テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 工房から、海を見ゆ。 ~

2024-10-21 22:03:07 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふゥッ! さむゥ~いィあさはァ~」

「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!温かい飲み物~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 すっかり秋らしい気温になった朝&夕は、

 温かな、いえ、熱い飲み物が欲しくなりますね。

 お茶やコーヒー、ココアをのんびり味わいながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

     ―― バーナード・リーチとリーチ工房の100年 ――

 

 

 著者は加藤節雄(かとう・せつお)さん、

 2020年2月に発行されました。

 『BERNARD LEACH & JEACH POTTERY 1920-2020』と英語題名が、

 『海とアートの街 セントアイヴスをめぐる』と

 日本語副題が付されています。

 

 前回記事では、お買い物意欲が燃え上がっちゃいそうな

 服と小物のガイド本を御紹介しましたが、

 こちらの御本も、

 陶器が好きで、民藝が好き!

 という方々には堪らない一冊、と申しましょうか。

 

「そぼくなァ、ふうあいィ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:手捏ねの土肌!)

 

 民藝運動の主唱者とされる

 柳宗悦(やなぎ・そうえつ)さん(1889~1961)。

 

 宗悦さんとともに

 当時の日本のアートシーンに深く係わったのが、

 バーナード・リーチさん(1887~1979)でした。

 

 リーチさんの経歴はなかなかに変わっていて、

 英国の植民地だった香港で生まれたものの、

 生誕と同時に実母を喪ったため、

 京都で英語教師をしていた

 母方の祖父に引き取られます。

 やがて、再婚した父のもと香港で暮らし、

 父の任地異動によって次はシンガポールへ……と、

 リーチさんは少年時代を

 アジアの国々で過ごしました。

 

「でもォ、しあげはァ~ほんごくゥでッ!」

「がるるぐる!」(←訳:母国へ帰国!)

 

 生まれ育ったのが外国であろうと、

 学業の仕上げは、本国で。

 

 というのが、その頃の“決まり事”でしたから、

 リーチさんも英国で教育を受けるために帰国し、

 パブリックスクールや

 ロンドン大学の美術学校で学びます。

 

 ところが、お父さんが病気になってしまい、

 家計を助けようと退学して、

 その後、ロンドンの銀行に就職した……んですけど。

 

「うううゥ、だめでスゥ~!」

「ぐるるるる~…!」(←訳:馴染めない~…!)

 

 金融の世界は、苦しいばかり。

 苦慮の末、リーチさんは辞職し、

 エッチングの教師として

 日本へ旅立ちます。

 

「むゥ? えッちんぐゥ?」

「がっるるるっる!」(←訳:エッチングって!)

 

 リーチさんが、

 彼の天職――《陶芸》と出会ったのは、

 日本に来てから、のことでした。

 

 1911年、

 招待されて上野の博覧会場を訪れたリーチさんは、

 楽焼を体験したのです。

 

 自分で壺に絵付けをして、

 窯に入れて熱し、

 焼き上がったら、おが屑の中に埋めて、

 そうしたら……?

 

「わほゥ! できたァ~♫」

「ぐるっるる!」(←訳:良かったね!)

 

 この時の感動が、

 リーチさんを陶芸家の道へ導きました。

 

 20世紀初頭の英国でも、陶磁器業は盛んです。

 ただし、それはとても工業化され、組織化されていて、

 大量生産するのが常識の、メジャーな産業だったのです。

 

 そんな英国式とは対照的な、

 日本の陶芸の手法に、

 リーチさんはたちまち夢中になりました。

 

「ほぼォ、てづくりィ!」

「がるるるぐるる!」(←訳:同じ物はないよ!)

 

 陶芸に魅せられたリーチさんは、

 日本を離れ、帰国したのちも

 陶芸家であり続けました。

 

 この御本では、

 リーチさんが英国西南端に程近い

 セントアイヴスに造った工房の歴史と、

 再興運動が細やかに、

 共感をもって語られています。

 

 都市ロンドンではなく、

 海を臨む小さな町を選び、愛したリーチさん。

 

 収録されているセントアイヴスの風景が

 驚くほど美しいので、

 写真を見るためだけでもいいんです、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

コメント
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