ。
足が棒になるほど歩き回るタイプの
かけ出し”探偵”北一さんと、
安楽椅子”探偵”タイプの《おかみさん》。
ふたりを中心に、
新たに登場したキャラクターさんも加わって、
火事の謎は、どう着地するのか――
「きたきたァおにいさんッ、ごようじんッ!」
「がるるぐるがるる~!」(←訳:江戸の夜は暗いよ~!)
表題作である
第一話『気の毒ばたらき』と、
第二話『化け物屋敷』の
2話が収録されている御本は、
ずっしり厚く、読み応えがありますよ。
《きたきた》最新作を心待ちにしていたファンの方々、
ミステリ好きな活字マニアさんは、
本屋さんの新刊コーナーへ、
ぜひ、お急ぎくださいね~♪