テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ちいさな彼女の、豊かな世界 ~

2023-08-21 22:10:17 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 じかいィよこくにィ~はらはらァでス!」

「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!気になる謎組織!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大河ドラマ『どうする家康』を拝見した後は、

 TBS『VIVANT』でまたも手に汗握った日曜の夜でした。

 両ドラマとも次回はどうなっちゃうのかと案じつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― うちのちいさな女中さん ① ――

 

 

 著者は長田佳奈(おさだ・かな)さん、

 2021年9月に発行されました。

 前回記事に続いて、コミック作品のご紹介となりますよ。

 

「しゅじんこうゥはァ、じょちゅうゥさんッ!」

「ぐるがるぐる?」(←訳:今はほぼ死語?)

 

 現在では全くと言っていいほど、

 耳にすることもなくなった“女中さん”という存在。

 

 けれど、

 物語の冒頭には、こうあります――

 

  《女中。

   かつては日本女性の一大職業であり、

   日常の中にその姿は在りました。

   さほど裕福でない家庭でも女中を雇うことは珍しくなく、

   彼女たちはとても身近な存在でした》

 

「そしてェ、きょうもォひとりのォ~」

「がるぐるるるがるる!」(←訳:新人女中さん来たる!)

 

 翻訳家・蓮見令子(はすみ・れいこ)さんは、

 依頼された仕事の仕上げにかかりながら、

 壁の時計を見上げます。

 

 もうすぐ出版社の人が原稿を取りに来る、

 それから、新しく女中さんが来てくれる……って、

 ドアをノックする音がしたので出てみれば。

 えっ? あららっ??

 

「おややッ、おわかいィ?」

「ぐるるるがるるるぅ!」(←訳:ていうか若過ぎるぅ!)

 

 22歳、と聞いていたのに、

 玄関口に立っているのは、

 少女そのままの、ちいさな人影。

 

 ええ、蓮見さんはカン違いをしていたのです。

 最終的に、蓮見さんのお家で働くことになっていたのは、

 野中ハナさん、14歳。

 

 おっと、14歳だからって見くびっちゃいけませんよ。

 掃除、洗濯、炊事、

 家財道具の細々としたお手入れなど、

 ハナさんはパーフェクトにやってのけます。

 

「よかッたァ~!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:ひと安心だねえ!)

 

 働き者で、気が利いて、お料理は上手だし、

 ……でも。

 ハナさん、表情に変化がない点が

 ちょっと心配なんですけど……?

 

「はなちゃんッ、わらッてよゥ!」

「がるるぐるるるぅ!」(←訳:笑顔を見たいよぅ!)

 

 蓮見さんとハナさんが暮らす、

 昭和9年の日本。

 

 文化住宅と、その和洋折衷な室内、

 台所の瓦斯(ガス)に、氷で冷やす冷蔵庫、鏡台など、

 著者・長田さんは緻密に、丁寧に、

 昭和初期の生活を細部まで描いています。

 

 その細密さに、

 そうか、なるほど! !と

 何度も驚いたり感心させられました。

 発見も、学びも、見る愉しみも味わえる快作を、

 マンガ好きな方々はもちろん、

 歴史好きな活字マニアさんも、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ 至福の紅茶は、このマンガで! ~

2023-08-20 22:08:08 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふうゥッ! ざんしょォおみまいィ~もうしあげまスゥ!」

「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!求む涼風~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 夏バテでもう倒れる寸前……ではありますが、

 やったわ!!

 読み手に元気を与えてくれる楽しい作品が到着しましたよ!

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの新刊コミックを、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 猫と紳士のティールーム ――

 

 

 著者はモリコ ロス(もりこ・ろす)さん、

 2023年8月に発行されました。

 『Cat and Gentleman's Tea room』と英語題名が付されています。

 

「ずゥ~ッとォ、まッていたのでス!」

「ぐる~る!」(←訳:瀧さ~ん!)

 

 とある寂れて久しい商店街の一画に、

 新しく開店したのは、

 《CAMELLIA TEA ROOM》。

 

 ええ、ティールームです。

 TEAすなわち紅茶を専門とするお店なワケで、

 コーヒーは取り扱っておりません。

 

 何か飲むものを……と、お店のドアを開けたお客さんは、

 え?コーヒーないの?と驚く場合もあり、

 一方で、

 紅茶専門のお店を探してたんです!

 と笑顔全開でやって来るお客さんもおられますね。

 

「むふゥ! どんなァおきゃくさんもォ~」

「がるぐるるぅるるるがるぐる!」(←訳:満足させちゃうのがこのお店!)

 

 お店を切り盛りするのは、

 オーナーの瀧(たき)さん。

 

 瀧さんの手にかかれば、

 あぁら不思議♪

 美味し~い紅茶とお菓子がサササッと目の前に……!

 

「いただきまァ~スッ!」

「ぐるがる!」(←訳:おお口福!)

 

 大人気を博した第1巻では、

 『ダージリンとアップルパイ』

 『アールグレイとザッハトルテ』

 『ロイヤルミルクティーとカヌレ』

 といったお茶とお菓子のマリアージュが紹介されました。

 

 この第2巻で瀧さんが手に取るのは、

 『ルフナ』

 『正山小種(ラプサンスーチョン)』

 『アッサム』

 などの茶葉ですが……

 

「るッ、るふなッ??」

「がるるぐるるがる!」(←訳:初めて聞く名だよ!)

 

 それぞれの茶葉に合う美味しいお菓子とは、

 はたして、どのような……?

 

 そして、もうひとつ、

 大注目していただきたいのは、

 第8話の『レモンティーとクランペット』(本文87ページ)。

 

 レモンティーって、そうか、こうやって作ればいいのか!

 と、技術の視点からも感激感服必至のお話ですよ。

 

「やるッ!」

「ぐるがっるるる!」(←訳:これやってみる!)

 

 美味しいものを、感謝とともに。

 

 私ネーさが、いまいちばん、

 読んでいて楽しい~!と思えるコミック作品です。

 ニャンコ好きな方々にも激おすすめしたい

 紅茶と癒しとほんのり笑いwな物語を、

 皆さま、ぜひ~♪

 

 

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~ ローマの美神、初来日! ~

2023-08-19 22:07:18 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 おおおッ、かッこいいィ~ッ!」

「がるる!ぐるるるっるぅ!」(←訳:虎です!スタイリッシュ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 一目見るや、かっこいいわ!洒落てるぅ!と感心させられたのは、

 ええ、↓こちらの展覧会のチラシ(フライヤー)ですよ。

 そこで本日は、読書をサボり、秋の展覧会情報を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 永遠の都 ローマ 展 ――

 

 

 東京・上野の東京都美術館にて、

 会期は2023年9月16日~12月10日

 (月曜休室、ただし9/18と10/9は開室して9/19と10/10は休室)、

 『Rome,the Eternal City : Masterpieces from the Capitoline Museum's Collection』

 と英語題名が付されています。

 

「めいさくゥ!」

「ぐる!」(←訳:傑作!)

  

 ローマ教皇のコレクションを核に設立され、

 1734年に一般公開が始まった

 カピトリーノ美術館。

 

 この展覧会では、

 世界的に最も歴史の古い美術館の一つに数えられる

 カピトリーノ美術館の収蔵品から、

 約70点の彫刻、絵画、版画等が展示されます。

  

「はつらいにちィ、なのでス!」

「がるるぐるがる!」(←訳:奇跡の小顔美女!)

 

 初来日となるのは、

 8頭身?いや9頭身かも?な古代ヴィーナス像

 『カピトリーノのヴィーナス』(2世紀)。

 実に美しい横顔ですね……!

  

「おッ! このォおおかみィはッ!」

「ぐーるるがる!」(←訳:ローマの象徴!)

 

 ローマの象徴として広く知られるのは、

 都市国家ローマ建国の父とされるロムルスとレムルスの兄弟と、

 彼らを育てた狼さんの彫像。

 今回出展されるのは、

 ローマ市庁舎が所蔵する複製品とのことで、

 たぶん真正作品は重要&貴重すぎて

 動かせない、のかも……?

  

 今年――2023年は、

 日本の明治政府が派遣した

 『岩倉使節団』がカピトリーノ美術館を訪れてから、

 ちょうど150年。

 

 『岩倉使節団』の訪欧は、

 のちの日本の博物館施策に大きな影響を与えた、

 とされています。

 

 ローマと東京、ふたつの友好都市を結ぶ

 記念すべき秋の特別展へ、

 ぜひ、お出掛けしてみてくださいね♪

 

  

 

   では、ここで美味しいオマケ画像も、じゃじゃん!

   

   『不二家』さんの

   《LOOK チョコミントピンス》には、

   2種類のミントチョコが入っていますよ。

   「すッきりィ~!」

   「がるるるる!」(←訳:サクサク系!)

   冷蔵庫で冷やしてから、めしあがれ♫

 

   今週末も、関東エリアは灼熱が続きそうです……

   皆さま、熱中症に気を付けて、

   どうか穏やかな休日を。

 

 

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~ 名作再読・ドラマと違うもん!なのは ~

2023-08-18 22:07:05 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 おおいなるゥ~ぎもんッ、なのでスゥ!」

「がるる!ぐるるがっる~?」(←訳:虎です!こんなだっけ~?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 映画やドラマを観ていて、しばしば感じる疑問――

 《あれ?この作品の原作ってこういうストーリーだった?》

 はい、本日の読書タイムは、↑これをテーマとして、

 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 死との約束 ――

 

 

 著者はアガサ・クリスティーさん、

 原著は1938年に、日本語版は1978年に発行されました。

 英語原題は『APPOINTMENT WITH DEATH』、

 中近東を舞台とする長編作品で探偵役を務めるのは、

 はい、ベルギー人のエルキュール・ポアロさんです。

 

「おひげのォ、たんていィさァ~んッ!」

「ぐるるがる!」(←訳:お洒落番長!)

 

 お肌に汗が噴き出すような灼熱の地であろうと、

 スーツに革靴、帽子にステッキ、と

 今日もおしゃれに余念がないポアロさん。

 

 というのは、現在NHKBSで毎週水曜日の夜9時から放送中の、

 《名探偵ポアロ》シリーズでのお姿です。

 デビッド・スーシェさんが演じるムッシュゥ・ポアロは、

 今週も鮮やかな推理を披露してくださいました

 ……が。

 

 ここで、冒頭の疑問に立ち返ってみましょう。

 

「うむむむむゥ? げんさくゥはァ~…?」

「がるるっるぐる~??」(←訳:こうだっけかな~?)

 

 つい一昨日――8月16日に放送されたのは、

 『死との約束』。

 放送直後からSNSには、原作と違う~!の声が飛び交い、

 私ネーさも首をヒネリましたよ。

 

 《名探偵ポアロ》シリーズは何度か拝見しておりますが、

 今回は特に違和感がひどい……

 これは、きちんと確認しなくちゃ!

 と本棚の奥から原作本を発掘してみましたら。

 

 ありゃりゃ、ホントにこれはまあ、けっこうな改変っぷりで。

 

「びッくらぽんッ!」

「ぐるるるるぅがる……」(←訳:いいのかなぁコレ……)

 

  《いいかい、彼女を殺してしまわなきゃ》

 

 物語は、この不穏な言葉から始まります。

 エルサレムの夜は暮れて、

 ちょうどホテルの窓辺に居合わせたポアロさんは、

 『殺してしまわなきゃ』のくだりが聞こえてくると

 思わず苦笑いいたしました。

 

   私はどうしてこうもいたるところで

   犯罪を連想させられるものにぶつかるんだろう?

 

「ちがうゥよィ、ぽあろさんッ!」

「がるぐるるがる!」(←訳:本物なんだよう!)

 

 犯罪を連想させられるもの、ではなく、

 犯罪そのもの。本物の犯罪。

 

 後日、ポアロさんは

 ミセス・ボニントンの死の謎と相対することになりました。

 

 恐ろしい暴君として一家に君臨し、

 好き放題に振る舞っていた彼女を嫌う者は多い。

 つまり、動機を持つ者が多い事件、なんですね。

 

 誰も彼もが動機を持っているのだとしたら、

 いったい犯人は……。

 

「ぽあろさんッ、がんばれェ~!」

「ぐるるるるがる!」(←訳:見つけよう犯人!)

 

 敢えて言っちゃいますが、

 原作小説とドラマを比較するなら、

 トリックはほぼ同じでも、

 読後(視聴後)の印象がまるで違います。

 

 NHKBSで放送された英国LWT制作のドラマは、

 劇的展開で視聴者の感情を揺さぶるストーリー。

 原作小説は、ポアロさんの持ち味が活きる

 なめらかな展開と、エンディング。

 

 どちらが好ましいか、軍配を上げるとしたら……

 ええ、もちろん、原作小説でしょうか。

 

「だよねッ!」

「がるがる~!」(←訳:そうそう~!)

 

 という次第で、ドラマシリーズをご覧になった方々に、

 あらためておすすめしたいのが原作小説です

 (現在は文庫新版が刊行されています)。

 著者・クリスティーさんが愛した中近東諸国で

 ポアロさんの灰色の脳細胞がフル回転する様子を、

 皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ お城には、必ず彼らが…? ~

2023-08-17 22:03:23 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 どろろろォ~んッ?」

「がるる!ぐぅーるるるる!」(←訳:虎です!ひゅーどろろん!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 お盆休みはそろそろ終わり、となっても、

 行楽地はまだ混雑が続きそうですね。

 特にあの、悲鳴が飛び交う人気の施設は……

 という訳で、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 英国の幽霊城ミステリー ――

 

 

 文は織守きょうや(おりもり・きょうや)さん、

 イラストは山田佳世子(やまだ・かよこ)さん、

 2023年4月に発行されました。

 『HAUNTED CASTLES』と英語題名が付されています。

 

 建築の専門誌『建築知識』に連載されていたエッセイを

 書籍化したこの御本には、

 文章とイラストに加え、城館の間取り図なども

 掲載されていますよ。

 

「うううゥ、りあるゥ~…!」

「ぐるがるる~…」(←訳:迫真だよね~…)

 

 日本と似て、《幽霊大国》である英国。

 

 白い衣の人影が真夜中の回廊に佇み、

 何度替えても床材には血の染みが浮き上がり、

 空っぽの地下牢から人の話し声が聞こえる……

 

 と、古いお城を舞台とする伝説は少なくありません。

 

「むしろォ、おおいィでスゥ!」

「がるるるるぐるる!」(←訳:ものすごく多そう!)

 

 洋の東西を問わず、囁かれる《幽霊話》。

 ただし。

 《幽霊》への向き合い方という点では、

 英国と日本は大いに異なっているようです。

 

 目にしたら呪われちゃう、祟られてしまう、

 というような恐怖や畏怖はなくて、

 退治する、追い払う、ということも無くて、

 そっとしておこう、

 別に悪さをしないのなら、

 と、静かな共存を選んでいるのが英国流であると

 著者・織守さんは観察しています。

 

「ふむむゥ、それはァ、いわゆるゥ~…?」

「ぐるがる?」(←訳:共存共栄?)

 

 かくして、数十年どころか数百年に及ぶ

 人と《怪》の共存が

 英国では成り立っています。

 

 ハンプトン・コートのグレイレディ。

 ハットフィールド・ハウスのエリザベスⅠ世。

 ロンドン塔の消えた王子たち。

 

 チリンガム城の拷問部屋では

 叫び声が響き、

 スコットランドのグラームス城では、

 悪魔を相手に賭け事に興じるクロフォード伯爵の

 罵り声や、サイコロを振る音も。

 

「さいころォ??」

「がるるるぐるるがるるぅ~」(←訳:いろんな幽霊がいるなぁ~)

 

 その城の、その土地の、その国の、

 過去の歴史を背負って出現する幽霊さんたち。

 

 ウィンザー城、キンボルトン城、

 ロンドン島、ハンプトン・コート宮殿、

 エディンバラ城、ホーリールードハウス宮殿他、

 有名な観光スポットでも、

 こんなの当たり前のことよ~と言わんばかりに、

 遠慮せずどんどん出現する幽霊さんたちは、

 どんな《歴史》の被害者/証言者なのか……。

 

「なんだかァ、やぱりィ~…!」

「ぐるるっるるるがる??」(←訳:怖くなってきたかも??)

 

 英国史好きな方々に、

 建築好きな方々に、

 そしてゴーストストーリー好きな方々に

 激おすすめの《ゴースト・スポット・ガイド》です。

 夏の終わりの読書に、皆さま、ぜひ~♪

 

 

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~ “純愛“のクルマたち ~

2023-08-16 22:06:24 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 たいふうゥ~いッかァ、でスかッ?」

「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!まだまだご用心!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 台風7号はやっと日本海へ抜けて……と思ったら、

 あちこちで豪雨が? ここ東京・多摩エリアにも雨雲が?

 引き続き悪天候に注意しながら、

 さあ、ひっそりと読書タイムですよ。

 本日は、こちらの新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― クラシックカー屋一代記 ――

 

 

 著者は涌井清春(わくい・きよはる)さん、

 構成は金子浩久(かねこ・ひろひさ)さん、

 2023年3月に発行されました。

 

 自動車が誕生したのは、140年ほど昔のこと。

 以来、目が回ってしまうような変化を遂げ、

 EVや、自動運転や、

 シェアなどという概念も取り込みつつ、

 これからも進化してゆくのは、

 まず間違いありませんが。

 

 いつの世にも変わらぬ

 《自動車の王さま》といったら?

 

「ふァいッ! それはァ、もッちろんッ!」

「ぐるる~!」(←訳:あの車~!)

 

 《王さまの自動車》にして、《自動車の王さま》。

 

 ええ、そうです、

 英国の国王さまや皇太子さまが

 戴冠式やパレードで使用する車と言えば、

 ロールスロイス。

 

 そしてもう一つ、高級車の代名詞とも言えるのが、

 ベントレー。

 

 著者・涌井さんは、なんと、

 日本一のロールスロイスとベントレーの

 クラシックカーコレクター、なのだそうです。

 

「ふわわァ~……」(←特大のため息)

「がるるぅ~……」(←こちらもため息)

 

 涌井さんはコレクターであり、

 また販売者でもあり、

 ロールスロイスとベントレーの名車をずら~りと並べた

 『ワクイミュージアム』の館長さんでもあります。

 

 この御本では

 ロールスロイスへのこだわりをはじめ、

 日本の自動車販売の歴史や、

 欧米とのクルマ文化の違い、

 クラシックカー愛好家としての心得と矜恃、

 ミュージアム開設までの道程など、

 涌井さんの半生記と

 クルマ愛が語られています。

 

 中でも注目すべきは、

 ミュージアム創設のきっかけになったという、

 1台のベントレーのエピソードでしょうか。

 

 1924年に製造された、ベントレー3リッター

 (シャシーナンバーは653)。

 

 1925~26年、この車を所有したのは、ひとりの日本人でした。

 その日本人の名は、

 白洲次郎さん。

 

「わァおッ!」

「ぐるるるるがる!」(←訳:白洲さんの愛車!)

 

 2003年、

 白洲さんのベントレーが英国に現存する、と聞いた涌井さんは

 驚くとともにさっそく行動に移ります。

 どうか譲ってほしい、と。

 

 オーナーさんはそのベントレーを気に入っていて、

 思い入れも深く、手放すつもりはない、と

 当初は断られましたが、

 説得に次ぐ説得を重ね、

 白洲さんのベントレーは、2004年、ついに日本へ……!

 

「いまもォ、はしれるゥ?」

「がるるる!」(←訳:走れるよ!)

 

 涌井さんを動かすのは、

 文化、歴史、クルマへの敬意、愛。

 そう、投機対象としてではない、

 クルマへの“純愛“。

 

 巻末には、

 涌井さんと、構成を担当した金子さんの楽しい対談も

 収録されています。

 本文と併せて、クルマ好きな方々、

 近代史好きな活字マニアさんは、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ 名作再読・楡家の塔から ~

2023-08-15 22:05:30 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ずゥ~ッとォ、へいわをッ!」

「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!いつも平和を!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日――8月15日の読書タイムは、

 NO WAR!の思いをあらためて噛みしめながら、

 さあ、こちらの御本を、どうぞ~!

  

 

 

          ―― 楡家の人びと ――

 

 

 著者は北杜夫(きた・もりお)さん、単行本は1964年に発行されました。

 現在は、文庫版(新潮社)が刊行されています。

 (↑上の画像は、私ネーさが所蔵する単行本です)

 ずいぶん以前にご紹介した作品ですが、

 敢えて、2023年の終戦の日に再読してみましょう。

 

 21世紀の今は、オシャレな街として知られる、

 港区の青山エリア――

 かつて、ここには7つの塔を持つ

 壮麗な建物がありました。

 

 建物の名は、楡病院。

 

 けれど、近在の住民さんたちは、こう呼ぶのです――

 脳病院。

 

「つまりィ~…」

「ぐるるるがるぐる!」(←訳:精神科の病院だね?)

 

 楡病院の創設者は、楡基一郎(にれ・きいちろう)さん。

 二代目の、楡徹吉(にれ・てつきち)さん。

 三代目にあたる、

 楡峻一(にれ・しゅんいち)さんと弟の周二(しゅうじ)さん。

 

 物語は、楡病院を背負う三世代のドクターたちを中心に、

 大正7年(1918年)から

 昭和21年(1946年)までを描いてゆきます。

 しかも、

 殆どの登場人物さんたちは、

 実在の人物をモデルにしているため、

 フィクション作品でありながら、

 限りなくノンフィクションに近い、とも言えるのです。

 

 楡病院の初代・基一郎さんのモデルは、

 青山脳病院を設立した、斎藤紀一(さいとう・きいち)さん。

 2代目の徹吉さんは、歌人の斎藤茂吉(さいとう・もきち)さん。

 3代目の峻一さんは、医師でエッセイストの斎藤茂太(さいとう・しげた)さん。

 周二さんは、著者・北杜夫さん御自身。

 

「りあるゥ、なのでス!」

「がるぐるるがる……!」(←訳:事実ゆえの重み……!)

 

 きな臭さが増してゆく大正時代後半に始まり、

 戦時下、そして終戦を背景としている御話ですから、

 北さんが持ち味であるユーモアをどれほど注ぎ込もうと、

 当時の文化・流行・風物を活写しようと、

 楡家の人びとが辿るのは、

 いえ、歩かされる道は、

 平坦ではありません。

 

 喪失、焼失、痛みと、哀惜。

 大切にしていたものとの、別れ。

 

「これがァ、せんそうゥ……?」

「ぐるるがる……!」(←訳:これが戦争……!)

 

 反戦を声高に主張するのではなくとも、

 この御本一冊を読むだけで、

 “その頃の日本がどう動いていったか“が、

 詳細に分かります。

 そうして、私たち読み手は身に沁みて思うのです。

 

 戦火で生命が失われる、

 そんなことは、二度とあってほしくない。

 

「せんそうゥ~よりもォ」

「がっるるぐる!」(←訳:やっぱり平和!)

 

 一字一字、著者・北さんが魂をこめて綴った

 楡家の“年代記“、

 20世紀の日本文学を代表する名作を、

 どうか皆さま、ぜひ。

 

  

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~ 来年は、こんな感じで? ~

2023-08-14 22:07:09 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 げきとつゥ~でスかッ、いえやすゥさんッ?」

「がるる!ぐるるがるるる~!」(←訳:虎です!穏便にゆこうよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大河ドラマ『どうする家康』第31回は、

 家康さん秀吉さんたち2大勢力の激戦序盤が放送されました。

 やっぱり信長さんに長生きしてもらいたかったなぁ……

 などと歴史の《もしも》を想いながら、さあ、読書タイムですよ。

 本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 深掘り! 紫式部と源氏物語 ――

 

 

 著者は中野幸一(なかの・こういち)さん、

 2023年4月に発行されました。

 はい、皆さま御存知のように、

 来たる2024年の大河ドラマの主人公は、紫式部さん!

 書店さんには、早くもちょっぴりフライング気味に、

 紫式部さんや『源氏物語』関連本が並び始めていますね。

 

「はなやかァ~なのでス!」

「ぐるがる~!」(←訳:絹の輝き~!)

 

 『鎌倉殿の13人』の平安末期~鎌倉時代、

 そして『どうする家康』の室町時代~江戸初期の時代は、

 衣服の主流は麻でした。

 白ウサギと呼ばれていた家康さんも、

 若い頃は麻、

 大名となった中年以降は絹・綿・麻の衣服を着ているようです。

 

 それに比べて、

 紫式部さんの物語では、

 宮中での場面が多くなるでしょうから、

 最上級の絹の衣服をまとった殿上人さんが、

 あっちにも、こっちにも。

 

 ああ、衣装のお手入れはさぞや大変なことに……。

 

「おもたいィしィ~!」

「がるるるる!」(←訳:かさばるし!)

 

 実在した平安女子さんたちはどうだったか、というと、

 意外にパワフルです。

 

 紫宸殿を中心とする古(いにしえ)の広大な内裏。

 出仕して、局(つぼね)を行き来して、

 勉強をして、歌を詠んで、手紙をやり取りして、

 占いをチェックして、

 お喋り(情報交換)をして、

 食事をして、おやつを食べて、

 主(あるじ)を励ます。

 

 そんな忙しい毎日を、紫式部さんも過ごしていました。

 

 この御本は、

 第1部『深掘り!紫式部』

 第2部『深掘り!源氏物語』

 と2部構成になっていて、

 特に前半部分の、

 紫式部さんの生涯と人物像解析は読み逃せません。

 

 家系と家庭環境、

 父・為時さんの仕事ぶり、

 家族と過ごした娘時代、

 藤原宣孝(ふじわら・のぶたか)さんとの

 恋愛・結婚・出産・死別……

 そののちの、宮仕え生活。

 

 紫式部さんが、

 どのようにして《物語》の想を得、

 芽を育て、花を咲かせるに到ったのか、

 著者・中野さんが粛然と示唆してゆく文章は、

 古典文学ファンさんをワクワクさせることでしょう。

 

「どらまにもォ、でてくるゥかなッ?」

「ぐるるるるがるぐーる!」(←訳:幼少時代の勉学シーン!)

 

 大河ドラマでは、

 “政治“や“権力“とのひそかな闘いも描かれるのか?

 藤原道長さんは、敵か、味方か?

 さらには、

 『源氏物語』を完成させた後の紫式部さんの心情は……?

 

 コミック『神作家紫式部のありえない日々』と併せて読むと、

 古典の世界がいっそうリアルに感じられる

 歴史ノンフィクション作品です。

 大河ファン&『源氏物語』ファンの方々は、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ 季節の宴と、山形の美味 ~

2023-08-13 22:08:56 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あわわわッ、たいへんでスゥ~!」

「がるる!ぐるるるぅ~!」(←訳:虎です!忘れ物だぁ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 昨日スーパーでお買い物をした際に、

 お財布とスマホが置き忘れられているのを発見!

 もう大急ぎで店員さんに報せましたよ。

 早く落とし主さんの元に届けられますようにと願いつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 糸暦 ――

 

 

 著者は小川糸(おがわ・いと)さん、2023年4月に発行されました。

 前回記事に続いて、今回のテーマも、そう、

 《美味しいもの》……!

 

 この御本は、

 著者・小川さんによる、

 卯月(4月)から弥生(3月)までの“12ヶ月“をめぐるエッセイ、

 季節を楽しむレシピ6篇と、

 山形県の山菜料理店『出羽屋(でわや)』さんを訪れる旅行記、

 の3つのパートから構成されていて、

 《美味しいもの》と《美味しいものの思い出》が

 ぎっしり詰まっています。

 

「ふむむゥ! やまがたけんッ?」

「ぐるるがるるぐる?」(←訳:美食は山形にあり?)

 

 小川さんの故郷は、山形県。

 少女時代の小川さんを、

 これは美味しい!と喜ばせたのも、

 山形の野山が与えてくれる”恵み“でした。

 

 12ヶ月のエッセイ中、

 『文月』で語られているのは、

 笹巻き(ささまき)という山形の郷土菓子です。

 

 餅米を笹の葉で包んで、熱湯で茹でて、

 一晩風に当てて冷まして。

 これに、砂糖と塩で味付けした

 きな粉をまぶしていただく。

 

 って、作り方を書くのは簡単ですけれど、

 笹の巻き方にはコツが要りますし、

 各家庭で微妙に味が違うし、それでも。

 

 《人生で最後に食べたいおやつは、笹巻きかもしれない》

 

 と小川さんに言わしめる、

 なつかしくも愛しい餅菓子なのでした。

 

「たべてみたいィでスゥ!」

「がるるるぐるぅ?」(←訳:どんな味かなぁ?)

 

 御本後半の、

 出羽屋さんを訪ねる

 『旬の山菜とキノコを味わう旅』でも、

 美味しいもの好きな方々を誘惑するお料理や食材が

 これでもか~!と登場いたします。

 

 山菜豆腐、胡桃味噌添え。

 山菜のお浸し盛り合わせ。

 フキノトウうどん、山菜の天ぷら。

 ツキノワグマと浅葱、山椒の芽の鍋料理。

 山菜のサラダと最上鴨。

 桜鱒とウコギのごはんに、お味噌汁。

 ウドを使った山のケーキ……。

 

「ほわァ~♪」

「ぐる~♫」

 

 食いしん坊さんに、旅好きな方々に

 激おすすめのこの御本には、

 実はもうひとつ、”見どころ“があります。

 

 12ヶ月のエッセイを飾るのは

 杉本さなえ さんが描く繊細なイラストの数々。

 とりわけ、53ページの、

 栗の画は必見です!

 

 という訳で、

 文章もイラストも楽しめる食暦本を、

 皆さま、ぜひ手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ お盆休みは、美味しいものを♪ ~

2023-08-12 22:01:50 | 美味

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 なつゥやすみィ~!」

「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!お盆休み!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 はい! 年に一度のお盆休みシーズンがやって来ました。

 そこで、本日は読書をサボっての、

 《お休みには美味しいものを♪》企画をお送りいたしますよ。

 さあ、こちらを、どうぞ~!

  

 東京・日野市の京王線高幡不動駅より徒歩すぐ、の場所にあるのが、

 フランス菓子の名店『パティスリー シェフ ドゥ フジウ』さんです。

 

 ↑上の画像は、『フジウ』さんの人気プティガトーのひとつ、

 《タルト ヴァニーユ》。

 

「おいしィ~!!」

「ぐるるるる!」(←訳:サクサクだ!)

 

 そうなんです、

 特筆すべきはタルト台のサクサク度!

 こんなにサクっとしたタルトに出会ったことないわ。

 全体のフォルムも可愛らしいですよね。

  

 そして、↑こちらは、

 シェフ藤生さんのお名前を冠した《フジウ》。

 

 濃厚なチョコレートケーキの中には

 大粒のグリオットチェリーと、

 カラメリゼしたピスタチオが隠れています。

 ふふふ、私ネーさ、チェリー系ケーキに目がなくて。

 

「ふわわァ~…とろりんッ!」

「がっるるぐるる~!」(←訳:ほっぺた落ちる~!)

  

 以前にご紹介しました↑《シュークリーム》も、

 大人気の御品で、売切れになってしまう日も多いそうです。

 どうしても食べたい!という場合は、

 お店に電話をして在庫状況を訊ねてみてくださいね。

 

「やきがしィもォ、おすすめェでス!」

「ぐるるるるるがぅるるる!」(←訳:アントルメとショコラも!)

 

 お盆休みは、『フジウ』さんのお店で美味を満喫!

 ……と言いたいところですが、

 台風の進路によっては臨時休業を検討しています、

 とのことですので、

 お出掛けする前に『フジウ』さんのSNSやHPで

 最新情報を確認してくださいね。

 

 では、皆さま、BONNES VACANCES!

 

 

 

 (付記:『パティスリー ドゥ シェフ フジウ』

     高幡不動本店は火曜日定休、

     多摩平店は月~水曜日定休、

     エキュート立川店は施設の営業日程に準じています)

 

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